
7年ぶりのリーグ優勝を"目標"ではなく、自らの"義務"と課している鹿島が開幕戦を勝利で飾り、幸先のいいスタートを切った。2016明治安田生命J1リーグ、記念すべき吹田スタジアムでのファーストマッチは鈴木の決勝ゴールでG大阪に1-0と勝利する最高の結果を得た。


優勝を争うライバルの1つ、G大阪との開幕戦に石井監督は重大な決断をして臨む。急性虫垂炎で手術を受け、選手からやっとチームへ合流したばかりの柴崎、そしてポルトガルから電撃復帰を果たした金崎の2人をスターティングメンバーとして新スタジアムのピッチへ送り込んだのだった。
その指揮官の期待に応えるかのように、柴崎が中盤で小笠原とともに激しいチャージをみせれば、前線では金崎が果敢に仕掛ける。序盤から鹿島はホームのG大阪に襲いかかった。そして5分、カウンターから金崎のラストパスに赤崎が呼応してG大阪ゴールネットを揺らす。しかしこれはオフサイドの判定となり、赤崎の得点とはならなかった。その後も11分に遠藤が鋭いミドルシュートを見せるなど、鹿島の積極性が目立つ前半だった。



またこの試合へ大きな影響を与えたのが、30分のアクシデント。小笠原の前線へのパスに反応した赤崎が丹羽とボールを競り合うと、丹羽が右肩から倒れ込む。結局、このまま丹羽は起き上がれず、井手口と交代となってしまった。結果的にこの交代劇がG大阪にとって大きなシナリオ変更となった。


後半に入っても、両チームがレベルの高いパフォーマンスを見せる。そして残り25分を切ったところで両指揮官が動きを見せる。長谷川監督が大森に代わりエース宇佐美をピッチへ送ると、石井監督はもう1枚多くカードを切り、赤崎、遠藤に代え、鈴木とカイオをピッチへ送り込んだ。





そしてこの交代策が見事にはまる。交代から3分後、右サイドで西、金崎のコンビネーションからカイオがフワリとしたクロスをゴール前へ送る。ここへ飛び込んだのが、鈴木。19歳の若武者がプレシーズンマッチを含めると今季3試合連続となるゴールを決め、アウェイスタンドを興奮の最高潮へと導いた。


その後も鹿島はカイオらがG大阪守備陣を脅かせば、宇佐美や倉田といったG大阪攻撃陣を植田、昌子の両CBを中心とした守備陣が防ぎきった。また中盤では闘志みなぎる小笠原が最後まで運動量を落とさずにゲームをコントロールした。もらったイエローカードが5枚と多くなってしまったが、それほど鹿島の選手たちが激しさを見せたということだろう。


満員のアウェイスタジアムで完封勝利と最高の形でスタートを切った、2016シーズン。試合後の選手たちの表情には安堵の気持ちと手応えを感じた充実感が入り交じっていた。ライバルを倒しての白星発進。今年の鹿島にかかる期待は大きい。
【この試合のトピックス】
・昨年の2nd第10節に続き、鈴木が対ガンバ戦2点目となるゴール(リーグ戦のみ)。
・鈴木はプレシーズンマッチを含め、今季3試合連続ゴール。
・三竿がアントラーズでの公式戦デビューを飾る。


