2023明治安田生命J1リーグ 第30節、国立競技場でヴィッセル神戸と対戦した。
前節、福岡とスコアレスドローの痛み分けに終わったアントラーズ。3週間の中断期間を経て、首位の神戸と対峙することとなった。
リーグ前半戦、神戸にはホームのカシマスタジアムで1-5と大敗を喫しているだけにそのリベンジ、さらにはわずかながらに残る優勝の可能性を再び手繰り寄せるために非常に重要な一戦ということもあり、国立には多くのアントラーズファミリーが集結し、アウェイとは思えない雰囲気を作り出してくれた。

この大事な一戦に、岩政監督がピッチに送り込んだスターティングメンバーは、GKに早川、フィールドプレーヤーに広瀬、植田、関川、安西、佐野、ピトゥカ、樋口、藤井、荒木、優磨の11人。荒木は8月のアウェイ名古屋戦以来の公式戦出場となった。そしてベンチには、沖、昌子、柴崎、松村、仲間、土居、垣田が座る。
アントラーズボールでキックオフした前半は序盤から仕掛けようとするアントラーズに対し、神戸がどっしりと構える時間帯が続いた。久々の出場となった荒木もボールに触れる回数を増やし、前に出ようとするが、神戸の厚い守備になかなかリズムを作ることができない。また前線の優磨は神戸守備陣に強く警戒され、自由な動きを防ぎこまれた。
すると16分、井出に左サイド深くに進入され、クロスを入れられる。これをゴール前で佐々木に頭で合わせられ、鹿島は序盤早々に失点を許してしまった。
その後もなかなか攻撃の糸口をつかめないアントラーズにとって、苦しい時間帯が続く。唯一の攻撃と言っていい場面は、35分。波状攻撃からピトゥカのパスを受けた優磨が左足シュートを見せるが、これは神戸DF陣に防がれてしまった。
その後、アントラーズに再び試練が訪れる。前半終了間際の45分、今度は武藤に左サイドから進入され、右足アウトサイドでふわりとしたクロスを入れられる。これをファーサイドから走りこんだ井出にヘディングで決められ、2失点目を喫した。ここでVARチェックが入るも、長いチェック時間後、結局は神戸のゴールが認められ、アントラーズは2点ビハインドで前半を戦い終えた。
神戸に支配される試合の流れを変えるべく、岩政監督は後半頭から選手交代に出る。関川に代え、昌子、広瀬に代え、松村、そして藤井に代え、仲間を投入し、状況の打開に打って出た。
機動力の高い仲間、松村が入ったことで後半の序盤は流れを取り戻したアントラーズ。しかしどこか攻めきれず、前半と同様、神戸にその圧力を吸い取られるかのごとく、また停滞してしまう。垣田や柴崎が交代で入っても、最終ラインや中盤で無理をせず、前線の大迫や武藤へロングボールを送り込む神戸のスタイルに苦戦を強いられた。
そして83分、右CKからのこぼれ球に素早く反応した佐々木にこの試合2点目を献上し、スコアを0-3とされる。
ここで、早川の前に入った武藤のポジショニングが微妙ということでこの試合2度目のVARチェックに入るが、レフェリーのオンフィールドレビューの結果、判定は覆らず。リーグ前半戦でのカシマでの悪夢が再び、という重い空気がアントラーズベンチにも広がった。
しかしアディショナルタイムに入って、アントラーズも意地を見せる。3点目を取り、どこか緩んだ神戸に速攻を仕掛け、最後は松村が右サイドからカットインしての左足シュート。これが見事に決まり、スコアは1-3となった。
その後も松村、仲間、佐野らが果敢に前へ出て、2点目、3点目を狙ったアントラーズだったが、後半アディショナルタイムだけでは、やはり神戸の堅守を崩すことができなかった。試合終了のホイッスルとともに、国立のビッグスクリーンで固定されたスコアは1-3。リーグ前半戦に続き、完敗と言っていい結果に終わった。
この敗戦で、リーグ優勝の可能性が数字上でもなくなったアントラーズ。残り4試合、できるだけ上の順位へ行くためにも、そして己のプライドを守るためにも、がむしゃらに戦い抜くしかない。魂をかけた戦いは続く。
【この試合のトピックス】
・松村が今季リーグ戦初ゴール。



3週間、取り組んできたところの片鱗を見せようと思っていたが、自分たちの整理のつけ方の部分で、もう少しシンプルに戦えたかなと思っている。そこは人選も含めて、私の責任。最後までゴールを目指して戦ってくれた後半は、非常に良かったと思うし、今後につながるところもあった。それを拾いながら、残りの試合を戦っていきたい。
Q.神戸との対戦でこの戦い方を選択した理由とうまくいかなかった要因は?
A.完全に力負けしたと思っている。神戸の方がたくましかったし、強かった。局面局面でも上回られた。そこをいかに自分たちが上回る状況に持っていけるかというところを準備してきたつもりだった。自分たちの戦い方の幅として飛ばすこと、動かすことをどのように使い分けていくかをシーズン当初から伝えている。その配分をどのようにしていくか、試合の中で選手たちが感じ取らなければいけないし、相手の嫌がることをやっていかなければいけない。まだまだこの辺も力不足だと感じている。
選手たちが神戸に対して有効であるところを試合の中で見つけられるようなマネジメントをしなければいけなかった。
Q.少し選手たちの元気がないような印象を受けた。その原因は?
