鹿島アントラーズ誕生物語
DRAMA Vol.01 夢を創り上げた男たち
このプロサッカーリーグ10チームのなかでも、鹿島アントラーズは特別な指命を背負ってボールを蹴る。
チーム名に企業の名をつけない、またサッカー王国でもない鹿島という「町」から立ち上がったアントラーズは、国内の、どのプロスポーツの、どのチームにも似てはいない。たとえるなら、それは“鬼子”のようなものである。
Jリーグ・チェアマンの川淵三郎氏は、J リーグ加入チームの選考の時期を振り返り、こう語った。
「住金(アントラーズを指す)が加入できる確率は限りなくゼロに近く、99・9999%ダメだったと思う。」
だが、雄々しく猛る強靭な“角”を持ったその鬼子は、多くの人々の切実な願いと燃えるような期待のなかから、温かな夢を内包して生まれてきたのだ。
サポーターたちの激しい応援に包まれ、頂点を目指してプレーを繰り広げる選手たち。そして舞台の裏側では、逆風に負けず、歯をくいしばりながらその鬼子を世に生み落とし、支え続ける「影のプレーヤー」たちがいる。彼らがいなかったら鹿島アントラーズは誕生できなかった。
鹿島アントラーズがなぜ愛すべき鬼子としてこの世に生を受けることになったのか。彼らの活躍とともに、チームの生い立ちを振り返ってみよう。