▼▼MATCH HIGHLIGHTS▼▼
2023明治安田生命J1リーグ 第26節、レモンガススタジアム平塚で湘南ベルマーレと対戦した。
鳥栖戦、新潟戦とホームのカシマスタジアムで2連勝を飾ったアントラーズはその勢いを保ってトレーニングを重ねたが、体調不良を訴える選手が続出し、厳しい状況のなか、湘南とのアウェイゲームに臨んだ。
スタメンは、GKが早川、フィールドプレーヤーは須貝、植田、関川、溝口、佐野、ピトゥカ、土居、仲間、垣田、知念が入った。ベンチには、沖、昌子、広瀬、舩橋、藤井、カイキ、松村が座る。
体調不良者の続出に加え、エースの優磨も累積警告で出場停止と窮地に立たされたが、須貝が第23節のアウェイ名古屋戦から3試合ぶりに復帰、溝口も左サイドバックとして先発に返り咲くなど、選手層の厚さを見せたアントラーズは序盤から試合の主導権を握る。アグレッシブな湘南に対し、それを上回る熱量で攻守に渡り、圧力をかけた。
4分、CKのこぼれ球を須貝がダイレクトでミドルシュート。強烈な一撃だったが、これは相手GK富居の正面をつき、ゴールにはいたらない。その後も湘南ゴール前で猛攻を仕掛けるアントラーズだったが、ここも湘南に守り切られた。しかし8分、アントラーズが均衡を破る。キックオフから相手ボールを狩り続けてきた佐野がペナルティエリア手前から右足を豪快にふり抜く。シュート回転のかかった、このシュートが湘南ゴール右隅に決まり、佐野の嬉しいアントラーズ、そしてJ1初ゴールで湘南に先制した。
その後もボールを保持し、湘南ゴールに迫るアントラーズ。25分まで湘南をシュート数0に抑え、いつ追加点を奪ってもおかしくない展開となった。しかし、その状況下でも湘南は慌てずに前線から果敢にプレスをかけていく。すると、徐々にだが、試合の流れが湘南に傾いた。
そして35分、杉岡のスルーパスから守備陣の背後へ走りこんだ小野瀬にボールを落とされ、これを大橋からダイレクトシュートに持ち込まれる。さすがの早川もこれを止めることはできず、アントラーズは同点にされた。
その後も湘南のカウンターに脅かされるアントラーズは前半のうちに逆転を許す。43分、その3分前に早川との1対1の場面でループシュートを外した鈴木に豪快なミドルシュートを決められてしまった。
何とか流れを変えたいアントラーズだが、後半の頭から岩政監督が動く。須貝に代わり、広瀬を右サイドバックに置き、ゲームを落ち着かせる手を打った。この策が功を奏したのか、後半開始直後はアントラーズがボールを保持する時間が多くなる。しかし、そのボールを奪うと電光石火の勢いでカウンターに入る湘南のスタイルに手こずる。小野瀬を中心にダイナミックかつ大胆なパスワークを見せる湘南が試合を支配する時間が続いた。
56分、またしても岩政監督が動いた。この日、すでにイエローカードをもらった仲間を下げ、カイキ、そして優磨なき前線で体を張り続けた垣田に代わり、松村をピッチに送り、前線での推進力を高める。この交代策からアントラーズは攻撃する時間を増やしていく。60分には松村、土居、広瀬、知念らによる波状攻撃を見せ、湘南ゴールに迫る。そして63分にはカイキ、松村とつないで、最後は溝口が左足シュート。しかしこれらの攻撃も同点までにはいたらない。
また不運もあった。67分、ゴール前でボールを受けた知念がストライカーらしい反転を見せ、シュートに持ち込む。クロスバーに当たったボールはゴールラインを越えたと思われたが、判定はノーゴール。直後に足をつった知念に代え、69分に藤井をピッチへ送り出しながら、岩政監督らが知念のゴールを激しく主張するも、レフェリーの判定は最後までノーゴールのままだった。
その後、一進一退の攻防が続き、84分には溝口に代わり、昌子がピッチに入る。ここからアントラーズは左サイドバックに佐野がまわり、前線へ植田を上げるパワープレーを仕掛けた。前がかりで攻めるアントラーズだが一瞬の隙を突かれ、抜け出してきた福田に決定的なシュートを打たれる。しかし、ここは早川がビッグセーブを見せ、チームを危機から救った。
するとついにアントラーズの執念が実る。88分、広瀬の鋭いクロスを相手選手がクリアしようとする瞬間にもかかわらず、勇気を持って頭から飛び込んだ植田が、額から出血する事態となった。植田はピッチ外で止血の治療を受けるが、この相手選手のプレーに対し、ファウルの可能性があるとしてVARが発動される。VARの結果、ボールに触れておらず、アントラーズはPKを得た。
この“漢”植田の勇気が生んだPKをカイキが冷静に決め、後半アディショナルタイムにアントラーズは同点に追いつく。その後も昌子の惜しいヘディングシュートなど、全員一丸となって攻守に奮闘するアントラーズだったが、ついにタイムアップ。足をつる選手が両チームともに続出するという、過酷なコンディションのなかの激闘は2-2のドローに終わった。
上を目指すためには、是が非でもほしかった勝ち点3。それは叶わぬ結果となったが、この湘南の地でつかんだ勝ち点1は後々大きな意味を持つことになるかもしれない。そして、最後まで一丸となって戦った選手たちの姿に、次を感じることはできた。4日後からはYBCルヴァンカップというタイトルをかけた戦いもある。下を向くことなく、前だけを見続け、戦い抜くだけだ。
【この試合のトピックス】
・佐野がアントラーズ、そしてJ1初ゴール
・カイキが今季リーグ戦2点目
・仲間が累積警告のため、次節出場停止



A.勝ち点3を取りたかった。そこが一番。ただ、選手たちが見せてくれた諦めない姿勢というのは、昔から植え付けられているアントラーズの伝統。そこは見せてくれたと思う。
アウェイでこのような展開の中、勝ち点1をもぎ取るということも大事なことなので、そこは評価してあげたい。
Q.この戦いを終えて、選手たちにどのような声をかける?
