
今年で20周年を迎えるJリーグのカップファイナルにふさわしい激闘となった2012年Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝は、延長戦の末、柴崎の決勝弾で2-1と難敵清水を倒した。これで鹿島は昨年に続きこの"聖杯"を連覇し、タイトル最多獲得記録を16に伸ばした。また現役時代(97年)にナビスコカップ優勝を経験しているジョルジーニョ監督にとっては初タイトル、しかも選手としても監督としてもこのタイトルを勝ち取ったのは史上初というおまけまでついた。
序盤、先週末のリーグ戦にカシマで1-2と敗れた清水に対し、鹿島は中盤でしっかりとブロックを作る守備を重視した戦術を取る。試合後、「サイドハーフとサイドバックでユニットを作って、相手のサイド攻撃に対応する」と戦術を披露したジョルジーニョ監督はその意図もあり、左サイドバックに本来はセンターバックの昌子を起用するなどチーム全体に守備の意識を強く与えた。
その成果もあってか、前半は大前、高木らに攻め込まれるものの鹿島は全員が高い集中力を保ち、清水の攻撃を0に抑える。後半に入ってドゥトラ、増田らがピッチに立つと鹿島は守ってからのカウンターを狙い、清水ゴールに迫る。そして71分、カウンターから飛び出した柴崎がエリア内で李に倒され、PKのチャンスを奪った。
ここでジョルジーニョ監督がキッカーに指名したのは、PKを得た柴崎本人だった。「冷静な柴崎にPKを蹴らせたかった」と試合後に語ったジョルジーニョ監督の言葉通り、柴崎は冷静にPKを決め、鹿島は73分、待望の先制点を得た。
だがその4分後、今度は自陣エリア内で増田がまさかのファウルを取られ、清水にPKを献上する。これを大前に決められ、試合はあっさり振り出しに戻った。そして90分を戦い終え、スコアは1-1のまま。2012年ファイナルも昨年同様、延長戦に突入する白熱した試合展開となった。
延長戦に入ると、やはり経験豊かな鹿島が一枚上だった。延長前半のキックオフからわずかに3分後、右サイドの崩しから西のラストパスを受けた柴崎がトラップだけで清水DF陣をかわし、豪快に右足を振り抜いた。これが清水ゴールに突き刺さり、若きエースの活躍により鹿島は再びリードする。
その後、カウンターから追加点のチャンスも何度か演出した鹿島は守備面でも全員が最後まで体を張り、清水の攻撃を封じ込めた。そして4万5,228人の大観衆の前で今シーズン、再三苦しめられた清水を2-1と撃破、鹿島は通算5度目、そして連覇となるナビスコカップ制覇を果たした。
これで通算タイトルを16冠とし、最多記録をまたもや塗り替えた鹿島。「国立で勝って、監督を男にしたい」と言うキャプテン小笠原の言葉通りの結果であり、また昌子、増田ら出場機会の少ない選手たちが活躍すれば、先発の座を譲った新井場も途中交代で意地のプレーを見せるなど、まさにチーム一丸となってもぎ取った勝利だった。これで2007年以来6年連続タイトル奪取した鹿島はこれからリーグ戦でも巻き返しをはかる。強い鹿島が帰ってくる兆しの見えたファイナルだった。






















・焦らず、最後のホイッスルまで、心身のバランスを維持しろ。
・オフザボールでもしっかり相手選手を見ておくこと。各エリアでリスクマネージメントを徹底して欲しい。
・ボールスピードを上げて行け!我々のハイスピードサッカーに相手は付いて来れない。
・我々がチャンピオンになる!Go for it!!
清水というチームは本当に素晴らしいチームだし、おもしろい選手も多く、パスワークもいい。そして若さもあるし、タフさもある。ゴトビ監督という素晴らしい指導者の下、しっかりチームとそしてのトレーニングを積んでいると思う。ただ、今日は我々が相手の長所を消す中でゴールを決めることができた。
また最後は柴崎の素晴らしいパフォーマンスが見られた。若い選手だが日本代表でも活躍できる存在だし、将来的には日本サッカーを牽引する1人になると確信している。あれだけの選手に出会うことは少ないし、あの冷静さは驚くべきこと。あれで20歳だが、ベテランのような落ち着きがあるしフィジカルも強い。あの中盤のポジションは難しいポジションだが、時々私がヒヤリとするほどの落ち着きぶりを持っている。PKでも分かったように、あれだけ強靱的な精神力を持っている。今日は冷静な柴崎に蹴って欲しいと思った。私は彼の指導者であることに喜びを感じているが、恐らく近い将来ヨーロッパでプレーすると思うので指導する期間は短くなるだろう。ただそれは日本サッカーにとっていいことだと思う。
(増田の途中出場について)色々な状況を想定しなければいけなかったし、相手の長所も考える必要があった。清水の両サイドバックは攻撃的で、しかもサイドハーフと一緒にユニットで攻めてくる。こちらはサイドハーフ、サイドバックのユニットで守っていく必要があった。増田を入れることで小笠原、柴崎のボランチにして、引き続きユニットで守っていくバランスを取った。本田は怪我から復帰して間もないし、90分やれる状況でもない。また昌子を左サイドバックに置いたことについて驚かれた方もいらっしゃると思うが、清水にはここまで2敗している。いずれも大前選手にやられているわけで、そこをケアしたいと思った。新井場は昌子よりも攻撃的で、今回の意図である一対一での対応に適しているわけではない。昌子には大前選手を自由にさせないことをミッションとして、もし相手が水を飲みに行くようだったら、一緒に飲みに行くぐらいの気持ちでやれと言った。きちんと役目を果たしてくれたと思う。
(選手として、そして監督としてヤマザキナビスコカップを優勝した初めての人物となって)現役でも監督でも獲れたという結果を出したということになったが、そういうチャンスをもらえる人も少ない。だから私は幸運な人間だと思う。ただまだ終わったわけではないし、他のタイトルも獲りにいく。一番重要なのは、選手たちの意思。選手たちから次も獲るという気持ちになってこそ、前に進める。
出来れば90分で勝ちたかったが、結果的に優勝で終われたことは良かった。勝って喜べるというのは嬉しいこと。
【新井場 徹】
素直にうれしい。途中出場だったけど結果的にチームが勝ったことは良かった。前半は相手ペース。そういった中で点を取れた。PKで追いつかれはしたが、徐々にこっちのペースになって来た。その後、うまくゲームコントロールして、冷静に出来た結果が優勝につながった。
【遠藤 康】
優勝は嬉しい。2回くらいゴールチャンスがあったが、結果的にチームが勝てたから良かった。決勝だからお互いが探り合いだった。後半以降はスペースが出来ると思ったので、そこで決まるかどうかだった。リーグ戦で2回負けているので、どうしても勝ちたかった。自分がボールを運べれば、後ろが楽になるしドゥトラが何とかしてくれると思っていた。
柴崎選手、小笠原選手のコメントはアントラーズモバイルをご覧ください。