7年ぶりのリーグ制覇を懸けた決勝、第1戦の日を迎えた。浦和レッズを聖地・カシマスタジアムに迎え撃った鹿島は、57分にPKで先制ゴールを許し、最後まで反撃は叶わずに0-1で敗れた。
鹿島は23日のチャンピオンズリーグ準決勝で川崎Fを1-0で破った。決勝進出のためには勝利以外は許されない、一発勝負のアウェイゲーム。制度上のディスアドバンテージを抱える中、まさに狙いどおりに試合を進めた。前半をスコアレスで終えると、50分にワンチャンスを生かして金崎が均衡を破る。その後は川崎Fの猛攻を受けたが、チーム一丸となって身体を張り、1点を守り切った。ビジタースタンドを埋め尽くし、熱いサポートを貫き通した背番号12とともに、決勝への切符を奪い取った。
決勝第1戦までの準備期間は5日間。準決勝直後に小笠原が顔色一つ変えずに語ったとおり、「まだ何も勝ち得ていない」チームは、日々集中力を高めていった。離脱していた柴崎も復帰を果たし、役者は出揃った。激化するポジション争い。リーグ制覇へ向けて定まった1本のベクトルを、「試合に出たい、そして勝ちたい」という各々の渇望と切磋琢磨がさらに強く、太くする。ビッグマッチ前特有の高揚感と緊張感に包まれながら、準備は着実に進んでいった。そして前日練習を終えて、石井監督は静かに語った。「チームは非常に良い状態にある」。
指揮官は川崎F戦から先発メンバーを1名変更。2列目に中村を起用し、攻撃陣の一角を託す。前線は金崎と土居、中盤は中村とともに遠藤が並び、ボランチでは永木と小笠原がコンビを組む。そして最終ラインは右から、西とファン ソッコ、昌子、山本。最後尾には曽ケ端が立ちはだかる。ベンチには、GK櫛引と植田、伊東、復帰を果たした柴崎、三竿、ファブリシオ、赤崎が控える。
日中は穏やかな青空に恵まれたカシマスタジアム。サポーターが続々と入場し、選手バスが到着した頃には日が沈み、聖地は漆黒の闇に包まれた。それを切り裂くように照らされた常緑のピッチに、アントラーズレッドの情熱が降り注がれる。ヒートアップするスタンド。ファイナルの舞台に立つ誇りと、タイトル獲得への意志を胸に。19時25分、背番号12とともに戦いの始まりを告げるホイッスルを聞いた。
立ち上がりから、ファイナルにふさわしい緊迫した展開となった。鹿島は開始早々にシュートを打たれ、浦和の攻勢を受ける形となったものの、身体を張った守備で対応。8分にはクロスからのヘディングシュートでゴールネットを揺らされたものの、最終ラインがしっかりとラインコントロールを行ってオフサイドを取った。鹿島は時計の針が進むにつれ、少しずつペースを取り戻していった。
20分頃から、鹿島は中盤でセカンドボールを確保できるようになって主導権を握る。両サイドバックの西と山本がオーバーラップする場面も増え始め、浦和を押し込んだ。ただ、セットプレーのチャンスも含めてシュートへ持ち込むことができない。中盤でのファウルも増え始め、激しいボディコンタクトの応酬となった。
