天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会 3回戦、JIT リサイクルインク スタジアムでヴァンフォーレ甲府と対戦した。前半をスコアレスで折り返すと、後半に甲府の野澤に先制点を奪われてしまう。その後、垣田のゴールで同点に追いついたものの、勝ち越し点は奪えず、延長戦に突入。120分でも決着がつかず、勝負はPK戦へ。そして、13人目までもつれ込む激闘の末、10-11で甲府に敗れ、3回戦敗退が決定した。
リーグ第20節 アウェイ広島戦から中3日。一発勝負の天皇杯3回戦に臨んだ。
スタメンはGKが沖、フィールドプレーヤーは、広瀬、植田、昌子、安西、ピトゥカ、佐野、藤井、名古、荒木、垣田が入った。ベンチには、早川、関川、土居、樋口、松村、仲間、優磨が座る。
一発勝負の天皇杯らしく、立ち上がりから緊張感の漂う展開となったが、最初の決定機はアントラーズに訪れた。11分、コーナーキックを荒木が蹴ると、滞空時間の長いボールを植田が高い打点で合わせる。しかし、シュートは惜しくも相手GKにセーブされ、得点とは至らなかった。
その後、アントラーズがボールを動かす展開となったが、なかなか効果的に前進できず、流れを引き寄せることができない。一方、甲府はボールを奪ってから手数をかけずに前進してくる。シンプルかつ迷いのないカウンターは脅威となった。

ボールを動かして甲府の守備を崩そうと試みるが、なかなかゴール前に侵入することはできない。効果的なカウンターも仕掛けることができなかった。前半はこのまま最後まで得点が生まれず、0-0でハーフタイムへ突入した。
後半開始から荒木との交代で優磨をピッチへ投入すると、早々にチャンスをつくる。右サイドに流れたピトゥカがアーリークロスを供給すると、ゴール前へ優磨が飛び込んだ。ただ、触れば得点という絶好のクロスだったが、惜しくも優磨に届かず、相手GKに阻まれてしまった。
チャンスのあとにピンチが訪れた。自陣でファウルを犯し、甲府にフリーキックを与えてしまう。51分、キッカーの小林が低く鋭いボールを入れると、安西のブロックがゴール前に跳ね返る。これをダイレクトボレーで野澤に合わせられ、ゴールネットを揺らされてしまった。0-1と甲府に先制を許す苦しい展開となる。
失点後の56分、名古と藤井をベンチに下げ、樋口と仲間を投入した。チーム全体で攻撃的な姿勢を強め、優磨のシュートでゴールに迫る場面もつくった。
すると、62分に同点弾が生まれる。右サイドから広瀬がアーリークロスを入れると、ゴール前で垣田がうまく相手のマークを剥がし、フリーでヘディングシュートを放つ。これがゴールネットに吸い込まれた。垣田の同点ゴールで1-1に追いつく。
同点となり、アントラーズの攻撃がさらに勢いづいた。67分には、先制点をアシストした広瀬がまたも正確なクロスをゴール前へ送り、優磨がヘディングシュート。72分には、ピトゥカがミドルレンジからゴールをわずかに逸れるシュートを放つ。さらに、77分には、佐野のクロスを垣田が合わせて、ゴールに迫った。得点には至らなかったが、スペースが生まれた試合展開のなかで、決定機の数を確実に増やしていった。
その後も、アントラーズが怒涛の攻撃を仕掛ける。立て続けにシュートを放ち、ゴールまであと一歩のところまで迫った。しかし、守備を固める甲府をなかなかこじ開けることができない。
89分にカウンターからピーター ウタカにシュートを許すが、これは沖がセーブし、失点を免れた。その後、アントラーズが波状攻撃を仕掛けたが、90分で決着をつけることはできず、延長戦へ突入した。
両チームともに体力を消耗したなかで、延長前半が始まった。甲府は堅固な守備ブロックを築き、ボールを奪えば、手数をかけずにカウンターを完結させてきた。99分には、甲府にコーナーキックを与えてしまい、品田が蹴ったボールが直接ポストを叩く。甲府のペースで試合が進んだ。
