アントラーズは、明治安田J1第6節名古屋戦から中3日で韓国の慶南FCと対戦した。課題の後半立ち上がりに不運な形で失点を喫すると、71分には2失点目を献上してしまう。75分に相手のオウンゴールで1点差に迫ったが、84分に犬飼が2枚目のイエローカードで退場処分を下された。それでも10人のアントラーズは攻勢を強め、後半アディショナルタイムに金森、セルジーニョが続けざまにゴールを奪い、逆転勝利を収めた。
▼▼MOVIE▼▼
4日前の名古屋戦。アントラーズは3週間ぶりとなる聖地での戦いで、今季初の逆転勝利を収めた。ただ、「前節と同じように後半の立ち上がりに失点して、自分たちで試合を難しくしてしまった」と指揮官が振り返ったように、試合運びに課題が残ったことは事実だ。それでも、苦しい時間帯を耐え抜き、90分間勝利のみを目指し続けた姿勢は、この上ない価値がある。最終ラインで名古屋の猛攻を耐え凌いだ犬飼も「よく耐えた試合だと思う。みんなで声を掛け合うことを常に意識していた。それができたからこそ、苦しい時間に耐えられた」と、チームに手応えを感じていた。
翌日のリカバリートレーニングを経て、チームはすぐに決戦の地・昌原へと発った。だが、遠征メンバーリストに伊藤翔、土居聖真の名前はなかった。全冠達成に向け、大胆なターンオーバーを敢行し、総力戦で勝利を掴み取る。揺るぎない決意とともに、韓国へ向かった。
迎えた決戦当日。キックオフ1時間前に注目の先発メンバーが発表された。ゴールマウスは我らが守護神となるクォン スンテが守る。最終ラインには名古屋戦と変わらず、右から平戸、犬飼、町田、安西が入った。ボランチは、今季公式戦初の組み合わせとなる名古と三竿。サイドハーフは右に遠藤、左に安部。前線にはセルジーニョとACL第1節ジョホール戦以来の先発となる金森が入った。ベンチには曽ケ端、小田、関川、レオシルバ、永木、白崎、山口が座る。
強い雨が降る昌原サッカーセンターでキックオフのホイッスルが鳴った。名古屋戦で得た自信を確信に変えるべく、敵地で勝ち点3獲得を目指す。
試合序盤、ボランチの名古と三竿がリスクマネジメントを徹底。ボールを奪われても素早いプレスでカウンターを許さない。攻撃では右サイドの遠藤が守備ブロックの間でボールを引き出し、リズムをつくっていく。立ち上がりはアントラーズが主導権を握った。
しかし、16分にピンチが訪れた。低い位置でボールを失うと、ショートカウンターを仕掛けられ、ペナルティエリア手前でたまらずファウルを犯してしまう。慶南の直接フリーキックは壁に当たり、失点には至らなかったが、改めてボールの失い方には気を付けなければならないと感じさせる危険な場面だった。
ここから試合はややオープンな展開となる。アントラーズはリスクマネジメントを徹底しながら攻撃を仕掛けた。名古が果敢に縦パスを蹴り込み、リズムにアクセントをつけていく。出場機会の少ない選手たちが、積極的にアピールする。
すると、30分にアントラーズがチャンスを迎える。右サイドから攻撃をつくると、セルジーニョの落としに後ろから走りこんだ三竿がシュート。惜しくも枠は捉えられなかったが、久々の先発出場となった三竿が積極的なプレーをみせた。
しかし、前半終了間際にアクシデントが発生。最終ラインの裏に抜けだした相手フォワードと守護神クォン スンテが接触し、プレー続行不可能となる負傷をしてしまう。正守護神に代わり、今季公式戦初出場となる曽ケ端がピッチに入った。交代後まもなく、前半終了のホイッスルが吹かれた。
