ACADEMY FREAKS Vol.2

この経験を今後への糧に

この経験を今後への糧に

アントラーズアカデミー

2023年夏の海外遠征&全国大会

2023年夏、アントラーズアカデミーの各チームは、全国各地で開催された各年代の全国大会に出場し、活躍を見せた。それとともに、今夏はジュニアユースのブラジル遠征を4年ぶりに実施するなど各カテゴリーの海外遠征も行い、参加した選手たちは異文化との交流から多くの経験を得た。数年間にわたるコロナ禍が収束した2023年夏の国内外での活動を振り返る。

 

連日の猛暑のなか、鹿島ユースは全国8強入り

この夏はアントラーズアカデミーにとって実りの多い季節となった。

全国的には連日の猛暑に見舞われ、試合をこなす選手やスタッフには例年以上の負担があった。それでも、鹿島ユースは「第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」でベスト8、鹿島ジュニアユースは「第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会」で3位の成績を収めた。優勝には届かなかったが、日頃の成果を示すとともに、貴重な経験を積んだ。

鹿島ユースは、真夏の群馬県で朝8時45分キックオフの連戦をこなした。大会前に柳沢敦監督が「キックオフ時刻に合わせて5時半に起きて練習をしたり、水分補給をこまめにすることなど、トレーナーをはじめ、いろいろな暑さ対策を準備している」と話したように、主に午前11時以降のキックオフとなる普段のリーグ戦とは異なる戦い方を強いられた。

初戦となったファジアーノ岡山U-18戦(7/23)は1-2で黒星を喫するも、翌日のいわきFC U-18戦(7/24)に5-0と勝利して息を吹き返し、グループステージ最終節の京都サンガF.C.U-18戦(7/26)は試合終盤に徳田誉選手が決勝ゴールを挙げ、1-0で制してノックアウトステージ進出を決めた。

京都サンガF.C.U-18戦の翌日に行われたラウンド16の大宮アルディージャU-18戦(7/27)は2-0で完勝し、準々決勝へと駒を進める。しかし、ベスト4の座を懸けた清水エスパルスユースとの一戦(7/29)は序盤から失点を重ねて2-7と敗北し、敗退となった。

インドネシアでスペインの強豪と対戦

鹿島ユースの全国での戦いは、準決勝・決勝が開催される東京・西が丘にたどり着く前に終わってしまったものの、“夏の戦い”はここで幕を閉じたわけではなかった。「第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」から数日後には、インドネシアへと出発した。

スペインのレアル・マドリードとFCバルセロナのアカデミーチームも参加する「INTERNATIONAL YOUTH CHAMPIONSHIP 2023 Indonesia」に出場するためだ。

現地に到着すると、大会開幕前にU-17インドネシア代表(8/5)とトレーニングマッチと実施し、大山幸路選手の2得点などで3-2と勝利を収めてスペインとの両強豪との対戦に弾みをつけた。

鹿島ユースはU-17インドネシア代表とトレーニングマッチを行い、3-2で勝利した

大会の初戦(8/8)ではレアル・マドリードU-18と対戦した。攻撃力の高さを誇るスペインの名門に対して鹿島ユースは応戦するも、結果は3-5であと一歩およばず。それでも、翌日のFCバルセロナU-18戦(8/9)では1-1の引き分けに持ち込んだ。「チャンスを確実に決め切る力、一瞬のカウンターの速さ、大事なところを逃さない戦術眼など、個の能力で違いを感じた。ただ、相手とやり合い、いい内容の試合ができたことは、選手たちにとって大きな自信になったのではないか」と柳沢監督は振り返る。

その後、大きくメンバー構成を変えた3戦目(8/11)に対戦した現地のバヤンガラ・プレシシFCには1-2で敗れて3位決定戦に回り、そこでも再びバヤンガラ・プレシシFCと対戦(8/14)。2-2のスコアで試合を終え、PK戦で4-3と勝利を飾って3位で大会を終えた。

