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2020年06月26日(金)

FREAKS Vol. 297(2020/6)より 〜自分なりの100%〜

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内田篤人は今年でプロ15年目を迎えた。高卒でアントラーズ加入後、開幕スタメンを勝ち取り、飛躍的にステップアップ。19歳から日本代表に選出され、ドイツのシャルケ04では世界最高峰の大会、UEFAチャンピオンズリーグでベスト4を経験した。さまざまな逆境を乗り越えて成長を積み重ねてきた内田。日本でも有数の経験を持つ背番号2にとって、最ももがいた〝あのとき〟はいつだったのだろうか。

すべてが100%でできない
60%、70%でやり続けるつらさ

──プロ15年目、これまでで一番苦しかった時期はいつですか?
「昨年とか一昨年ですね。ケガがちになりましたから。やっぱり100%でできないのは苦しい。プロ2、3年目もキツかったけれど、体は動いていた。でも、ここ2年は自分がパワーを出したら、すぐにケガをしてしまうので……。やり方が難しかったですね」

──そういう時期は初めて?
「初めてです。自分で自分を抑えないといけない。そうなると当然、プレーしていても楽しくない。これまでも楽しくない時期はあったけれど、種類が違いますよね」

──考えることも増えますね。
「そう。うまくいかないとか、試合に勝てないっていうのとは別の問題ですからね。100%でプレーができない。思いっ切り走れない、思いっ切りボールを蹴れない。それは本当に楽しくなかった」

──練習ではどんな取り組みを?
「最初は100%で練習をしていたけど、そうするとケガしてしまう。当然100%でやれるところはやるけど、ケガをしないようにしないといけない。まずは長い期間、トレーニングに参加し続けることを目指した。それを続けていくと、徐々に耐性がついてきて、積み上がっていく。ケガをしにくくなって、徐々に体も動くようになっていく。やり続けることが一番大事で、一番難しいことだった。ケガをせずに練習し続ける、それがなかなか難しいんですよ」

──初めてのことで、試行錯誤もあったのでは?
「いろいろやりました。練習方法を変えたり、筋力補強をしたり。当時は里内コーチ(現アカデミーヘッドオブコーチング)が練習に付き合ってくれていたから、『こういう練習がしたい』とか、『こういうのをやるにはどういう練習があるかな』とか、俺から話をすることもあったし、里内さんからも『これはどうだ?』って、いろいろといいアドバイスをくれる。やっぱり経験値が半端じゃないですからね。すごいなと思いましたよ。俺もたくさん知っているけど、里内さんはさすがだった。おかげで、いい練習ができていました」

──フィジカルトレーニングにも相性があるんですね。
「これまでにいろんな監督とやってきたし、いろんなケガをしてきたから、練習のメニューだったり、リハビリのメニューはとんでもない数を知っている。そのなかでも里内さんとはよく意見が合って、『だよね!』っていうことが多かった。引き出しはいっぱいあるから、自分のなかで『これはいい』っていうのはある程度あるんです。あとは練習をやったり、やらなかったり」

──休むことの大切さですね。でも、なかなか休めないタチでしょう?
「トレーニングをガンガンやって、より強くしていくことはもちろん大切なことなんだけど、やりすぎたときよりも、やらないときのほうが状態がいいときもあったので。そのへんのバランスは難しい」

──その現状をどう見ていましたか? しょうがない?
「〝しょうがない〟と思っていましたね。でも自分の立場もあるし、昨年まで監督は剛さん(大岩前監督)だったし、あれこれ考えることはあっても、結果としては、やらないといけない。そこが難しかった。やったらケガをするから。最後のほうはケガをするために練習しているんじゃないかと思っていたくらいですから。ケガをしたくないから、抑えて練習をする。そうすると、その抑えた範囲でしか練習ができなくなる。じゃあ練習を頑張らないといけないって、また必死でやり始めると、またケガをしてしまう。その繰り返し。どんどん悪循環に陥るんですよね。結局、すべて100%でできないんだから、60%とか70%でずっとやり続けるしかない。そう思って続けていたんですが、これがまたつらいんです。一度やめて休んじゃえばいいかなって、思うときもありましたよ。でも、俺ってやめられないんですよね。監督とか周りの人に『何かあったら言ってね、何かあったら休んでね』って言われているんだけど、これまでそれをずっとやらないで、ここまできたから。それをやったらおしまいな気がするんですよね」

