天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会 準決勝、カシマスタジアムでヴァンフォーレ甲府と対戦した。前半に一瞬の隙を突かれて、宮崎に先制点を奪われると最後まで同点に追いつくことができず、0-1で試合終了。準決勝敗退に終わった。
非常に重要なこの試合、スターティングメンバーには、GKがスンテ、最終ラインは広瀬、関川、三竿、安西、中盤から前線は、樋口、名古、ピトゥカ、土居、優磨、カイキが入った。ベンチには、早川、ミンテ、中村、仲間、松村、和泉、エヴェラウドが座る。
平日夕方、雨の降る中での試合となったが、スタジアムには多くのアントラーズファミリーが詰めかけた。立ち上がりからアントラーズは、声出し応援エリアからの力強い後押しを受けて、積極的に攻撃を仕掛ける。9分、レフェリーの通信機器の機材トラブルにより、試合中断を余儀なくされる。約5分後にプレーが再開されたが、試合の流れは変わらない。アントラーズがボールを支配して、甲府陣内でのプレーを続けた。
しかし、ボールを能動的に動かして試合を進めるも、なかなかチャンスをつくれない。すると、20分に甲府に決定機が訪れる。長谷川のスルーパスから三平に抜け出され、三平にゴールネットを揺らされてしまった。これは三平がオフサイドとなり、失点にはならなかったが、肝を冷やす場面だった。
失点を免れたアントラーズは、すぐさまチャンスをつくる。22分、ピトゥカの縦パスをカイキがダイレクトで叩き、優磨がペナルティエリア内からボレーシュートを放つ。しかし、惜しくも枠を捉えることができず、先制点とはならなかった。
その後、しばらくこう着状態が続いたが、32分に相手のミスから決定機が訪れる。土居がボールに喰らいつくと、こぼれ球に反応したカイキがコントロールシュートを放つ。しかし、これは惜しくも枠を捉えられなかった。
チャンスを逸したあと、今度は甲府のカウンターを受ける。関口のパスから長谷川にシュートを許す。これは枠を外れて失点には至らなかったが、嫌な雰囲気が流れた。
すると、37分に痛恨の瞬間を迎えた。浦上から供給された1本のロングパスで、宮崎にディフェンスラインの裏へ抜け出される。宮崎はスンテを交わして無人のゴールへシュート。欲しかった先制点は甲府に奪われてしまった。
失点後もアントラーズは運動量と連動性を欠き、流れを手繰り寄せることができない。
前半アディショナルタイムにも、ゴール前で甲府に決定機を許す。しかしここは、スンテの好セーブに助けられた。このまま前半は状況を好転させるきっかけをつかめず、枠内シュートはゼロのまま。0-1でハーフタイムに突入した。
後半から土居と名古をベンチに下げ、エヴェラウドと仲間をピッチへ投入した。前線の運動量が高まり、サイドからのクロス攻撃が徹底された。しかし、相手陣内での精度が低く、なかなか決定機をつくれない。もどかしい時間帯が続いた。圧倒的にボールを支配し、じわりじわりと圧力を強めていくが、なかなかシュートを放つことができない。
それでも67分から立て続けに決定機をつくる。優磨のクロスからエヴェラウドがヘディングシュート。このプレーで得たコーナーキックの流れから、再びエヴェラウドがヘディングシュート。どちらも枠を捉えたが、相手GKのセーブに阻まれてしまった。ここから甲府のゴール前でのプレーが連続し、何度も決定機をつくるが、どうしても得点が奪えなかった。
まずは同点に追いつくべく、76分にカイキとの交代で松村を投入した。しかし、5-4-1の守備ブロックを敷く甲府の目線を変えることができず、簡単に跳ね返される攻撃が目立った。
それでも83分にフリーキックから決定機をつくる。樋口のクロスを関川が高い打点で折り返し、こぼれ球を仲間が気持ちでゴールへ押し込んだ。しかし、その仲間がオフサイドを取られ、得点は認められず、同点弾とはならなかった。
86分に広瀬との交代でミンテを投入する。
システムを変更し、攻撃の圧力をさらに強めた。しかし、最後まで得点を奪うことができず、このまま0-1で試合終了。準決勝敗退が決定した。
天皇杯というタイトルを、ホームのカシマスタジアムで失った事実は非常に重く、そして大きい。「クラブ史に残る大失態」と試合後、岩政監督は語った。突きつけられた現実をしっかりと直視し、挑み続けるしかない。
【この試合のトピックス】
・なし



・チャンスを作ったとき、決して慌てないこと。
・ここから自分たちで、この展開を乗り越えよう!
・攻守ともにシンプルにプレーする部分は忘れないこと。
・攻撃は相手の背後を狙っていこう。
A.クラブ史に残る大失態だと思っている。
Q.相手の堅守速攻に対して、なぜ崩せなかったのか。あと守備において背後をロングボール一本でつかれた原因についてどのように考えている?
A.今日に関しては、崩せなかったとは思っていない。前半も(相手が)5バックなので完全にフリーで抜け出すことはないが、ビッグチャンスや完全に崩したシーンもあった。前半はクロスの精度のところがなかなかうまくいかなかったが、それでも十分に入り込んだと思っている。シュート数、崩した回数を含めて、5バックの相手に対して少なかったとは思っていない。ただ、20本近くシュートを打って1本も入ってないので、ゴールを取り切るというところに関しては、私が就任してから2点を取れたのが1、2回。それが今日も出てしまった。
ロングボールに関しては、昨日のトレーニングでも今日のミーティングでもアナウンスした形だった。甲府はほとんど想定した通りの戦いだった。想定して準備をして伝えたからといって、全部を守れるわけではないのがフットボール。そこはなぜ守れなかったのか。他のシーンでも彼らの狙っている形でチャンスを作られていた。そこはチームとして自分たちが弱いということだと思う。
Q.「クラブ史に残る大失態」となった原因、大失態が起きた理由についてどう考えている?