99分に垣田との交代で土居を投入したが、その後もなかなかチャンスをつくり出すことができず、逆に甲府に決定機を許してしまう。ただ、失点にはつながらず、1-1のままで延長前半を終えた。
延長後半に入っても、厳しい展開が続く。それでも、選手たちは集中を切らすことなく、我慢強く戦った。114分には、広瀬と佐野をベンチに下げ、関川と松村を投入。疲労が残るなかでも、球際の勝負は最後まで白熱した。
延長後半終了間際、カウンターから甲府に決定機を許してしまう。ただ、沖が好セーブでチームの危機を救い、延長後半も1-1で終了。PK戦へ突入した。
先攻がアントラーズ、後攻が甲府となったPK戦は、両チームともに1本目のキッカーが成功。しかし、2本目の樋口が相手GKに阻まれてしまう。ただ、後攻のジェトゥリオのシュートを沖が見事にセーブし、1-1と振り出しに戻す。
そして、3本目、4本目は両チームともに成功して迎えた5本目、先攻の仲間が相手GKに阻まれ、後攻の甲府の5人目に決められれば、敗退という状況に追い込まれた。しかし、この絶体絶命の状況で、野澤のキックを沖が見事な反応でセーブ。沖が再びチームを救った。
その後、6本目、7本目、8本目、9本目、10本目、11本目、12本目と連続で両チームともに成功。勝負が決したのが13本目だった。先攻の樋口のシュートが枠を外れ、後攻のジェトゥーリオのシュートがゴールネットを揺らした。PK戦の結果は10-11。激闘の末、アントラーズは天皇杯3回戦で敗戦となった。
次はリーグ戦へ戻り、中3日でFC東京と対戦する。激闘の疲労を癒し、チーム一丸で準備を進める。
【この試合のトピックス】
・垣田が今大会初ゴール



甲府はいいチームで、苦しい試合になることは想定していた。前半はもったいない試合となった。後半は迫力を出すことができたが、逆転まで持っていくことができなかった。PK戦に関しては仕方ないと思う。
Q.後半に選手を変えて迫力を出せたが、ロングボールとサイドからのクロスだけという印象だった。この状況で、チームは前進できている?
A.ロングボールを入れる、クロスを上げるだけであれば、なぜ相手は崩れたのか。もう少し、選手たちの動きの部分を見てあげてほしい。隼斗や雄太が入ったことで、なぜ組織が崩れたか。彼らのランニングによってスペースを作ってゴール前へ入っていくというところは、練習と同じようにプレーすることができた。そこは我々が持っている強みのひとつだと思っている。
前半、長いボールを入れていたこと自体は決して悪いわけではない。後半はロングボールを使わずに、相手の間をつくことができていたと見ている。ただ、なかなかテンポが上がらず、練習でやっていることが出せなかった。練習からやっていることが成果として出ていないという部分は、認識している。
Q.チームとしてのスペースの狙いどころや前を向く選手を多く作るなど、その辺りが見えてこなかった。そこはどのように見ている?
A.分析する。あまり今の印象で選手たちが思っていることと合わない発言はしたくない。
中盤で相手選手の間にポジションを取ることはできていたし、スペースも認識してできていたと思う。実際、そこへ何度かボールを入れることができたが、ミスが出て、少し怖さを覚えて警戒心が強まったと思っている。
Q.去年と同じく、甲府に敗れた。そこについて。
A.しっかりと追いついた。そこで追いついたところまでは評価したい。しかし、チームとして取り組んできて、試合で勝つことができていない。そこは受け止めているし、選手たちも感じている。私の指導や取り組み含めてまだまだだなと認識した上で、次の準備をしていきたい。
Q.試合ごとに形を変えながら戦っていると思う。チームとしてのやり方は変わらないが、立ち位置が変わると同じことができなくなる印象がある。そこはどのように感じている?
A.今日の立ち位置は、初めてやったわけではない。その中で、いい試合と悪い試合があった。そこが原因だとは思っていない。チームがいい流れへ持っていくために重要視している原則的なところ、そこがまだ浸透しきっていない。そこの部分かなと思う。
Q.PKの順番の決め方は?
