2023明治安田生命J1リーグ 第29節、ベスト電器スタジアムでアビスパ福岡と対戦した。
前節、アントラーズレッドに染まったホームのカシマスタジアムで、横浜FMに1-2と敗戦を喫したアントラーズ。上位との直接対決に敗れ、しばし光の見えた頂点までの道のりがまた不確かなものとなってしまった。しかし、それでも戦い続けなければ、何も得ることはない。リーグ戦残り6試合へ向けて、選手たちは再び顔を上げ、日々の鍛錬に取り組んだ。対戦相手は、福岡。天皇杯、ルヴァンカップでもベスト4に進出し、現在、リーグ戦では3連勝でリーグ8位と好調だ。今季はルヴァンカップを含め、3度対戦しているが、その戦績は1勝1敗1分。白黒つけるには最高ともいえるタイミングでの、福岡とのアウェイゲームとなった。
この試合、岩政監督はスターティングメンバーを前節から少し入れ替えて臨んできた。仲間、柴崎、垣田が外れ、藤井、知念、そして出場停止明けのピトゥカがその名を連ねる。知念が9月2日のアウェイ湘南戦から3試合ぶりの先発となれば、藤井はリーグ戦では実に4月9日のアウェイ柏戦以来、約半年ぶりの先発出場となった。
スタメンとして既述の3人に加え、GKに早川、フィールドプレーヤーには広瀬、植田、関川、安西、佐野、樋口、優磨を配置した岩政監督は、ベンチに沖、昌子、須貝、土居、名古、仲間、垣田を置く。この18名で、福岡との対戦に臨んだ。
序盤は堅く守る福岡に対し、アントラーズがボールを保持して攻め入る展開となった。3分、早くもチャンスが訪れる。右サイドから、樋口が高速のクロスを入れると、ピトゥカが冷静に落とし、それをペナルティエリア手前で拾った広瀬が左足ボレーでゴールを狙う。これは相手選手に当たるが、最後は藤井が詰めた。藤井がいい反応を見せたが、これは惜しくもゴールの枠に飛ばなかった。
その後も久々の先発出場で気合の入る藤井が持ち味のスピードと緩急をつけたドリブルで福岡DF陣の裏を突き、攻撃をリードする。再三、藤井がチャンスを作り出すが、アントラーズは最後のフィニッシュまでなかなか持ち込むことができなかった。また左サイドの藤井に福岡の意識が行くことによって、右サイドからの攻撃も生かされた。17分、広瀬が得意のクロスをゴール前に入れると、知念がヘディングシュートを試みる。これはうまく当たらなかったが、前半におけるアントラーズの両サイドからの攻撃は非常に有効なものに見えた。
しかし、それでも最後のシュートまで持ち込ませないところが、福岡の堅守たる所以だ。そしてボールを回収すると、一気に前線の紺野、金森、山岸の3人で攻め上がる。山岸のボールを収めるプレーも秀逸だったが、紺野のテクニックにアントラーズの選手たちが手こずる場面も度々見られた。特に危なかったのは、39分。エリア前までに紺野から持ち込まれ、得意の左足シュートを放たれる。しかしこれはクロスバーの上を越え、アントラーズは失点から免れた。
前半45分を終え、スコアは0-0。どうしても先制点が欲しいアントラーズは、岩政監督がハーフタイムに動く。後半開始から知念に代え、垣田をピッチに送った。すると福岡ベンチも、前半にイエローカードを宣告されているドウグラス グローリに代え、田代を最終ラインに据えた。

後半は前半と変わって、福岡がボールを保持する時間が多くなる。山岸、紺野、湯澤といったところに仕掛けられ、中盤から平塚も絡んでくる。福岡の連続した攻撃には、関川、植田を中心としたDF陣が対応し事なきを得たが、前半よりも福岡は攻めのタイミングをつかんだ様子だった。
一方のアントラーズも、垣田と組むことでより自由に動くようになった優磨を中心に福岡ゴールへ攻め込む。52分、垣田とのコンビネーションで優磨がダイレクトシュートを放つと、その直後には優磨のサイドチェンジから左サイドの安西が鋭いクロスを入れ、起点となっていた優磨が走り込んでのダイビングヘッド。いずれもゴールの枠には飛ばなかったものの、そのダイナミックさは前半には見られないものだった。
このように一定の時間帯で攻め込むことができても、この日のアントラーズは最後の精度が上がらなかった。そして試合の流れは徐々に福岡へ傾く。特に66分、金森に代わってウェリントンがピッチに送り込まれてからは前線にターゲットができたこともあり、福岡の攻撃の圧力は強まっていった。
