DRAMA Vol.06 いい町をつくる

もともとこの鹿島地域は、広大な砂丘と松林のなかに農家がポツポツと点在するだけで、夜には真っ暗やみとなってしまう“陸の孤島”であった。

それが、1960年ごろから、史上類を見ない大規模な改造が行われる。工業地帯をつくり農民たちの経済的な開放を行うという、いわゆる“農工両全”の鹿島開発が急速に進められ、20年ほどの間に工業地帯としては大成功を果たした。

しかし、その反面、人々が暮らす町として考えると、いささか寂しい町になってしまった。仕事、勉強、生活以外の息抜きや楽しみなど、町全体の潤いに結びつく要素が少ないのだ。

この地域の企業にしてみてもこの問題は深刻で、優秀な人材を採用してこの町に定着させたいと考えても、若者たちはこの町に長く住もうとしない。ここで働く人々の家族にとっても、暮らしの中に楽しみや張りを見つける機会が少ない。

そこで、地域に住むみんなの力で、なんとか楽しい町、潤いのある町にしようというのが、「地域の活性化」だ。 そこには、この地域に暮らす人々の願いが込められている。