2023明治安田生命J1リーグ 第4節、カシマスタジアムでアビスパ福岡と対戦した。退場者を出しながら、果敢に攻撃を仕掛けたアントラーズだったが、最後まで福岡の堅守を打ち崩すことはできず、スコアレスドローに終わった。
YBCルヴァンカップのアウェイ柏戦から中3日。チームはできる限りの準備を尽くし、ホーム福岡戦へ臨んだ。
福岡戦の先発は、GKが早川、フィールドプレーヤーは常本、植田、昌子、安西、佐野、ピトゥカ、樋口、藤井、優磨、知念が入った。ベンチには、沖、関川、広瀬、土居、カイキ、松村、垣田が座る。リーグ戦では、2018年5月20日の明治安田J1第15節、ホーム仙台戦以来、約5年ぶりに昌子と植田がCBのコンビを組んだ。
試合前には、第2節川崎F戦でリーグ通算100試合出場を達成した樋口のセレモニーが行われた。
立ち上がりから接触プレーが多発し、プレーが止まる場面が多かった。ただ、アントラーズは集中を切らさず、福岡のセットプレーでもシュートを許さない。互いに一歩も引かない緊張感の漂う展開となった。

プレーが細かく止まり、アントラーズはなかなか攻撃のリズムをつくれない。14分には、佐野が不運にもイエローカードを提示されてしまう。そして、福岡にシンプルなロングボールを放り込まれ、ゴール前で決定機を許す場面もあった。ピッチ上で解決策を見つけられず、試合の流れは福岡に傾いた。
それでも、我慢強く守ると、今度はアントラーズに攻撃の時間帯が訪れる。選手がポジションを入れ替えながら、テンポよくボールを動かして相手陣内まで攻め込んだ。しかし、ファイナルサードでの崩しの絵が合わず、決定機をつくることはできなかった。
その後、流れは再び福岡に傾いた。後方から無理につながず、ロングボールを織り交ぜた福岡の攻撃に苦戦を強いられる。

それでも、36分に初めてのチャンスが訪れた。左サイドでピトゥカがフリーになり、アーリークロスを供給。ニアで知念がうまく頭で逸らすと、ファーに優磨が走り込む。しかし、優磨は惜しくも触ることができなかった。
初めてのチャンスをつくったアントラーズは、ここから流れを引き寄せる。相手を押し込んだ後のリスクマネジメントを徹底し、二次攻撃、三次攻撃につなげた。
しかし、決定機をつくるまでには至らず、0-0で前半が終了。ハーフタイムに突入した。
後半立ち上がりは拮抗した展開となったが、50分を過ぎたあたりから流れはアントラーズに傾いた。相手陣内深くまで攻め込み、波状攻撃を仕掛ける。
しかし、53分に佐野が2枚目のイエローカードを提示され、退場処分を受けてしまう。アントラーズは残り時間を10人で戦うことになった。
数的不利となったアントラーズだが、試合の流れは福岡に渡さない。60分にはピトゥカがミドルシュートを枠に飛ばし、相手ゴールを脅かした。
その後、アントラーズの攻撃の勢いが増していく。
知念が献身的に体を張って前線で起点をつくり、チャンスにつなげた。
68分、藤井との交代で松村を投入。スタジアムの大声援を受けて、数的不利を感じさせない攻撃を仕掛けていく。
76分、ハードワークを続けた知念に代えて、カイキを投入。さらに、86分には安西、樋口、優磨をベンチに下げ、広瀬、土居、垣田を投入した。
背番号12の力強い後押しを受けて、攻撃の勢いは増していく。後半アディショナルタイムには、福岡のペナルティエリア内で怒涛の波状攻撃を仕掛けた。
しかし、福岡の堅守を打ち破ることはできず、スコアレスドローで試合終了。非常に悔しい結果に終わった。
次は、中5日でアウェイ横浜FM戦に臨む。出場停止となる佐野の欠場は痛手だが、チーム一丸で準備を進め、日産スタジアムでの勝利を目指す。
【この試合のトピックス】
・土居がリーグ通算300試合出場
・植田がリーグ通算100試合出場
・松村がリーグ通算50試合出場