74分、相手のシュートをブロックした影響で足を少し痛めた関川に代わり、昌子がピッチに入るとともに、樋口に代わり名古が入った。先に交代出場していた須貝、仲間とともに状況を変えたいところだが、アントラーズの攻撃はやはり最後のところを打開できない。
試合終盤、最大のピンチがアントラーズに訪れる。88分、山岸のポストプレーから宮にシュート気味のクロスを入れられる。これを受けた前嶋に決定的なシュートを放たれるが、早川がスーパーセーブで失点を免れた。結局、前嶋はオフサイドポジションのため、止めずともノーゴールだったが、早川の存在の大きさを改めて感じさせられたシーンだった。
5分のアディショナルタイムを経て、試合は終了。0-0のスコアレスドローで、アントラーズは福岡と痛み分けに終わった。どちらのチームも欲しかった勝ち点3だが、勝ち点2を失った痛みは、間違いなくアントラーズの方が大きい。シーズン終盤ならではの緊迫感はこれからもっと増してくる。その中で、どう戦い、そして勝ち切るか。残り5試合、真価が問われる戦いは続く。
【この試合のトピックス】
なし



A.優勝するために勝ち点3を取ろうと話して試合に入った。悔しい結果。
諦めずに声を出しつづけてくださったファン・サポーターの皆さんに勝利を届けて帰っていただきたかった。申し訳なく思っている。
Q.藤井選手と知念選手を起用した狙いは?試合を通してどのようにマネジメントしていこうと思っていた?
A.一番の理由は、彼らがトレーニングから見せているパフォーマンスの部分。非常に良かったので、試合に出る権利があると思ったので、起用した。
福岡は30ゴール中後半に20ゴールを決めていたので、我々も後半にパワーを上げようとしていた。最近の試合では少しパワーダウンしてしまうところもあった。90分間2人を出し続けるという考えがなかったわけではない。
今週のトレーニングの中でしっかりと整理をして、いい表情といいプレーをしていたので今日はスタートから2人を起用した。
Q.崩しの面での課題は?何が足りなかったと考えている?
A.前半はそれほど悪かったと思っていない。特に試合の入りの部分。サイドからえぐるシーンもあった。ただ、「とは言え」という部分はいくつかある。チーム内で共有しなければいけない部分はまだまだある。
後半の展開に関しては、いつものメンバーに戻すと、福岡のような戦い方の相手にはバッティングしてしまう部分がある。それがモロに出たかなという感覚がある。そのバッティングを避けるための前半のやり方でもあった。それでもその中で今までの連係で相手の懐に潜り込めるかなと思っていたが、そこまでパワーを出すことができなかった。
フットボール的なところもそうだが、疲れやアウェイの雰囲気も影響したかなと思っている。
Q.キックオフの時に陣地を変えた理由は?
A.福岡は後半に強い。彼らも我々に対してたまにそういう仕掛けをしてくるので、我々もそういう仕掛けをしたというだけ。特に深い意味はない。
Q.福岡に構えられた時にスペースを見つけることができずに攻めあぐねたように見えた。そこはどう感じている?
A.もう少し映像を見て分析して選手たちにも共有していく。ボールを動かしながら相手を見て、空いたスペースから崩していくというやり方がなかなか浸透していないというところは、正直、あると思う。
相手が動いてくるのであれば、そのスペースは見えてくるが、相手が動かなくなった時にどのようにするのか。その手法が、まだまだ公式戦になると、少し恐れもあったり早く展開しなければいけないのではないかという呪縛みたいなのもあったりと、慣れの部分もたくさんある。まだまだ成功体験もできていないので、足りないなと感じている。
それに加えて、我々が今ベースとして作っているのは中央突破が多くなっている。それが3バックの相手にどうゴール前に潜り込んでいくのかというところ。前半のメンバーには徹底してもらっていたので入り込めた。ただ、入るルートや誰を動かして誰が入るかなど、うまくリンクしていないところがあった。まだまだだと思っている。
Q.次の試合まで期間があくが、今言ったような課題を改善していく時間にするのか?