A.5人目までは、私が決めた。そのあとは、選手たちが決めた。
Q.甲府は去年の天皇杯決勝もPKで優勝した。PKになった瞬間のイメージは?
A.そこは、イメージしていなかった。自分たちの雰囲気は非常に良かったので、PK戦も含めて、最後まで非常に良く戦ってくれたと思う。
試合はクオリティが高く、スピードある中で、それに負けない攻守の切り替えやスペースを見つける動きはみせることができたと思う。ただ、後半に先制してから押し込まれる時間が長く、回避することができなかったのは反省点。粘り強く、延長戦もPK戦も非常に強い気持ちを持って戦ってくれた。
天皇杯は一発勝負。次のステージに進むことができたが、明日からの3日間でリカバリーをして、しっかりと頭をリーグ戦に切り替えて準備をしていきたい。
甲府はカウンターを狙ってくるはずなので、気をつけないといけない。相手の守備も堅いので難しい試合になる。ただ、先に先制点を取ってしまえば、相手も難しくなってくると思う。ゲームコントロールを徹底して、しっかり勝ちにつなげたい。
【藤井 智也】
僕は天皇杯でプロになるきっかけをつかみ、プロへの道が開けたと思っている。選手としての価値を示せる大会だと思う。一発勝負のトーナメントでワクワクする感覚は、あまりプロになってからなかなか経験できない。そういう試合に出られることは特別なモチベーションになる。
【垣田 裕暉】
天皇杯は一発勝負のトーナメントなので、リーグ戦とはまた異なる試合展開になると思う。甲府は昨年の天皇杯王者だし、J1、J2のカテゴリーは関係ない。試合の入りから集中する必要があるし、注意してプレーしたい。
タイトルを1つ失ってしまった。勝ちきれなかったことは、チームにとって非常に悔しい結果。
クロスからの攻め方以外にもっとバリエーションを増やしていかなければいけない。前半は、その形に持っていくのにも苦労した。後半はクロスも入るようになり、縦パスも入るようになった。いい形をたくさん作ることができていた。後半のような戦い方を、試合のスタートからできるようにしていかなければいけない。
自分が点を取っていなければ、90分で負けていた。そういった部分で、意味のある1点だったとは思う。結果的にPK戦で負けてしまったが、PKだから仕方ないではなく、90分の中でも延長戦でも追加点を取れるチャンスもあったし、追加点を取れる形をもっと作っていかなければいけなかった。90分、120分で勝ち切らなければいけない試合だった。
獲れるタイトルはまだ残っている。連勝していかなければ上は見えてこない。勝ち切るしかない。どんな形でも、勝利へと持っていく。
【沖 悠哉】
自分の中では2つ。PK戦はキーパーにとって最高の見せ場だと思っている。トーナメントではキーパーの力が影響する。存在感がこういう試合では大事になってくる。そういう部分で、今日勝ちきれなかったことは、非常に悔しい。何が足りなかったのかはまだ自分の中でつかむことはできていないが、そこはひとつ悔しい部分。
2つ目は、延長、PKまで行ってしまったこと。ビルドアップでなかなか前へ進めることができなかった。誰が悪いとかではなく、全体的に難しいゲームだった。
どれだけ自分のプレーが良くても、勝てたとしても、自分の中で100点はない。クロスに対しての判断は良くなってきたが、危ない場面もあった。まだまだ改善する余地はある。自分のプレーの幅をもっと広げていかなければいけない。
【名古 新太郎】
もう次に切り替えてやっていくしかない。反省するところはたくさんあるが、またすぐにリーグ戦もあるし、次も非常に重要な試合になる。切り替えてやっていくだけ。
もう一度、みんなで自分たちのやるべきことを再確認して、しっかりとリカバリーもして、やっていきたい。
【安西 幸輝】
2年連続で負けているので、非常に悔しい。タイトルを1つ失ってしまった。残りのタイトルを必ず取らなければいけない。切り替えて、次へ向けてやっていきたい。