2023明治安田生命J1リーグ 第31節、カシマスタジアムで浦和レッズと対戦した。
前節、国立で首位の神戸に1-3と完敗を喫したアントラーズ。これでわずかに残っていたリーグ優勝の可能性も潰えてしまった。
大きな失望を心に抱きつつ、選手たちは次の戦いへ向けて歩みを進めた。負けた悔しさを払拭するのは、勝利しかない。またできる限り上位へ行くという強い決意のもと、アントラーズはリスタートを切った。
次の相手は、ライバルの浦和。リーグ前半戦では、敵地の埼玉スタジアムで0-0という結果に終わっている。順位のためだけではなく、絶対に勝たなければいけない相手だ。
なお、この試合は「メルカリ ビットコインデー ~All for One すべては勝利のために~」として開催された。
この重要な一戦に、岩政監督がピッチに送り込んだスターティングメンバーは、GKに早川、フィールドプレーヤーに広瀬、植田、関川、安西、ピトゥカ、佐野、樋口、仲間、垣田、優磨の11人。そしてベンチには、沖、昌子、土居、荒木、舩橋、松村、師岡が座る。
そして戦いの舞台は、我らがホームのカシマスタジアム。カシマ今季最多となる29,305人もの大観衆で、12番目の戦士たちは試合前からスタジアムを最高の雰囲気に包んでくれた。
スタンドからの熱気を体中に感じつつ、アントラーズは序盤から浦和に強い圧力をかける。3試合ぶりの先発出場となった垣田、仲間が前からハードワークを見せれば、優磨も体を張ったプレーでチームをけん引する。だが、ここまで22失点とリーグ最少失点を誇る浦和も堅い守備で、特に両サイドからの進入をアントラーズに許さない。激しいボールの奪い合いと前線へ素早くボールを運ぶ戦いが続くなか、両者ともに最後の一線は堅く守った。

前半、アントラーズに訪れたピンチは34分。岩尾からのFKをフリーでホイブラーテンにヘディングで合わせられたが、ここは早川が集中力高く、スーパーセーブを見せ、難を逃れた。
後半に入っても、一進一退の攻防は続く。前半、ハードワークをみせた仲間に代え、54分、松村をピッチに送り込んだ岩政監督はその後、69分には広瀬に代え、土居、74分には安西に代え、舩橋、垣田に代え、師岡とフレッシュな選手を入れて強度を落とさない策を取った。しかしそれでも浦和の堅守を破ることはできない。最大のチャンスは、71分。ゴール前20m付近で得たFKを樋口が強烈な一撃で得点を狙う。鋭いボールは相手GKの西川も届かないコースに飛んだが、これがクロスバーに嫌われる。
互いの意地とプライドがぶつかり合った90分を経て、この対戦、今季2度目となるスコアレスドローで決着となった。
上位に行くためには勝たなければいけないアントラーズだが、この試合もまた悔しい結果に終わった。しかしそれでも試合終了後の挨拶にまわる選手たちを12番目の戦士たちは力強く、そして温かく迎えてくれた。この仲間がいる限り、選手たちはもう一度立ち上がり、勝利のために戦う。ただ、ひたむきに上を目指す。
【この試合のトピックス】
・負傷から復帰した師岡が7月16日のアウェイFC東京戦以来、約3カ月ぶりの公式戦出場。



A.ホームの浦和戦というのは自分自身もよく知っている。アントラーズのファン・サポーターの皆さん、このクラブに関わる皆さんが1年間で一番気合が入ると言ってもいいくらいの試合だと認識している。そのため、この試合に勝ちたかったという思いが一番にある。特に、このクラブの選手にとっては優勝の望みがなくなることはすごく大きなことで、前節まではその可能性があるなかで戦っていたが、(前節で)それがなくなってしまい、この1週間は非常に苦しかった。それでもトレーニングからすごく集中して取り組んでくれて、それが今日の試合のピッチ上に表れて、無失点で抑えてくれたことを評価してあげたい。そこから先の相手を崩し切ることは、浦和との今季1戦目と同様にできなかった。それはお互いになのかもしれないが、次への課題として残った。
Q.攻撃面で相手を崩し切るために、選手個々の能力を活かすだけでなく、オートマチックにポケットを取ることも重要になる?
A.それは選手によると思っている。ポケットを取ることがゴールへの唯一の策ではないのだから。例えば、今日は垣田選手を起用したが、ポケットを取りたいのならば、タロウや聖真を起用したほうが良かったのかもしれない。そのためにチームとしてオートマチックに戦うことは一つの考え方かもしれないが、うちのサイドバックの特長、うちの攻撃陣の特長、結果を出している選手たちの特長を活かしたうえで戦っていくことは、どの監督も考えることだと思う。オートマチックというか、パターンとしてニアゾーンを取っていくことは、パターンでやろうがやるまいが、相手が4バックであれば結果的に見えるスペースではある。オートマチックということは関係ないと思う。
Q.仲間選手と垣田選手を先発起用した狙いと、彼らの評価は?