鹿島ユースの選手たちは、インドネシア遠征で充実した日々を過ごした

U-16、U-14合同チームで臨んだ中国遠征で優勝

鹿島ユースの1年生(U-16)にとって、もう一つの海外遠征が待ち受けていた。ジュニアユースのU-14メンバーと合同チームを結成し、中国へ。「中国-揚州大運河都市サッカーエリート招待大会」に出場し、準決勝(8/30)では常州市北郊高級中学に2-1で勝利。同日に行われた決勝(8/30)では広東省足協と1-1で試合を終えたが、PK戦を3-2と制して優勝した。

中国遠征に臨んだ鹿島ユースとジュニアユースの合同チームは見事に大会で優勝

鹿島ユースは日本を含めた3カ国でハードな日程をこなしながら、それぞれの場で多くの経験を積んだ夏となった。柳沢監督も「普段と違った身体能力を持つ相手や慣れない環境での遠征は実りあるものになった。今後につなげていければ」と、この夏の意義深さを実感している。

これらの経験を踏まえてより成長した選手たちは、9月に再開された「高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ関東1部」でも躍動。10月8日の第15節を終えた時点で首位をキープし、同リーグ優勝とプレミアリーグ昇格参入戦出場へ向けた戦いを続けている。

ジュニアユースは4年ぶりにブラジルへ

鹿島ユースと同様に、ジュニアユースも3カ国で活動した。日本と、先述の中国での大会の他、8月下旬にはブラジルへと渡り、2019年以来となる4年ぶりに開催となった日伯友好カップに鹿島、ノルテ、つくばの各選手が参加した。

大会を主催するジーコクラブアドバイザー(CA)は「パンデミックによる3年間の中断の後だから、この大会を継続していくために、まずは実現することが必要だった。すばらしい大会になった」と大会の成功を喜んだ。そのなかでジュニアユースの活躍について「非常に良かった。とても良い試合をしていたし、良いフットボールをしようとしていた」と称賛した。

ジーコCAの古巣でもあるフラメンゴのアカデミーチームなど、例年ブラジルの名門が一堂に会する今大会は、ブラジル国内でも大きな注目を集める大会だ。

「この大会が始まったからこそ、CBFブラジルサッカー連盟はU-15というカテゴリーを創設したんだ。今年は光栄なことに、決勝でCBF会長が大会に来てくれて、U-15ブラジル代表監督は、『招集メンバーの視察のために良い』と言って、連日通ってくれた」

ジーコCAの言葉がブラジル国内における大会の重要性を物語る。アントラーズからは鹿島、ノルテ、つくばの混合チームで臨んだ。各エリアの選手たちとそれぞれの監督3名がシャッフルされ、この大会に挑む3チームが結成された(チーム名は「鹿島ジュニアユース」「ノルテジュニアユース」「つくばジュニアユース」として大会に出場)。

そのなかで、「鹿島ジュニアユース」として出場した選手たちは、サンパウロ、フルミネンセ、バングーと同居したグループを勝ち抜き、ノックアウトステージに進出。準々決勝(9/1)ではサンパウロを3-0で撃破し、準決勝(9/2)はフラメンゴに0-2で敗れたものの、3位決定戦(9/3)ではクルゼイロと1-1のスコアで試合を終えた。PK戦で2-3と敗れて4位に終わったが、ジーコCAは「この23年間で3位決定戦にアントラーズのチームが進出したのは過去1度だけだったから、今回が史上2度目。選手たちはレベルの高さを見せてくれた」と賛辞を贈った。

日伯友好カップに出場した鹿島ジュニアユースの選手たち

「ノルテジュニアユース」と「つくばジュニアユース」の2チームは惜しくもノックアウトステージには進出できなかったものの、ともにブラジルの名門チームと熱戦を繰り広げた。ヴァスコ・ダ・ガマ、クルゼイロ、ボタフォゴとグループステージを戦った「ノルテジュニアユース」は3連敗となったが、3試合で6得点をたたき出すなど攻撃力の高さを見せた。

日伯友好カップに出場したノルテジュニアユースの選手たち

「つくばジュニアユース」はコリンチャンス、フラメンゴ、ボアヴィスタと対戦し、こちらも力及ばず3連敗となった。それでも、この大会で「つくばジュニアユース」を率いた篠原義貴監督は「ブラジルのチームとの力の差があることは感じたが、試合を進めるにつれて選手たちに自信がついてきて、最後まで一生懸命に頑張ってくれた」と選手たちの奮闘ぶりを振り返った。また、普段は鹿島ジュニアユースを指揮する篠原監督は「練習中の一つひとつの勝負に対するこだわりがより強くなり、さらに勝利にどん欲になった」とブラジルから帰国した選手たちのさらなる成長も実感している。

