ACADEMY FREAKS COLUMN

「よく言われる“アントラーズらしさ”に違和感を感じる」。鈴木修人が考える、アカデミーに落とし込む3連覇時代の技術とは。

 

「鹿島る」という言葉が、過去にサポーターの間で議論になったことがある。


アントラーズは試合巧者。終盤の時間稼ぎか。勝負に徹するべき。1-0が美学。勝利至上主義――。それはそれとしてあるが、鈴木修人アカデミーマネージャーは違和感を覚えたという。


「僕もいいときに選手としてアントラーズに在籍させてもらいました。僕の中で、アントラーズらしさといえば3連覇した時代。間違いなくあのチームはすごかったし、なんでもできる、一番のチームだったと思っています。あの当時、試合でボールを持ちまくっていたし、試合を支配しまくっていたんです。そうなると自陣にブロックを作って守備を固められるけれど、それでも結局、セットプレーでもカウンターでも点を取れたという感覚でした。でも、今は堅いサッカーをして、勝ったら“アントラーズらしさ”と言われることがありますよね。なんか僕はちょっと違うと思っていて」


アントラーズ黄金期の一つ、2007年から2009年のチームは、リーグ史上初となる3連覇を成し遂げた。鈴木は2008年から2011年まで選手として在籍し、日々の練習で高い技術と高い戦術眼を体感し続けた。当時を振り返り、その言葉に説得力が増す。


「モトさん(本山雅志)、タクさん(野沢拓也)、(小笠原)満男さん、(中田)浩二さん、イバさん(新井場徹)、(内田)篤人とかが、もうボールを持ちまくって、ゲームを支配しまくっていたんです。それで勝ち続けていた。それを基準とすると、”らしさ”と言われるものが、なんかちょっと違う感覚にならないですか? ずっとアントラーズを見ている人からしたら、なおさらそう思うのではないかなと」

 

ユースで魅せる、”らしさ”

ここ数年、ユースの試合会場で他チームのスタッフからかけられるようになった言葉がある。


「アントラーズらしいですね」。この言葉は腑に落ちた。


「おそらく、皆さんそれぞれの持つ“アントラーズらしさ”があると思うのですが、(試合会場でそう言われることを)ポジティブに受け取っています。それは、今のユースはボールを保持する志向のサッカーをしているからです。根本が外れていない。今のアカデミーの選手たちには、『アントラーズはリトリートしながら守る』『1-0で勝つのがらしさ』というサッカーだと思っているところがあるのですが、そこは常に否定しています。『それは違うよ』と言い続けています」


アカデミーの選手たちが持つアントラーズのイメージと、クラブが目指すイメージに差があることを感じた。その差を埋めていく作業を進めるのも鈴木の役割の一つだ。指導方針もそこに基づく。


「最近は戦術とフィジカルの時代になってきました。ただ、そのなかで僕らアカデミーが示すのは、やっぱり相手を背負ってでもボールを受けて、さらに前を向けるのか、それとも背負った状態で相手をはがせるのか。やっぱりそこがプロで一番大事なことです。満男さんもボランチでゲームコントロールができて、ボール奪取に優れているイメージ。でも、普通に相手をはがせるんです。高い技術ではがすプレーができることを前提に、パスなどその他のプレーの選択肢がある。まずは個のレベルアップを目指す。そのトップレベルをアカデミーから輩出していきたいんです」


大前提として、絶対的な技術を持ち合わせなければ”らしさ”は生まれない。それをもとに試合で相手を圧倒することを目指す。


「その目標にはまだ時間がかかるだろうけれど、すごく順調な歩みを進んでいるのではと思っています」


鈴木自らの体感を、アカデミーに着実に確実に、落とし込んでいる。