鹿島は44分にペナルティーエリア左側からシュートを打たれたものの、曽ケ端がビッグセーブを見せてゴールを許さない。前半ながら3分と表示されたアディショナルタイムを終え、スコアレスでハーフタイムを迎えることとなった。鹿島は前半、シュートを打つことができなかったが、無失点で45分を終えた。
後半開始早々、鹿島はビッグチャンスを迎える。51分、最終ラインの背後でパスを受けた遠藤が相手GKと1対1になって右足で狙ったものの、シュートは阻まれてしまった。
この日最初のシュートチャンス、しかも決定機を作り出したことで、カシマスタジアムのボルテージは高まる。しかし6分後、先制ゴールは浦和のものだった。ペナルティーエリア内に飛んだクロスに対応した西が相手と接触。主審はペナルティースポットを指し示し、PKが宣告された。騒然とするスタジアム、そして放たれた阿部のボールがゴールネットを揺らした。
アウェイゴールを奪われてビハインドを負った鹿島は、62分に柴崎を投入して打開を図る。10月22日以来の出場となった背番号10はブランクを感じさせない動きで存在感を見せた。ピッチに立ってから2分後の64分、ペナルティーエリア左側から強烈なシュート。惜しくも枠の左へ逸れてサイドネットを揺らしたが、いきなりチャンスを作り出してみせた。
守りに入る浦和に対し、鹿島はボールキープ率を高めてゴールを狙っていく。73分には西がペナルティーエリア右角から強烈なシュート。77分にもオーバーラップしていた西がペナルティーエリア内で倒されたが、笛は鳴らなかった。金崎や土居も力強い突破や献身的なプレスを敢行し、必死にゴールを目指した。
石井監督は80分にファブリシオを投入し、前線を活性化して同点ゴールを狙う。85分には右CKから金崎がヘディングシュートを枠に飛ばしたが、相手GKの正面を突いてゴールには至らない。そして89分には伊東をピッチへ送り出し、右サイドからのオーバーラップに突破口を見出した。
そして、この日最後のビッグチャンスは後半アディショナルタイム。右サイドからのFKがファーサイドへ流れたところから、パスを受けた柴崎がペナルティーエリア左手前でボールを持つ。狙いを定めて放たれた浮き球のパス、反応した土居。ヘディングシュートはゴール方向へ飛んだが、しかし、枠のわずかに右へ逸れていった。
0-1。ホームでの第1戦は完封負けという結果に終わった。だが、まだ90分間が残されている。試合終了のホイッスルが吹かれた後、選手たちを出迎えるスタンドからは熱い声援が送られた。下を向く暇はない。12月3日の第2戦、埼玉スタジアムで2点以上を奪って勝利を収めること。それだけを目指して、中3日で迎える最終決戦へ準備を進めていく。勝負はまだ終わっていない。
【この試合のトピックス】
・中村が7月23日のJ1 2nd 第5節浦和戦以来の先発出場を果たした。
・柴崎が10月22日のJ1 2nd 第15節FC東京戦以来の出場を果たした。


