
2016シーズン最後のプレシーズンマッチとなるいばらきサッカーフェスティバルで、鹿島は8分にジネイの今季初ゴールで先制し、最後は87分に鈴木が先週末の讃岐戦に続く決勝ゴールを決め、昨年の天皇杯で屈辱のPK戦負けを喫した水戸に2-1と勝利を収めた。だが、全体としては水戸に押し込まれる場面も目立つ、課題の多いラストプレシーズンマッチとなった。



この試合、「最後のテスト」と位置づける石井監督は今季初のカシマのピッチへ、先の4試合とはまた異なった先発メンバーを送り込んだ。目立ったのが、GKの櫛引、そして昌子のパートナーとして最終ラインの一角を担ったブエノ、そしてボランチ小笠原の隣に入った三竿だ。今季新戦力から3名を同時に先発起用し、文字通り最終テストを行った。


しかし前半45分は、サポーターの期待を裏切る展開となった。守備では水戸の激しいプレスとカウンターに手こずり、攻撃ではビルドアップでのミスも目立ち、主導権を握られる。8分に小笠原が起点となり、右サイドに開いたカイオが左サイドの遠藤へ大きく展開、そこからのピンポイントクロスでジネイが今季初ゴールをヘディング弾で決めたシーンは見事ではあったが、カシマを沸かせたシーンはこれが唯一。36分、ロメロ フランクに同点弾を決められ、かなり厳しい展開で前半を終えた。

後半に入っても、鹿島の苦しい時間帯は続く。だが途中交代で中村、鈴木がピッチに投入されてから前線での活性化が目立つようになり、試合の流れは徐々に鹿島へと傾いた。







そしてこの日最大の歓喜がカシマに訪れたのが、87分。CKのこぼれ球を途中交代の大橋がキッカーの小笠原へ戻し、小笠原がゴール前へ鋭いクロスを入れる。これを鈴木が狙い澄ましたダイビングヘッドでゴールネットに突き刺し、チームを勝利へと導いた。


いばらきサッカーフェスティバル10勝目を手にしたものの、最終ラインのばたつき、攻守の切り替えなど課題が多く残った試合となった。だが、西、山本の両サイドバックの安定感や鈴木の勝負強さなど明るい材料もある。特に西はその鋭いクロスなど攻守に渡り、チームを牽引した。後はこの1週間でどこまでチームのベースアップを図れるか。J開幕の相手は、「(昨季ナビスコカップ決勝の)G大阪戦を今後のパフォーマンスの基準としたい」と石井監督がいう、そのG大阪。しかも新設されたばかりの市立吹田サッカースタジアムが戦いの舞台とあれば、負けるわけにはいかない。この試合で感じたことを1人1人がどこまで落とし込めるか。2016シーズンの本当の開幕は、もう間もなくだ。
【この試合のトピックス】
・11回目の開催となった「いばらきサッカーフェスティバル」で、通算10勝目(1分)をあげた。
・ジネイが今季初ゴール。
・鈴木が2戦連続となる決勝ゴール。
・大橋がカシマでのデビューマッチを飾った。