ハーフタイムを経て後半が始まった。前日会見で指揮官が「絶対に失点はしてはいけないということを徹底したい」と語った、警戒すべき時間帯。だが、アントラーズはまたしても失点を喫してしまう。56分、左サイドからゴール前にクロスを入れられると、クリアミスによるオウンゴールで先制点を献上してしまった。
この失点で試合の流れは慶南に傾いた。アントラーズは中央を固める慶南の守備網を突破できず、逆にカウンターからピンチを招く展開となる。
悪い流れを変えたいアントラーズは71分、遠藤に代えて小田を投入する。すると、この交代直後にまさかの失点。コーナーキックからジョードンにシュートを打たれ、痛恨の2失点目を献上してしまった。
2点のビハインドを負ったアントラーズ。後がない状況で前線への圧力を強める。すると75分、積極的な攻撃が実を結ぶ。左サイドからクロスを入れると、相手のクリアミスを誘い、オウンゴールが生まれた。幸運な形でアントラーズが1点差に迫る。
試合はここからオープンな展開に。中盤にスペースが生まれ、局面で1対1となる場面が増えていく。すると80分、慶南のカウンターを受ける。相手のフォワードに対応した町田がファウルを犯し、これがイエローカードの判定。累積2枚目となり、次節ホームでの慶南戦は出場停止となってしまった。
さらに不運はつづく。84分、相手選手とヘディングで競り合った犬飼が、肘を使ったと判定され、2枚目のイエローカードで退場処分を受けてしまう。1点を追う状況で残り時間を10人で戦うことになった。
試合は後半アディショナルタイムに突入。最後まで勝利をあきらめないアントラーズは、1人少ない状況で前線に人数をかけ、慶南を自陣に押し込んでいく。すると、最後まであきらめない姿勢が実を結ぶ。アディショナルタイム1分、左サイドの安西からのクロスにファーサイドの安部が折り返し、最後は金森が飛び込んでゴールネットを揺らした。
1人少ない状況で後半終了間際に同点に追いついた。引き分け決着の雰囲気が漂い始めた昌原スタジアム。しかし、ピッチ上の選手たちは勝利への意欲を失っていなかった。試合終了直前、ついに歓喜の瞬間が訪れた。左サイドからファーサイドへアーリークロスを入れると、途中出場の小田が折り返し、最後はセルジーニョが右足一閃。見事なシュートはゴールネット右上隅に突き刺さった。
ついに、激闘の終わりを告げるホイッスルが鳴った。3-2。守護神の負傷交代、犬飼の退場、2点ビハインド、様々な困難を乗り越えて、大逆転勝利を掴んだ。この試合で得た「勝利」への確信は、今後のシーズンを戦い抜く原動力となるはずだ。次戦は5日後、明治安田生命J1第7節のFC東京戦。激しい競争意識の中、チーム一丸となって、勝利のみを目指していく。
【この試合のトピックス】
・小田が今季公式戦初出場
・曽ケ端が今季公式戦初出場
・金森がACL第1節ジョホール戦以来の出場で今季初ゴール


Q.厳しい試合だったが、勝ち点3を取り切ったことで今後につながっていくことはあるか?
A.結果的な勝ち点3は、選手たちの成功体験として強く残ると思う。ただ、自分たちで試合を難しくしてしまったというところはしっかり改善をして、慶南との再戦に向けてしっかり準備をしていきたい。
Q.邦本選手については、どのような印象を受けたか?