A.よく戦ったという話はした。色々な難しさのなかで今週を過ごした。かなり難しかった試合だったと思う。ただ、試合の入りから非常に気持ちを見せてくれて、劣勢の展開のなかでもその気持ちを持ち続けてくれた。まだ何も終わっていないと選手たちに伝えた。
ここからリーグ戦はホームで2試合続いていく。C大阪と横浜FMの2試合で、自分たちの先が決まってくる。この勝ち点1は意味のあるものになる。
Q.先制点を取るまでは素晴らしい戦いだったが、そのあとは相手に合わせてしまったように感じた。今後、どのように次へ活かしていく?
A.湘南は特殊な守備のやり方をしていた。リスクと隣り合わせで戦っていた。そこをどのぐらいついていくかのバランスは難しいところがあった。オープンな展開に付き合うのかどうかというところ。そして、いつもはボールを動かすところを今日はオープンな展開となった。ゲームコントロールをするべきだった。その展開になって2点目を取られ、その後も取られそうになったのは反省点だった。
これから分析していくが、相手のスペースを突こうとすると、オープンな展開になってしまう。それに付き合わされてしまった。その時にどうするかを準備するべきだった。
戦い方としては、よくやっていた部分、よくなかった部分があるゲームとなった。
湘南は現在、降格圏内にいるが、いいチームであることには変わりない。簡単な試合にはならないと思っている。ただ、自分たちもしっかりと勝利を積み重ねて、目標を達成したいという思いがあるので、この試合を落とすことはできない。今、チームとしても選手個人としても、多くの成長を感じている。ただ、目標を達成するためには、ここで満足することなく、さらに向上していかなければいけない。
残りの試合、全勝しなければいけないという気持ちで臨まなければいけない。アントラーズはそれができるチーム。相手チームに対してのリスペクトは忘れずに、自分たちがここまで積み上げてきたものを出していけば、湘南戦も含めて、この先の試合でも自然と勝利に近づくことができると思っている。
【垣田 裕暉】
湘南は選手一人ひとりが球際など、激しく戦ってくる。そこで負けてしまうと、流れを持っていかれてしまう。そこの部分で負けないということが重要になってくる。前回対戦時は負傷交代をしてしまったが、チームのみんなが勝ちきってくれた。今日は、自分がチームの勝利のために最後まで走ったり、戦ったりとそういうところを見せていきたい。
【溝口 修平】
公式戦でのプレー時間が増えていることで、落ち着いてプレーできるようになった。そこは、自分の中での変化だと思う。
目の前の相手に負けない。相手のポジションを見ながら、どの選手にマークを突くのかをチームメートとしっかりとコミュニケーションをとりながら、はっきりさせる。前節は陸斗君と幸輝君がサイドバックで出て活躍しているので、今度は自分がアシストやゴールという目に見える結果を出して、ポジション争いにくらいついていきたい。
(先制点の場面は)相手の間でうまく受けることができて、前を向くことができた。パスの選択もあったが、自分で持っていって相手GKのタイミングも外したいいゴールだったと思う。
ゴールを決めることができていないという思いは、ずっとあった。得点という形でチームに貢献できたが、今日は勝利しか目指していなかった。自分のゴールよりもチームとして2失点してしまったことへの反省の方が大きい。
今日の試合はすごく悔しいし、本当に勝ちたかった。ただ勝点0より1ポイント積み重ねることができた。この悔しい思いを次へつなげてやっていくしかない。
【アルトゥール カイキ】
PKの場面は落ち着いて蹴ることができた。相手GKと駆け引きをして、うまく決めることができた。チームにとって大事な勝ち点1だと思う。
下を向く必要はない。また明日から次の戦いへ向けてトレーニングをしていく。
【植田 直通】
まだ時間が残っている中で、PKを獲得してそこからもう1点を取りに行くという姿勢を見せなければいけなかった。そのためにはファン・サポーターの皆さんの力が必要だった。今日の試合はファン・サポーターの皆さんが僕たち以上に戦ってくれていた。そこで自分たちが結果を出せなかったこと、そこは本当に申し訳なく思っている。
1ポイントをポジティブに考えるしかない。今日、引き分けたことを教訓にしていかなければいけない。前半で2失点してしまったところは責任を感じている。そこは修正していきたい。
【知念 慶】
スタメンで出場して、勝つことができなかったのは非常に悔しい。自分もゴールを決めるチャンスがあった。決め切れなかった自分の責任。
ただ、ネガティブになる内容ではなかったと思う。次へ向けてしっかりといい準備をしていきたい。