日伯友好カップに出場したつくばジュニアユースの選手たち

鹿島JY、つくばJYは北海道での全国大会にも出場

ブラジル遠征前に、鹿島ジュニアユースとつくばジュニアユースは北海道で開催された「第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会」にも出場し、鹿島ジュニアユースは3位の成績を収めた。

鹿島ジュニアユースは大会初戦のカターレ富山U-15戦(8/15)に6-1で快勝し、翌日のファジアーノ岡山U-15戦(8/16)も2-1で制してグループステージ2連勝。続くソレッソ熊本U-15戦(8/17)は1-3で敗れたものの、ノックアウトステージでもラウンド32のヴァンフォーレ甲府U-15戦(8/19)に3-1、ラウンド16の三菱養和SC調布戦(8/20)に3-0、準々決勝のアルビレックス新潟U-15戦(8/21)に6-0と勝ち上がった。準決勝(8/23)は、トップの関川郁万選手や師岡柊生選手の出身チームとして知られるFC多摩と対戦。最終スコアは3-4で敗れたものの、終盤の猛反撃など最後まで勝利への執念を示した。

なお、鹿島ジュニアユースはフェアプレー賞を受賞した。キャプテンの平島大悟選手と、今大会で7得点を挙げて得点ランキング3位となった髙木瑛人選手は、それぞれ大会の優秀選手にも選ばれている。

鹿島ジュニアユースは第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会で3位となった

つくばジュニアユースは大会初戦から接戦の連続となった。グループステージではフレスカ神戸JY戦(8/15)に1-1で引き分けた後、JFAアカデミー福島U-15戦(8/16)に2-0、サンフレッチェ広島JY戦(8/17)に1-0と連勝してノックアウトステージへ。しかし、ラウンド32(8/19)で愛媛FC U-15に0-1で惜敗し、ベスト32の成績で大会を去ることになった。今大会に出場できなかったノルテジュニアユースを含め、アントラーズの3つのジュニアユースは各リーグ戦と冬の「高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会」に向けた戦いに臨んでいる。

ジュニア年代も韓国への海外遠征を実施

国内外で多くの経験を積んだのはユース、ジュニアユースだけではない。アントラーズアカデミーのジュニア年代も海外遠征(8/28~31)を実施した。鹿島ジュニア、ノルテジュニア、つくばジュニアからの選抜メンバーによる「アカデミートレセンU-12」が韓国へ行き、ソウルイーランドFCアカデミーをはじめとする現地の多くのクラブと交流戦を行った。また、Kリーグ2部のソウルイーランドFC対全南ドラゴンズ戦でのエスコートキッズを務めるなど、実戦以外にも多くの貴重な経験を積む遠征となった。

ジュニア年代も選抜チームであるアカデミートレセンU-12として韓国遠征を実施した

また、ジュニア年代の全国大会では「JFAバーモントカップ第33回全日本U-12フットサル選手権大会」が開催された。6月の県予選ではアントラーズの3チームが全国出場を懸けて対戦した。鹿島ジュニアが2次リーグ戦でノルテジュニアを破ると、決勝ではつくばジュニアとの激戦を制して全国への切符をつかみ取った。迎えた全国大会では、グループステージ初戦(8/8)で清水FCスポーツ少年団と3-3で引き分け、続く川上FC戦(8/8)は1-5で敗戦。最終戦(8/9)はアグレミーナ浜松U-12に4-3で勝利したもののグループステージ敗退に終わった。県予選で鹿島ジュニアに敗れたノルテジュニア、つくばジュニアも含めて3チームとも夏の悔しさを胸に、冬の「JFA第47回全日本U-12サッカー選手権大会」に向けた新たな戦いに挑んでいる。

育成年代において、夏は大きく成長する時期として捉えられる。コロナ禍を乗り越え、海外遠征や全国大会で大きな経験を積み重ねた選手たち。シーズンの集大成となる冬の大会に向けて、さらには次のカテゴリーへの昇格を見据えて、順調な歩みを進めている。