A.守備のところをもう少しプレッシャーをしっかりとかけたいと思って見ていた。ただ、攻撃のところが一番。もっと崩せる選手たちだと思う。優勝するためには質が求められる。その質に行く前に、イメージの共有の部分で改善できるところはあると思っている。3週間でいい準備をしてパワーアップして神戸戦に臨まないとやられてしまう。みんなで一生懸命やっていきたい。
攻撃についてはチャンスが少なかったが、決め切るところを決め切っていれば、勝利できたと思う。
前半や後半の入りにプレーの精度や出足が遅いところも感じたが、選手たちは勝利へ向けてゴールを取るところ、ボールを奪うところを意識してプレーしてくれていた。
アウェイでここ最近調子のいい相手との対戦となる。我慢強く戦って、勝ち点3を取れるように、焦れずに戦っていきたい。
自分の結果というよりも、チームが勝つことが一番大事。自分の全力を出すこと、ベストを尽くすことだけ考えていく。自分の結果を出すこともそうだが、チームのために走りたい。
なかなか試合に絡めない時間が続いたが、それは明確に自分に課題があった。その課題と向き合うことができた。コンディションもいい。いい状態で試合に臨んでいける。
【佐野 海舟】
福岡はチームとしてまとまっている。今シーズン対戦もしているので、相手も僕たちのことを分かっていると思う。ただ、僕たちも福岡のことを研究してどのようなことをしてくるのか理解している。互いに理解している中でも違いを作っていけば相手も対応できなくなってくると思う。なので、違いを出していきたい。
この試合に向けてやるべきことは決まっていた。チーム全体でいいトレーニングをしてきた。福岡は自分たちとは異なるフォーメーションでスペースを突きやすくなる。ビルドアップで相手をかわしていければ、チャンスになる。
目標が達成できる可能性がある限り、1試合1試合全力で戦っていくだけ。この福岡戦、必ず勝ちたい。
【ディエゴ ピトゥカ】
福岡は強いチームで連勝をしていて、いい流れに乗っているチーム。難しい試合になると思う。アウェイでも自分たちのやってきたことを出して勝利することが大事になってくる。一つひとつの試合が決勝戦という意識で勝ち点を重ねていけば、チャンスはあると思っている。必ず勝つという強い気持ちをもって試合に臨む必要がある。
ファン・サポーターの皆さんの存在は非常に僕たちの力となっている。皆さんはどの試合でもやるべきことをやってくださっている。それに自分たちが応えなければいけない。大きな声や拍手で僕たちに力を与え続けてくれるので、まずはその恩返しをしていきたい。最後にみんなで喜び合うために全力で戦っていく。
【仲間 隼斗】
今までの福岡は、後ろでしっかり構えてという堅いイメージがあったが、最近は前線のコンビネーションも豊富になってきている。今までのスタイルを継続させながら新しいことに取り組んでいる。非常に完成度の高いチームになっていると感じる。
残り6試合。まだどうなるかわからない状況で、この福岡戦を迎える。そこで自分たちの戦う姿を見せていかなければいけないと思っている。今までやってきたことが間違いではないということも感じる部分はある。ただ、そこからプラスアルファで何かしていかなければいけないということも感じている。だからこそ、この福岡戦では自分たちの姿勢が非常に大事になってくる。アウェイで難しい戦いになると思うが、勝ち点3を持ち帰りたい。最後まであきらめてはいけないと思う。しっかり戦っていきたい。
久々のスタメンだったので、試合に入る瞬間は昂るものがあった。ただ、それを抑えて、冷静に試合に入ることができた。
周りの選手との連動の部分を整理して試合に入った。そこは問題なくプレーできたと思う。その中でもう少しプラスで何かできたらよかった。まだまだ足りないことがあるなと感じたが、収穫もあった試合だった。
【早川 友基】
前半はアイデアを出した連係で攻めたり、ビルドアップで崩すシーンがあったが、後半はそこを福岡に対策された。その中で自分たちがどうしていくかという部分の工夫は必要だったと感じている。ゴール前に進入していく回数が減ってしまったので、チャンスも少なかった。そこは今後の課題だと感じている。
【佐野 海舟】
あまり良くない時に自分たちでどうピッチ上で解決していくかが大事だと思う。いろんなことにチャレンジしていかないといけないし、チャレンジしているプレーに関しては全員でカバーしていかなければいけない。
崩しも大事だが、もっとゴールへ向かっていかないと怖くないと思う。ゴールに行くプレーを増やしていければいろんなところが空いてくると思う。
3週間時間があるので、チームとして改善してやっていきたい。