・しっかりと前線でボールをおさめて、相手エリア付近では落ち着いてつなぐこと。
・クロスに対してマークを確認し、競り合いの場面ではお互いに声を掛け合え。
・この状態で残り45分、しっかり競りきること。
Q 開幕までの仕上がり具合、足りないと感じている部分は?
A 選手個人個人の戦術理解度というものは、かなり上がってきている。そこをどう組み合わせていくか。これまでは、昨年のベースにいろいろな選手を加えてやってきたので、不安定なゲーム展開が続いていた。そこがしっくりと収まれば、昨年と同じようなパフォーマンスは出せると思う。それぐらいの仕上がりにはある。この2試合、簡単なかたちで失点しているのでそこは修正が必要。攻撃の部分でもチャンスは作っているがゴールにはつながっていない。そこも修正が必要。
Q 三竿選手の評価は?
A 彼は守備の能力が高い選手。もっとコンビネーション、コーチングをやっていかなくてはいけない。攻撃の部分ではフィードの精度をもう少し上げていく必要を感じている。
Q 開幕までの一週間をどう過ごすか?
A 週のはじめから、開幕戦で対戦するG大阪の対策になる。ある程度メンバーを固定してフォーメーションの練習をやっていきたい。
Q ジネイに縦パスが入ってうまくいった時間帯と、うまくいかなかった時間帯があったが要因は?
A 本人のプレーの質の部分だと思う。収まりがいいとそこから他の選手も前を向いたプレーができるので、非常にいい攻撃につなげられた。本人の焦りなのか、うまく収まらないときは相手にボールを奪われてカウンターをくらうケースがあった。ハーフタイムにも、まずはあそこでボールを収めてほしいと要望した。うまくいかなかったのは、周りのサポートのタイミングだったり、本人の単純なミスだったのではないかと感じている。
Q ボランチの層が厚くなったが、ボランチの選手を前目のポジションで試すことも考えているか?
A それは、考えている。少し形を変えたりすることも考えなくてはいけない。選手、個人個人、すごく能力があるので、その能力をうまくひきだすために、どういうスタイルでやるのがいいのか。どういう組み合わせがいいのかということを考えている。
Q 今日の水戸の評価は?
A 前からプレッシャーをかけてきて、そこで多くのミスが出てしまったので、非常にいいプレッシャーだったのではないかと思う。西ヶ谷監督はS級ライセンス取得のとき一緒だったので、対戦を楽しみにしていたが、かなり苦しめられた。
開幕が近くなり、ここからは自分との戦いになる。天皇杯では水戸に負けているので、それに関してはこの試合に挑む気持ちもある。讃岐戦で90分、使ってもらったし、水戸戦でも使ってもらえたら、起用に応えたい。
【昌子 源】
紅白戦ではFW陣に動きのバリエーションを要求した。1度の動き出しだけでなく、何度もトライしてほしいことも伝えている。チームのために動き出してほしい。讃岐戦はひどい試合をしてしまった。開幕戦が近いから焦っている訳ではないが、チームとしてしっかり戦わないといけない。
【三竿 健斗】
FWが良い動きをしていても自分がボールを出せなかったりするので、もっとFWを見てプレーしないといけないと思っている。水戸とは昨年、J2で対戦したが、監督が代わってからアグレッシブになり、ハードワークするチームになった。その頑張りに応戦できずに負けてしまった。水戸の監督にはジュニアユース時代に教えてもらった事がある。
【山本 脩斗】
まだメンバーを固定して戦ってないので、この試合である程度、固まってくるのだと思う。攻守に連係を深めているが試合でやってみないと分からないことがあるので、水戸戦でそれをつかみたい。全てにおいて開幕戦に向けて高めていきたい。
【ブエノ】
メンバーには入れてうれしい。しっかり戦いたい。カシマスタジアムはTVで見ていて、良いピッチだと思うので楽しみ。周りの選手が声をかけてくれるので、戦いやすいが、源からはもっと声を出せと言われている。開幕スタメンを飾りたいので活躍したい。
【植田 直道】
プレシーズンマッチだからと言って、何かをテストするという意識はない。どんな試合でも勝たなくてはいけない。この試合に勝ったからと言って、昨年の天皇杯の結果が変わるわけではないが、借りは返す。開幕も近いし、良い状態で試合に挑み結果も残したい。
緊張はなかった。自分がやれることを全力で出そうと思っていた。出場時間も短かったので、アップから高めることを意識していた。ボールタッチの機会が少なかったのは反省点。あとパスミスが1つあったので、そこは反省して次に生かせればと思う。数字での結果がほしいので、紅白戦でもゴールやアシストをねらっている。今日は残せなかったが、どん欲にいきたい。
【鈴木 優磨】
(ゴールという)結果につながっているのはいいこと。それよりも結果がついてこないときにどうするかが重要。点が入らなくても、動き出しを続けていけば相手も嫌がる。これからも続けていきたい。だんだん良くはなっているが、もっとそのスピードを上げないといけない。サッカー選手である以上、途中出場で満足する人はいない。僕自身も今の立場に甘んじるつもりもない。パスやトラップなど基本的なことの質を上げつつ、いいところを伸ばしてスタメンとして出られるようにしたい。
【櫛引 政敏】
(失点は)チームとして、ボールの失い方がよくなかったので改善していきたい。一瞬のコミュニケーションやコースの限定などが試合で出せていない。細かい部分での対応は、もっとコミュニケーションをとって詰めていきたい。そこは継続してやっていかないと、個人としてもチームとしても良くない。試合を通じて出た課題を、練習を通して改善していきたい。
【三竿 健斗】
今日は自分の良さを出せなかった。ボールに寄せるとか奪うとか、地味なことが自分のできることだと思うので、そこに集中してできることをやりたい。チームコンセプトは理解しているが、ボール回しのときの距離感や立ち位置をまだつかめていない部分がある。自分から要求していくことも必要かなと思っています。カシマスタジアムはすごく雰囲気がよく、たくさんのサポーターが応援してくれて、プレーしていて素晴らしい環境だった。
【ジネイ】
点をとれたことはうれしいが、一番重要なのは全員で取り組んで勝利できたこと。チームが勝利に向かって団結していることは見ていて伝わったのではないかと思う。開幕に向けて準備をするなか、いい試合ができた。いいところもあれば悪いところもあった。悪いところは、これから取り組むべき点が分かってよかった。今季初のホームでの試合ということで、多くのサポーターの前でプレーすることができて、また、重要な勝利という結果を示せてよかった。