──ケガをせずやり続けることを目標に変更して、変化はありましたか?
「3カ月とか4カ月にわたって練習をやり続けることができれば、いい方向にいくというのがわかった。例えば、2、3週間、短期間でめっちゃ練習を頑張って状態を上げていっても、あまり意味がない。長期間ケガをせずにみんなと同じ練習を続けていけると、プレーできるようになっていくんだっていうのがわかった。それは収穫でしたね」

ドイツ時代も含めて
ずっと持ち続けている危機感

──気持ちの部分で〝しょうがない〟と思えたと話していましたが、ここ2、3年以外で同じ気持ちになることはありましたか?
「いや、ここ2、3年を含めて、本当の意味でこれまで〝しょうがない〟と思ったことはないかな。勝っても負けても切り替える。忘れるために〝しょうがない〟と思ったことはあるけれど」

──忘れるためにマイナス面を隠すという意味に近い?
「そうそう。特にドイツのときはそうだったけど、試合で1回でもミスをしたら使われないんじゃないかっていう危機感が半端じゃなかったから。よくなかった試合でも、ウジウジしていたら中2、3日ですぐ次の試合がくる。『いいや』って忘れてしまうことも大事だなと思った。でも、忘れてばかりもダメなんですけどね。そういう危機感とか、追い込まれることで、『人って強くなるんだな』と思いました。日本だと、ある程度ミスをしても監督の信頼があれば使われる傾向がありますけど、ドイツではそんなの関係ない。1回でもミスをしたら何カ月もチャンスがない。他にいくらでもいい選手はいるっていう、そういう危機感がありました」

──忘れるために隠すことと、きっちり受け止めることの違いはあるんですか?
「やっぱりポジションがDFだから失点に絡んだりすることは必ずあるんです。それはしょうがない。どこかで必ずあるものだから。ただ、それが続いたり、大事な試合でやらかしたり、そういうのが続くというのはダメ。ただ、基本的には『あれはしょうがないや』って思うようにしていました。引きずらない。気にしない」

──変に自分を追い込みすぎないということですね。
「そうそう。ドイツのときは、状況や環境ですでに追い込まれまくっていたから。心の隙間を作っておくというか。俺はそういう気持ちがもともと自分のなかにあるから、必要以上に気にしなくてもいいかなと思っていて。ただ、もともとそういうものを持っていない人は、危機感を持ったほうがいい。今、危機感の少ない選手が多いと思う。追い込まれていないんですよね。今の状況を自分で気がつけていない。日本だったらいいのかもしれないけれど、海外でプレーしている選手とか、日本代表に入るという状況に置かれている選手は、危機感が違うなって感じる。当然、それと同じものをアントラーズの選手であれば、誰もが持つべきではないかと思います」

──内田選手はアントラーズに加入したときから、常に危機感のある環境でした。
「人に恵まれたこともあり、19歳から日本代表に選んでもらって、アントラーズでも最初からスタメンで試合に出させてもらっていた。でも変な話、俺じゃなくても他にいい選手はいたはずなんです。将来性があって若いから使ってもらっていたと思うけど、監督とかタイミングが違っていたら試合に出られていなかったでしょうからね。それがさらにドイツへ行ったら〝別にいつでも補強できますよ〟っていう環境だった。こんな体の小さいアジア人を使わなくても、シャルケ04はどこの国の選手も獲れるクラブだったから、危機感はすごいしタフじゃないとやれないんです」

──さっき話していた「しょうがない」も一つ上のレベルの話ですね。
「そうですね。〝しょうがない〟と自分に言い聞かせるんです。『しょうがなくないのは俺もわかってるわ!』って感じ。まあだから、〝しょうがない〟というのはない。そう思うようにしているだけだから。〝しょうがない〟を本当の意味で作っていたら、ドイツにも行けてなかったと思う」