・自陣でもっとボールを保持して、バランスよく、自分たちのリズムを作っていくこと。
・もっと周りをシンプルに使うこと。お互いの呼吸とイメージを合わせていこう。
・慌てずに落ち着いてプレーしよう。
・走ること。
Q. 守りから入りたいと言っていたが、前半シュート0だったことはOKと考えていたか?
A. 守備のところでは相手を制限することができたと思うが、そこから攻撃に移るときに自分たちでボールを失ってしまう場面が見られた。その点は満足していないが、守備に関してはある程度はできていたと思う。
Q. 川崎F戦のように前からボールを奪いに行くと思っていたが、ブロックを作る戦い方をしたのか?
A. 全体の意図としては、前から自分たちでボールを奪いに行くかたちを多くしたいと考えていた。しかし相手のいることであり、そこは状況を見て選手がしっかり判断してくれたと思う。
Q. 柴崎選手が久しぶりの試合出場だったが、調子はどうか?
A. 非常にいい状態になっている。今日は負けてしまったが、第2戦に向けていい材料だと思う。
Q. 次の試合、最低2点が必要だが、どのように変化をつけるか。
A. 失点した後の戦い方が理想的。自分たちからボールを奪いに行くかたちを考えつつ、しっかり相手陣内でボールを動かす。そのために、今日、交代の選手を入れたが要望通りの動きをしてくれたので、次の試合に向けて期待が高まる。
Q. コーナーキックからチャンスが多かったが、狙い通りか?
A. それほど普段と変わらないと思う。今日はキッカーの質が非常によかったと思う。そこがチャンスに見えたと思うが、普段も同じようなかたちでやっている。今日は中に入る選手のタイミングと、キッカーの質があっていたと思う。それがさらにゴールに向かえばと思う。
勝つための試合ができればいいと思う。相手のやり方や雰囲気を見ながら戦いたい。2試合と考えずに1試合1試合と考える。ホームで勝つにしても無失点で終わる事や点差をつけるのも大事。まだ何も成し遂げていないので、自信がついたとか、そういうのはない。
【永木 亮太】
相手に合わせたやり方もやらないといけないが、戦う姿勢やテンションは継続していきたい。アントラーズに来てから、まだ浦和戦をスタメンで出たことがない。相手のポジショニングが変則なので、コミュニケーションを取り臨機応変にやらないといけない。
【土居 聖真】
浦和は長年、今のようなスタイルで確立してきたチーム。前線が独特なコンビネーションのチームだが、それをやらせなければ自分たちのサッカーが出来る。こちらの攻撃に関してはイメージしている。自分たちが失点したら不利になるので、失点しない事が優先になる。
【山本 脩斗】
相手は攻撃力がある。90分間通して、守備は集中しないといけない。体を張って守りたい。浦和は選手層が厚いので、代わりに入ってきた選手も攻撃力が落ちることはない。点を取る能力も高いが、誰が入ってきても、こちらのやる事は変わらない。ホームでは失点を避けたい。それはみんなが分かっている。スコアレスの時にホームだし、リスクを冒して点を取りにいくのか、状況に応じて考えないといけない。いい守備からいい攻撃をしたい。
【中村 充孝】
浦和は他のチームにないシステムだが、相手を気にしすぎても仕方がない。失点しない事も大事だが、どっちにしても点を取らないといけないし、1試合で決めるつもりではいる。目の前の試合を引き分けで終わるという考えはない。自分たちのサッカーを90分やり続ける。
何回かチャンスもあったし、自分のヘディングシュートもあった。切り替えて、次の試合で結果を残すしかない。今日よりもさらに攻撃的にいかないといけない。2点を取って勝ちたい。
【昌子 源】
浦和のやり方をチーム全員が分かっていることが重要だった。負けたことが残念。2点目を取られると厳しくなることは分かっていた。相手はカウンターも強いが、1点で抑えることができたことを良い意味で捉えて2戦目に臨みたい。1stステージでの対戦では2-0で勝った。不可能ではない。
【山本 脩斗】
個人の1対1ではうまく対応できたと思う。相手が両ワイドに張っていたので、中を閉じてサイドでボールを取りきることを狙っていた。全体として自分たちのイメージ通りの守備ができたと思う。危ないシーンもなかった。そこから攻撃にどうつなげるか。次は2点を取らないといけない。個人としての質も高めていきたいし、どの時間帯で勝負するのかというところを、明日から石井さんを中心にチーム全体で意思統一していきたい。
【曽ケ端 準】
こういう試合なので、ある程度手堅い展開になった。プレスに行くところは前からしっかりと行けていたと思う。しっかりと球際でも戦えていたと思う。次、頑張ります。
【伊東 幸敏】
相手の背後を取ってサイドから攻めようと思ってピッチに立った。チャンスは1本あるかないかだと思っていたので、1本で勝負を決めるつもりで出場した。雰囲気は全然悪くない。チャンスはある。
【ファン ソッコ】
ホームで失点せず、0点で終わらせたかった。前半は自分たちの意図していた通りに相手をコントロールしながら守ることができた。後半は全体的に体力が落ちたところでタイトな守備が出来ずにフリーでボールを持たれる場面を作らせてしまった。2戦目に向けてコンディションを整えて臨みたいと思う。絶対に勝つという強い気持ちで戦いたい。