・冷静に戦況を見ながらボールをつないで。積極的に相手エリア内へ仕掛けよう。
・カバーリングとサポートの意識を高く持って、各エリアで連係を高めよう。
・最後のところは、しっかり体を張って守る!
Q スターティングメンバーを決めたポイントは?
A 源は足の状態、岳は術後ということでコンディションはどうかと思ったが、本人たちはこの開幕戦へ向けて準備ができているといっていたので、起用した。
Q 後半での交代策、特にカイオ選手と鈴木選手を同時に送り込んだ意図は?
A 優磨はいつもサイドハーフで起用するが、今日はFWで入ってもらい、DF陣の背後への動き出しを続けていこうと指示を出した。当然、得点を狙って欲しいと伝えた。カイオはいつも通りにサイドへ入ってもらった。宇佐美選手が途中出場していたので、彼を守備へ回そうという意図もあった。そして攻撃の起点を作って欲しいと伝えた。
Q イエローカードが5枚とかなり多かったが?
A 前線からプレッシャーをかける形でやっているので、そうなってしまった部分もある。フェアプレーの観点からは多いと思うが、サッカーではあり得ること。アグレッシブな戦い方は続けていきたい。
Q 来週のホーム開幕戦までの準備で注意したい点は?
A 通常の間隔より1日短いので、先ずは疲労をしっかり取らせてあげたい。プレシーズンマッチはあまり内容が良くなかったが、昨シーズン終盤よりやってきた戦い方をベースにしてやっていこうと伝え、それが今日はできた。その部分をもう1度確認していきたい。
対戦相手もいいし、新しいスタジアムで出来るので楽しみがある。ナビスコカップ決勝と同じ戦いが出来ればいいけど、相手は選手も変わっている。アデミウソンの補強は脅威。1人でどうにもできる選手。フリーにしてはいけない。G大阪は連戦だけど、戦力的には変わらなフレッシュな気持ちで戦いたい。たくさん点を取ることより勝つことが大事。
【赤崎 秀平】
スタジアムが新しいし、公式戦の1試合目だし、いい試合ができる要素がたくさんある。ナビスコカップ決勝のイメージで戦えればいい。そのイメージが残っているので優位に入っていける。あの試合で出来たことを自然に出せれば、結果はついて来る。
【曽ケ端 準】
新しいスタジアムなので試合の入り方は注意しないといけないと流れをもっていかれる。G大阪は公式戦を戦っている。こっちはプレシーズマッチの2試合が良くなかった。失点もしている。危機感をもってやらないと、昨年みたいな事になってしまう。ナビスコカップ決勝のようにうまくいく保証はない。みんなでやるべきことをやって、しっかり戦わないといけない。
【植田 直道】
U-23日本代表から戻り、プレーが変わったと言われるが、それは自分自身でも感じている。今シーズンは結果を残したい。タイトルを取るためにアントラーズで出続けたい。G大阪はJリーグ屈指のアタッカー陣がいる。個人ではなくチームとして止めたい。
【西 大伍】
誰が出場してもやりたいサッカーができるようにしたい。開幕戦とあってみんな気張ってしまうと思うが、自分は落ち着いて試合に挑みたい。G大阪は点が取れる選手がいる。新しいスタジアムで戦えるのは楽しみ。観客席が近くコーチングのことを言われるが、近い遠いにかかわらず、練習でやってきたことをオートマチックに出来ればよい。いい試合をしたい。
【昌子 源】
内容はどうあれ、勝てればよい。新しいスタジアムでの開幕戦。こんないいシチュエーションで戦えるので、サッカー選手として非常に楽しみ。
勝ってほっとしている。いい時間帯も悪い時間帯もあった。苦しい時間で決めてくれて良かった。チャンスは多く作れていたけど、もっと前でプレスをかけられる場面もあったし、切り替えも早くすれば、もっといい内容になったと思う。イエローが多かったのは、みんなが危ないと感じたときに体を張って止めたから。危険なことがチーム全体としてわかっていた。
【植田 直通】
無失点で終わることができたのはDFとして一番うれしい。源君とはいつもやっているし、仲もいいのでコンビを組むことに問題はない。監督が石井さんになって前から奪うサッカーをやっていて、自分も少しはできたと思うが、この試合で課題も見つかったので、明日から練習で修正していきたい。源君が前に出て、自分がカバーすることもできていたので、次にも活かしたい。
【昌子 源】
自分の足の状態をチームメートが知っていたので、助けてくれたと思う。誰が出てきても、こっちは同じサッカーをするだけ。宇佐美選手が途中から出てきたけど、交代選手に何もさせないのが、アント
ラーズのサッカー。去年はけがで開幕戦に出られず、チームも負けて、どっちも波に乗れず、開幕戦の大切さを痛感している。カイオ、優磨と交代選手がアシスト、得点してくれたのでいい勝ち方だったと思う。
【中村 充孝】
どんな状況でも勝つのが、アントラーズ。勝てたのは大きい。(G大阪戦は)ナビスコカップ決勝のイメージがあるが、僕たちはリーグタイトルを獲ったわけではない。チャレンジャーの気持ちでキックオフから主導権をとっていこうと話していた。いい入りができたし、守備もいい感じでできていた。決め切るところなど課題が見つかった。目指すところはもっと上。いいパスで終わるのか、きっちり決め切るのか、個人としてもチームとしてもそこまで突き詰めていきたい。
【鈴木 優磨】
カイオくんからいいボールが来たので当てるだけだった。チームの流れを読んで、この状況で何が必要かを整理できていた。前から追いかけて、体を張って、犠牲心を持っていこうと思っていた。勝ち点3を手にしたのは大きい。勝ちたいという気持ちがすべて。苦しい時間が多かったが、1点差で勝ててよかった。改善すべき点があったので、次に活かしていきたい。