A.人選も含めてだと思う。隼斗のように自分がアクションを起こすことでチームに活力を与えてくれる選手もいる。それによって次の絵が見えるということは、認識している。
チームを通して、選手の個性によって変わってしまうことを解消しようというところで、戦術的に準備をしてきた。まだまだだなと感じている。
戦術的なところもあるとは思うが、その辺りもしっかりと分析をして振り返っていく。上手くセカンドボールを拾えていた場面もあったが、それを繰り返しできなかった。動かすというところをやっていると飛ばすパスに対しての形が見えづらくなった。そこは、フットボールの難しいところだなと感じている。
Q.前半の2失点は同じような形だった。そこはどのように見ている?
A.その場面になってしまうことをなくしていかなければいけない。われわれが今選択しているのは、特にボール保持のところ。前半45分の中であれだけ攻撃の形を作られてしまうと難しくなってしまう。それをさせないための自分たちの攻撃の形の構築を狙っていた。それができなかったことが1番の問題だと思っている。
Q.岩政監督の中で、チームはある程度のところまで来だけど他チームがそれよりも上だったのか、自分たちの中でうまくいかなくてこういう結果なのか。
A.どちらもだと思う。神戸の2試合に関しては力負けを感じている。上回るための時間を過ごしてきたと思っている。前回対戦時よりかはプラスアルファあったが、力の差はあったと感じている。自分たちの足りない部分があったし、彼らの方が上だった。どちらも違ってはいないと思う。
前半から自分たちのほうがチャンスを多く作っていた。勝利にふさわしい内容だった。
神戸は、今シーズン非常に調子がいい。首位にいるチームに対して、自分たちの取り組んできたことを出していかなければいけない。自分たちの目標を達成するために、必ず勝たなければいけない相手。ただ、やることははっきりしていて、いいチームなので、そこはしっかりと対策していかなければいけない。自分がいくところと周りのチームメートにいってもらうところをうまく連係して守っていきたい。
前半戦の神戸との戦いはみんな忘れていない。あの試合があったからこそ、ここまで戦うことができている。今回は、自分たちの力を示して勝つことができれば、また取り組んできたことへの自信を深めることができる。全員で戦っていきたい。
今まで自分たちがやってきたことを信じて、それを貫いていきたい。臆することなく、戦っていく。
【樋口 雄太】
攻撃の課題が出たので、そこにフォーカスしてこの3週間取り組んできた。
今年、一度、国立競技場でプレーすることができているので、その時のいいイメージを持ちながら試合に入ることができる。
神戸の前線は非常に強力な選手が多くいる。その選手たちへボールを多く入れてくるというイメージがある。一筋縄ではいかない手ごわい相手だと思う。この試合を非常に楽しみにしている。僕たちはチャレンジャー。その立場で戦えるのは自分たちにとってメリットだと思う。それもプラスに働かせて、試合へと臨んでいきたい。
今シーズンはセットプレーからの得点が多いが、流れの中から得点を取ることができれば、また違った鹿島アントラーズを見せることができるし、強いチームになっていくことができる。いい準備をして臨んでいきたい。
僕たち選手にとっても、ファン・サポーターの皆さんにとっても、今日の試合が待ち遠しい3週間だったと思う。勝つためだけに、チーム一丸となってやっていく。
【荒木 遼太郎】
個人的には久しぶりの出場になる。結果にこだわりつつも、楽しんでプレーしていきたい。
優磨君とはお互いを見ながらどちらかが攻撃を組み立てて行ったり、ゴールへ向かっていけるようにしていく。優磨君の動きもしっかり見ながら、自分が主導で動かせるようにもしていきたい。
神戸は、どのポジションにも非常に技術が高い選手たちがいる。その神戸と戦うことができるのは、楽しみ。首位の相手だから、国立競技場でのプレーだからとかは関係なく、とにかく勝利にこだわって、全力で戦っていきたい。
結果がすべて。今シーズンを象徴するようなゲームだった。タイトルもなくなってしまった。この結果がすべてだと思っている。
ハーフタイム明けからいくだろうなというのは感じていたので、心の準備はしていた。シュートやクロスなど、勢いを出していこうとしていた。勢いづけることができたのは良かったと思う。
(ゴールの場面は)シュートが少ないと思っていた。ボールをもらった時に前が空いた。自分の中で自信を持っているゾーンだった。左足でのシュートも以前決めているので、いい感覚もあった。
【鈴木 優磨】
神戸のほうがやることを徹底してプレーしていた。やりたいことと変えなければいけないことが多かった。用意してきたことを出せなくなった時に臨機応変に対応する力が必要だと思った。前半は非常にもったいない試合だった。応援してくださったファン・サポーターの皆さんには情けない試合をしてしまって、非常に申し訳なく思っている。
【佐野 海舟】
この1年間、優勝を目指して戦ってきた。優勝の可能性がなくなってしまったので、責任を感じている。
自分たちの矢印が前を向いていなかった。相手の守備も常に前向きだったので、そこをひっくり返せるようにいろんなことをやっていかなければいけないと感じた。