A.2人だけでなく、今日のスターティングメンバーの選手たちが、おそらく今季、チームを最も勝たせてきたと思っている。そのため、調べたことはないが、最もスターティングメンバーとして出場している回数は多いだろうし、チームの中で出場時間も多いだろう。結果というものをフットボールではいろいろな捉え方をするが、得点、失点だけでなく、チームを勝たせてきたという結果という面では。とはいえ、自分自身は30数人の監督なので、チームのいろいろな状況、勝ち負けがついてくるなかで11人だけを起用して1年間、試合をするわけではない。チームとして優勝を目指すうえでいろいろなオプションを持たなければいけないことは認識している。うちは多彩な攻撃陣を抱えているが、良く言えば多彩で、悪く言えば少しバラつきのある印象もある選手たちなので、いかに勝てるチームにしていくかということを自分なりに1年間、取り組んできた。そのなかで彼らを起用するときも、起用しないときもあるだけの話で、この2試合、起用しなかったからといって彼らの評価が低いわけではない。彼らが今日ぐらいの仕事をしてくれることは自分自身もよくわかっているつもりでいる。「外れた」という言い方もすごく難しいが、選手たちにも何度も言っているが、フットボールはルールが変わった。スタメンを外れると、確かに選手の状況はいろいろと変わってくるのだろうが、フットボールのルールが代わって、フィールドプレーヤーの半数の5人の選手交代ができるようになったため、以前は負傷者も含めて3人だったから、1人か2人のジョーカーはいても、それ以外は2番手、3番手だったが、自分はこの2試合に関して、垣田選手と仲間選手が2番手、3番手に落ちたという話ではない。スタートから起用するか、途中出場させるかということしか話をしていないし、その試合のメンバーによるときにも、スタートから出場する選手、途中出場して勝負を決める選手という言い方をしている。それはフットボールが変わってきたから。ただ、3人交代制のなかで育ってきた選手が多いので、まだマインドが少し変わらないところはあると思うが、おそらくフットボールはこれからも5人交代制が続いていくと思うので、そこは監督の考えていることが変わっているが、選手たちは少し変わっていないところがあるかもしれないので、自分自身は今、すごく難しいところがある。仲間選手と垣田選手は自分自身の求めているものをコンスタントに出せる選手。今日のように、まずは最低限のファイトを必ず出せる選手たちであり、チームのベースを作っていくうえで貴重な選手たち。彼らの特徴をいろいろな選手たちが吸収してほしいとも思っているので、そのためにも彼らを多く起用しているところがある。だから、スターティングメンバーから外したわけではない。途中から出場させたかっただけのこと。
相手よりもボールをキープしたり、相手よりもシュートを打ったりすることはできたが、点を取るのに十分なプレーは足りなかった。それでも、全体的にハードワークをしてくれて、選手たちはいい仕事をした。彼らのことを悪く言うことはできない試合だったと思う。首位の神戸がドローという状況のなかで、我々にとっての良い結果は勝利のみだったが、アントラーズのようなすばらしいチームに勝つために、今日の我々の力は十分ではなかった。
浦和は守備が堅く、前線には能力の高い選手が多くいる。チームとしてまとまっている。その相手に対して、まずは、自分たちの原点に立ち返っていく。ファン・サポーターの皆さんにどのような姿を見せたいのかなど、そういう意識やプレーを全員で取り戻していく。自分たちの思いが伝わるような試合にしていきたい。
【佐野 海舟】
優勝の可能性はなくなってしまったが、最後まで勝利への意欲や姿勢を見せなければいけないと思う。いままで、1試合1試合やってきたのと同じように、これからの試合も変わらない気持ちや高いモチベーションで戦っていかなければいけない。
浦和は選手一人ひとりが強い。中盤にも走れて戦える選手がいるので、切り替えの部分や球際で負けないというところを意識してプレーしていく。そういう部分でまず負けてはいけない。プレーしている選手がその部分に勝ったうえで、自分たちのやりたいことを出していく。
常にどの試合もファン・サポーターの皆さんと喜び合いたいという思いでプレーしている。ただ、これだけ僕たちのことを後押ししてくれているにもかかわらず、悔しい思いをさせてしまっている。残りの試合は全部勝って全員で喜びたい。
【松村 優太】
アントラーズの歴史上、一番負けてはいけない相手だと思っている。この試合にかける思いは、チームとしても個人としても強いものがある。
残りの試合すべて勝たなければいけない。また勢いづけていくためにもいい相手だと思うし、いいシチュエーションだと思う。みんなで勢いを持って戦っていきたい。
球際の部分や、走るという部分を意識してやっていかなければいけない。相手よりも強度を上回っていく。勝負所で全て自分たちが勝っていけるようにしていく。
(FKのチャンスの場面は)キックの感触は良かったが、あの場面で決め切ることができなかったのは、まだまだ自分自身に精度が足りなかったと思っている。これだけ多くのファン・サポーターの皆さんがカシマスタジアムに来てくれたなかで、自分はチームのために何ができるのかと自問自答しながら、また戦っていきたい。
【広瀬 陸斗】
ファン・サポーターの皆さんに勝利を届けたかったので、スコアレスドローという結果に終わったことは悔しい。それでも、(試合のパフォーマンスは)本来の自分たちのあるべき姿を少しは見せることができたと思う。次は多くのファン・サポーターの皆さんに、自分たちが勝つところを見せたい。
【早川 友基】
最近の試合ではクリーンシートがなかったので、チームとしてまずは無失点で試合を終えることを目標としていた。その点では、みんなで体を張った守備をして無失点で終えられたので良かったと思う。今季のタイトルを逃した状況でもファン・サポーターの皆さんのたくさんの応援がありがたかった。これからも一緒に戦ってほしい。
【垣田 裕暉】
今日の試合では自分自身に今まで以上の結果を求めていたので、チームが勝つために得点に絡めなかったことは課題として残る。また、いい雰囲気を作り出してくれたファン・サポーターの皆さんに勝利を届けられなかったことも悔やまれる。(今季の残り3試合は)自分たちの力を示すために、また精いっぱい戦っていきたい。
【植田 直通】
(浦和戦は)自分たちが上にいくために、何が何でも勝たなければならない試合だった。だが、堅い試合になってしまったことには少し悔いが残る。ファン・サポーターの皆さんが毎試合、一緒に戦ってくれているなかで、その声援に結果で応えなければいけない。来季こそタイトルを獲るために、強い気持ちで今季の残り試合を戦っていきたい。