
アントラーズアカデミーには、鹿島・ノルテ・つくばの3つのブランチがあり、それぞれジュニアからユースにつながっている。Jクラブの中でも、3つのジュニアと3つのジュニアユースを持つのはアントラーズだけだ。“数の多さ”にとどまらず、育成の“質と幅”を両立させることで、クラブの育成力を支える構造的な強みを築いている。
アカデミーマネージャーの鈴木修人は、この3ブランチ制を「クラブが内部で選手を育てるための大きな力になっている」と話す。
「ユースを1学年10~13人ほどの構成にするために、毎年外部から有望な選手を取ってくるクラブもあります。もちろんアントラーズでも検討をしますが、ジュニアユースの3チームにクラブの哲学や基準を理解して育った選手たちが多くいます。内部からの昇格をベースにできるのは、クラブにとって大きな強みです」
鹿島・ノルテ・つくば。それぞれの地域に根ざしながら、”アントラーズらしさ”をベースとした育成を進めている。同じ価値観を共有しながら、日々切磋琢磨する環境だ。
「前提として、どのチームにも“アントラーズらしさ”がしっかりと出ていなければいけません。地域やブランチによって、色が出るのはいいこと。でもその前に、”アントラーズらしさ”が前提にあって初めて、それぞれの持ち味が生きてくるのです。クラブの根幹が浸透した上で、それぞれの持ち味を発揮していく。今はすべてのチームでユースのような”アントラーズらしい”サッカーを展開できているわけではありません。そこが今の課題ですね」
ブランチ同士の対戦は、まるで”クラブ内ダービー”のような熱を帯びる。緊張感ある試合は自然と選手たちのモチベーションを高め、しのぎを削ることで競争が生まれていく。
また、海外遠征でもひと工夫する。毎年恒例のブラジル遠征のように3校の選手を3つのチームに選抜して臨むこともあれば、韓国遠征では3校から選抜した一つのチームで臨むこともある。普段は別のブランチで過ごす選手たちが、高いレベルの舞台で交わる。その経験が、個の成長を後押ししていく。クラブ内でトレセンのような形で高いレベルの経験を積むことができる環境を整えているのだ。
「ライバル関係の中でコミュニケーションが生まれ、同じ志を持つ仲間同士が互いに刺激し合う。その環境が一番の強みだと思っています」
単なる競争だけではなく、“同じDNAを持つ仲間”として、ともに高め合う関係性が選手たちの成長を支えている。
もちろん課題もある。拠点が増えれば、その分だけ指導や環境の差異も生まれる。だからこそ、鈴木は「どの年代でもどの場所でも、アントラーズのユースで実現しているような育成を再現したい」と軸を忘れない。
「ブランチが3つあることが本質ではないんです。どんな形でも、クラブとして“どう育てるか”の考え方を共有し続けること。それを各チームがピッチ上で表現し続けること。それが一番大事なことなんです」
“アントラーズらしさ”という軸を持ちながら、内部で選手を磨いていく。“らしさ”を守りながら、それぞれの地域の個性が息づく。アカデミーのブランチが育むのは、単なる選手の力ではなく、クラブそのものの未来を育んでいるのだ。