──割り切りの大切さですね。
「しょうがないで終わるはずもないけど、しょうがないで終わらせるようにしている。まあ、そんなに〝しょうがない〟にフォーカスしているわけじゃないですけどね(笑)」

──ドイツでの危機感は相当なものだったんですね。
「そう、でもドイツでの選手生活は刺激があって楽しかった。ラウールがいたときなんて、練習の初日に何千人ってサポーターが見に来る。練習試合をやりましょうってプレシーズンで1万、2万の観客が入る。これはどっちがいい悪いというわけでなくて、歴史が違うから。一方で、日本は安全でおじいちゃんおばあちゃん、子どもも安心して観戦できる環境がある。日本には日本のいいところがあるなと感じます」

──それは両方の国で経験したからこそ、わかることですね。
「でも、アントラーズも優勝争いしているときの雰囲気はドイツと同じようになりますからね。サポーターが作ってくれるあの熱さ、すごくいい雰囲気にしてくれているのを感じる。だから、俺たちは勝たないといけないんですよ。アントラーズは勝たないとダメなんです」

立場や責任が今の自分を
奮い立たせてくれる

──個人としての今後はどう考えていますか?
「もうひと花、ふた花を咲かせたいというのはあります。引退は誰しもに訪れるもので、年齢的にも終盤に差しかかっていると思うけど、このまま終わりたくないという思いがあります。だから、やっぱりこれからタイトルをもう一つ、二つと獲っていけるか。何よりやり切ったと思って終わりたい」

──やり切るというのは自分のなかで?
「自分のなかでは、もう一度100%のプレーを取り戻すことだけど、他の人から見たらタイトルを獲ること。タイトルを獲らないと意味がない。自分がいくら『これだけやりました』って言ったって、プロの世界では〝選手時代に何個のタイトルを獲ったか〟ですから。自分の履歴書は〝Jリーグで何個のタイトルを獲りました〟だと思いますよ」

──これまでにタイトルを8個、獲ってきました。
「マジで!? 意外に多いな……。でも、曽ケ端選手にはおよびませんわ(笑)」

──自身のプレーを取り戻し、タイトルをもたらすために、今、奮い立たせているものは何でしょう?
「これまでは先があったから……。アントラーズで頑張れば、日本代表。日本代表で頑張れば、シャルケ04。シャルケ04で頑張れば、さらなるビッグクラブへの移籍。その意味では難しいときだなと思います。でもだからといって、もういいやとはできないんですよね、性格的にも(笑)。アントラーズの伝統をつないでいかないといけないというのはヒシヒシと感じるし、しっかり受け止めています。だから、その意味では立場や責任が今の自分を奮い立たせてくれているのかな。あと、今は練習をしていて楽しいんです。若い選手とやっているといろんな刺激を受けるし、かわいくって」

──重みを背負う大変さを感じます。
「そうですね……。でも、今年は健斗(三竿選手)がキャプテンをやってくれているし、自分のことに専念すればいいと思えているんです。キャプテンは周りのことを考えないといけないし、アントラーズのことを下の世代に伝えていくことも必要になる。それをやるためには動けないといけないし、自分にも集中しないといけない。そう考えると、昨年とはちょっと違うんですよね」

──今年は改めて自分と向き合って挑戦していく年になりそうですね。
「そうですね。この中断が明けたら本当の意味でリスタートになると考えています。何より今、楽しいんですよ、サッカーをしていて」

──自身の仕上がりはどうですか?
「充実していますよ。この間、トレーニング用に太い縄を買ったんです。インターネットで売っているのがわかったんだけど、買い方がわからないから町田(浩樹)にお金を渡して買ってもらって、クラブハウスに届けてもらったんです。前にも里内さんが持っていてやっていたんだけど、持って行っちゃったみたいで。かなりキツくていいトレーニング!いい感じでできていますよ。たぶん今、チーム内で、俺が一番トレーニングをできているはず。サポーターの皆さんも大変な思いをしていると思いますけど、再開を楽しみにしていてください。俺自身、楽しみにしているので、いい状態でスタートできるように1日1日を過ごしていきたいと思います」

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