A.非常にクォリティの高い選手だと思う。日本でプレーをしていた時も知っている。今日は、慶南の中心選手として活躍していたし、我々にとって難しい試合にした選手。次戦に向けてしっかりと対策を練っていきたい。
アウェイなので、まずは失点をしないことが大事になる。相手よりしっかり、球際の部分で上回らなくてはいけない。名古屋戦のようなインターセプトは常に狙っている。わん君とチャレンジ&カバーで、あのようなシーンを多く作りたい。
【安西 幸輝】
アウェイで勝ち点3を取ることができれば、これからの戦いも全然、違ってくる。アウェイでもしっかりと勝ち点3を取ることで、ホームでの勝利より大きな自信になる。左SBで出場することが多くなっているが、与えられた場所で結果を出したい。
【クォン スンテ】
慶南の前線は、若手の選手が勢いよく攻撃をしてくるチームで、ディフェンスにはベテランがどっしりとかまえている。立ち上がりは、こちらもどっしりとかまえて、しっかりとしたディフェンスから攻撃に出ていくのが大事だと思う。
【平戸 太貴】
慶南はしっかりブロックを作って守り、そこからカウンターだったり、そこまで相手が来なければ、つなぐこともある。やってみないと分からない部分もあるが、自分たちがやるべきことやれれば、大丈夫だと思っている。名古屋戦であったことや感じたこと、やらなくてはいけないことというのは、課題としてすべてを受け入れた。課題も取り組みながら、気持ちを切り換えて、やっていきたい。チームとしては、いい流れできているので、勝ち点3を取りたいと思う。
【金森 健志】
常に準備をしているので、この試合でチームの勝利に絶対に貢献できる自信がある。チームのためにしっかり戦って勝ちたい。相手のCBは、アジリティに欠ける部分があるので、そこを突いていければいい。グラウンドもデコボコな感じがする。ペナルティエリアに入っていって、シュートを狙いたい。
【三竿 健斗】
グラウンドの状態は良くないが、陸上トラックがない分、いい雰囲気になると思う。ピッチが悪い中で、どれだけ技術を発揮できるかだと思う。まだ、それほど試合をしていないがACLは去年のイランを経験してしまうと、アウェイ感を感じなくなる。名古屋戦に途中から出て、本来の動きに近いプレーができてきた。慶南戦でもチームが勝つために継続してやりたい。相手のCBは、迫力があるし、映像を見た感じでは強いので、タイトにつくことや、個人戦術の部分も大事になってくる。そうすればセットプレーでも点を与えることはないと思う。
今日得点できたことは、非常に嬉しく思っている。今日は、全員で勝ち点3を取るという目標を持ってやっていた。残念ながら途中で10人になったが、最後まであきらめずに戦った姿勢はACLという大会において常に見せないといけないものである。その中で、最後までみんなで頑張ってチームの目標である勝ち点3が取れた。
【金森 健志】
悪天候という難しさもあったし、相手の勢いで2失点し、退場までは相手にペースを握られてしまったが、逆にやることがはっきりした。点を取りにいかなくてはいけない状況だったので、みんなで取りにいって逆転できたのは良かった。裕葵やヤスさんといったサイドハーフにボールが入ったときに、相手のサイドバックがファウル気味に来ていたので、ワンタッチではがして、僕とかセルジーニョがサポートできれば良かったし、空いたスペースをもっと上手く使えれば良かった。焦りとかはなく、最後に自分のところに良いボールがきていたので、諦めずにやれたことは良かったと思う。交代がなく、最後までピッチに残してくれていたので、絶対に結果を出そうと思っていた。いい形で決められて良かった。
【町田 浩樹】
自分たちで苦しい試合にしてしまった。もっと楽に試合を運べたと思う。こういう悪天候だったり、レフェリーだったり、スタジアムの感じにもっと早く順応しなくてはいけない。守備陣としては2失点をしてしまったが、(選手が変わった中でも)3点を取ってくれた攻撃陣に感謝したい。内容的には納得のいく試合ではないし、先に失点する形が多いので、守備陣としては課題となる。ただ、こういう試合でも勝ちきるのは大事だと思うので、継続していきたい。
【安西 幸輝】
オウンゴールは、その前のプレーでセルジに合わせたボールで相手が見ていないと思った。もう1本、裕葵に出して折り返してくれたので、決まって良かった。悪天候に加え、韓国(のチーム)が相手だったので、前半は厳しいゲームになった。先制されてからも後手に回ることが多く、2失点してから相手が引いてくれたので、上手く押し込めて3点を取れた。前半からもっとシンプルにやれれば、もっと簡単な試合だったと思う。1点目を決めればいけるとは思った。
【小田 逸稀】
あの状況で出るとしたら、得点に絡むことや、無失点で抑えることを求められていると思う。立ち上がりに自分がマークを外して、失点してしまい何とか取り返さないといけないと思っていた。1点目も2点目も左からのクロスを右で折り返す形で得点が生まれていたし、相手はボールウォッチャーになりがちだった。一真くんとセルジが見えたので、そこを狙った。