A.フットボールの神様が「もっとやらなければいけないことがあるよ」と言っているのだと思う。大体は色々なことにおいて、起こるべくして起こるものだと思っている。今回がタイトルを獲り切るということで、新しい時代が切り拓かれるのか。もしくは、その逆なのか。突きつけられる現実だろうと思っていた。今回の現実をもって、アントラーズが取り組まなければいけない現実に、直視して挑んでいかなければいけないということを伝えられているのだろうと思う。
試合は誰もが僕たちが勝つとは思ってもいなかったでしょうから、それを少しずつくつがえしていこうと、ゲームが始まってから何か違うぞ、何か甲府がめんどくさいぞというのを増やしていくことが、僕たちが勝つための道だと選手たちに話をした。立ち上がりは蹴り合いになるが、引かない。そこから出ていく。いずれボールが落ち着けば自分たちの距離感になってくると話していた。前半はそのように進んだと思う。アントラーズの圧力も強くてボールを失ったこともあったし、ボールを取れないシーンもあった。それでも長いボールから1本のパスで点を取った。あのシーンは何度か作っている。リーグ戦では入らないが今日は入った。いろんな力がこのカシマスタジアムにはあったのではないかと思う。
しのぎ切る、守り切る、時間を使うことにこれまで何度も失敗してきた。リーグ戦は割り切りやすいが、点が取りやすそうだから点を取りに行くとか、今日の試合はとにかく勝つということを達成するために、全員で時間を使った。成長が見て取れた。
とにかく総括すれば、うれしいの一言。ホッとしたところもある。勝つことはプロとして相手がどこであろうと勝たなければいけない。最近は勝っていない、しかも勝ちそうな試合ばかりをしている。皆さんをやきもきさせたなかでの今日のセミファイナルだったので、何よりホッとした。カシマスタジアムで鹿島に勝つということは、特別なこと。それを成し遂げた選手、クラブ関係者、クラブをサポートして盛り立てているすべての皆さんにおめでとうございますと伝えたい。
一瞬の隙もつくらずに、ゴール前での最後のクオリティを上げる必要がある。今シーズン、僕たちに残されているタイトルは天皇杯しかない。ホームの最高の雰囲気で勝てるよう、ファン・サポーターの皆さんとともに戦う。
【樋口 雄太】
どの試合でもそうだけど、一発勝負の天皇杯ではいつも以上に試合の入り方が大事になってくるし、先制点を取ることが重要になる。チャンスはあるので、そこを決められるかどうか。勝てば決勝に行けるので、勝つしかない。
【アルトゥール カイキ】
より集中して試合に臨まないといけないので、ファン・サポーターの皆さんの力が必要になってくる。一発勝負の天皇杯で、チームとして一致団結するしかない状況。決勝進出に向けて、みんなで戦っていきたい。
【鈴木 優磨】
天皇杯は一発勝負の大会。リーグ戦とは異なる気持ちで試合に臨める。最近、チームとして決勝に行けていないので、難しい戦いにはなると思う。決勝進出という結果を得たうえで、次につながるような試合にしたい。
【松村 優太】
大事なところでのゴールを期待されていると思う。チャンスがあれば、自分の武器を出していきたいし、怪我で苦しい時間が長かった分、しっかりとピッチに立って、期待に応える結果を残したい。
僕たちは決勝に行けると信じていたので、すごく残念だし、ショックを受けている。悪天候のなかでもたくさんのファン・サポーターの皆さんに応援してもらった。彼らの思いに応えるためにも、リーグ戦の残り3試合は、来シーズンも期待してもらえるような結果と内容を示したい。
【鈴木 優磨】
辛抱強く応援してくれているファン・サポーターの皆さんに申し訳ない。自分がチャンスで得点を決めていれば勝てたかもしれない。自分の不甲斐なさを強く痛感している。この結果を受け入れて、前に進むしかない。でも、僕はあきらめない。いつ見ることになるのかわからない光に向かって、止まらず進んでいきたい。
【ディエゴ ピトゥカ】
応援してくれたファン・サポーターの皆さんには申し訳ないとしか言いようがない。今日は相手の闘争心が我々を上回っていたと思う。これからやるべきことはたくさんあるが、リーグ戦の残り3試合で3位以内に入ることを目指して、最終節までしっかりと戦っていきたい。
【仲間 隼斗】
このような結果になってしまい、今はファン・サポーターの皆さんに申し訳ないという気持ちしかない。今日、失ったものは、この先のプレーで見せることで取り返すしかないと思っている。どんな状況であってもアントラーズの一員として、残りの試合を120パーセントの力で戦っていく。
【クォン スンテ】
最後の試合だという気持ちで準備して、この一戦に臨んだ。ファン・サポーターの皆さんには申し訳ない気持ちしかない。日本に来て、最初のJリーグの試合で勝った相手が甲府。(試合後に涙を流したのは)その甲府との試合がこのような結果になったことで、いろいろな感情があふれてきた。本当に苦しい。まだリーグ戦が3試合残っているので、必ず勝ちたい。