A.勝ち点をよく取ってくれたと思っているが、勝ち点3を目指していたし、特にホームでファン・サポーターの皆さんと「今日はともに勝ち取ろう」と考えていたので、満足とはいえない勝ち点になった。
ただ、第2節、第3節、第4節と、よく選手たちは戦っているというのが一番の評価。そのなかでもしっかりと勝ち点を積み重ねているし、前節の横浜FC戦もそうだし、今日もそうだが、判定のあとにもブレることなく勢いを持って戦ってくれている。そこは評価したい。勝ち点1をあまり悲観するような気持ちでもないし、言葉にするのは難しいところがある。
課題のところは、まだチームを作っている段階で、いろんなやり方をしてくる相手が出てきたときには、そのときどきで自分たちの判断基準をそろえる必要がある。そのためには経験を積まないといけない。それを一つひとつやっていかないといけない。
Q.90分フル出場した昌子選手の評価は?
A.経験のある選手なので、よく90分をまとめて無失点で終わらせてくれた。チームのリーダーの1人なので、いろんな状況があったが、選手たちに声をかけながらよく戦ってくれたと思う。
Q.フル出場は予定通り?
A.そうですね。あまり予定はしないが、僕もあのくらいの年齢のときは、90分が体感としてあった。それをマネージメントするのは難しくないと思っていたので、交代は試合前から考えていなかったことかもしれない。
Q.後半に1人少なくなってから、待ち構えて鋭いカウンターなど効果的な攻撃ができていたと思う。前半は35分過ぎからやりたいことができるようになった印象だが、その前の時間帯はどんな狙いや意図があった?
A.意図はたくさんあったが、それ以上に難しかったのが想定以上に相手が蹴ってきたこと。自分たちがプレスに行こうとした瞬間に蹴ってくる作戦をチームで徹底していた。それをやらなかったことによってプレスが効かず、相手はヘディングが強い選手をそろえているので、ボールを奪う場所もゴール前になってしまった。もう少し相手に出させたかったが、意図通りにできなかった。攻撃でもボールを持っているときに、相手のプレスからそれほど奪われることはないだろうと思っていたが、自分たちの目的とは別のところで、相手が前線に5枚をそろえて待っていた。5枚を前線にそろえるということは、中盤がいないということで、自分たちがボールを拾う可能性が広がるともいえる。もっとゴールに向かっていくようなボールを差し込んでいく展開を狙っていたが、選手たちは違う意図があったんだと思う。
そこは10人でも関係なく出ていこうとそろえたが、ここは先ほど言ったようないろんな相手に対して、どうしていくのかというところ。これから福岡とはルヴァンカップで2度の対戦があって、名古屋もこのような相手になるが、なかなか出てきてくれない相手に対してどうするのか。そこは意志をそろえないといけない。その選択が悪いわけでもないし、相手の中盤のスペースが空いたところをしっかりとつなぎながらも悪くはない。ただちょっと今の自分たちのやり方ではなかった気もするので、ここも話しながら考えないといけない。
Q.後半は相手が出てきたこともあっての展開となった?
A.ひとつは前半が終了する前、40分くらいに両サイドを変えたことがある。そこで背後を走る藤井のサイドが変わり、樋口が中に入りながら右足でコントロールができて、ビルドアップに関わることができるということで、少し景色が変わったように見えた。
あとは、直近の3試合と同じ並びになったので、コンビネーションもできているので、それもひとつ。守備でのプレスの掛け方も、前半の途中と後半の頭で少し修正して、誰がどのようにいくかをより行きやすく明確にした。どちらかというよりも、ボールを奪う方も奪いにいく方も、自分たちが保持して何をするかという方も、どちらも相手に対して有効になったことで後半に持ち返すことができた。ここもこの展開になったらこうしようというのが、試合を重ねればケーススタディが出てくるが、まだまだ。自分たちもどれがいいかを探している段階にある。
福岡は守備が堅い印象がある。自分が対峙する相手の左サイドには、一緒にプレーしてきた小田選手がいる。ずっと対戦を楽しみにしていたので、1対1で負けないようにしたい。
【昌子 源】
怪我をしてチームに迷惑をかけたし、自分自身、待ちに待ったアントラーズの復帰戦となる。久しぶりのカシマスタジアムでの試合だし、昂る感情がある。それをしっかりピッチで表現して、チームの勝利に貢献できるようにプレーしたい。
【植田 直通】
相手がどうこうよりも自分たちが負けないために、CBの仕事として、目の前の相手に何もやらせないことが大事になる。自分もいい準備をして、試合に入っていきたい。チーム全体に『自分たちがいるから大丈夫だ』と思わせるようなプレーをしていく。
ウォーミングアップのときからファン・サポーターの応援に鳥肌が立ち、あらためて「帰ってきた」という気持ちになった。勝って終わりたかったが、自分たちが示した姿勢は決してネガティブではないと思っている。次の相手は前年王者なので、アグレッシブに、チャレンジャーとして戦いたい。
【鈴木 優磨】
前半からなかなか自分たちのペースでプレーできなかった。でも、5バックで構えてくる相手に対しての課題も見えた。こういう試合は真っ向勝負を挑むのではなく、チームとして工夫することが必要だと思う。(守備面は)昌子選手と植田選手がいれば簡単にはやられないので助かっている。
【植田 直通】
(昌子選手とのCBコンビは)練習でも全然やっていなかったのでいきなり本番のような形になったが、全く問題なかった。今までも2人で守ってきたから自信はある。引き分けに終わったが、10人になっても負ける気はなかったし、自分たちが勝ちにいく姿勢を見せられたことは良かったと思う。
【常本 佳吾】
ホームゲームでたくさんのファン・サポーターの皆さんが足を運んでくれて、求められていたのは勝ち点3だった。1人減ってはしまったものの、勝ち点3を取りにいくことが自分たちの任務だったので、勝つことができず残念。個人的には攻撃の精度をもっと向上させていかなければいけないと感じた。
【松村 優太】
体のキレやボールに触れる感覚はいいが、終盤のチャンスの場面では相手DFに体を寄せられたことで足を振り急ぎ、シュートを外してしまった。あのようなチャンスをものにしていかないと優勝争いには絡んでいけないと思うので、次の試合では必ずゴールを決めたい。
【土居 聖真】
(リーグ戦通算300試合出場)ここまで早かったような、長かったような気がしている。思い返すと自分にとっては濃密な300試合だった。これまで関わってくれたすべての人たちに感謝したい。今日は勝って、記念の数字を祝いたかったが、最低限の勝ち点1を拾う結果になった。