INTERVIEW
高円宮杯プレミアリーグ
への挑戦
鹿島アントラーズユース 3年生

2024年、高円宮杯プレミアリーグEASTの舞台に挑戦する鹿島アントラーズユース。チームを引っ張る3年生11人に、新シーズンにかける思いや、高円宮杯プレミアリーグEASTの戦いに向けた意気込みを聞いた(取材はリーグ開幕前に実施しました)。
憧れ続けていた戦いの場所
集大成となる1年は、高校年代最高峰の舞台が戦いの場となる。
高円宮杯プリンスリーグ関東の厳しい戦いで頂点に立ち、さらには各地域の強豪チームと相対するプリンスリーグプレーオフを勝ち抜いてつかんだ、高円宮杯プレミアリーグEAST(高円宮杯プレミアリーグ)への出場権。そのチームを引っ張った昨シーズンの3年生への感謝の思いを胸に、新チームが始動した。
「高円宮杯プレミアリーグは“日本一”を目指せるリーグ戦。自分たちの最終学年のときに、その舞台を残してくれた先輩たちには感謝しかありません」(土橋)
「先輩たちが残してくれた高円宮杯プレミアリーグの舞台で、自分たちが不甲斐ない戦いを見せるわけにはいかない。先輩たちの頑張り以上のものを、今年は見せないといけない思いがあります」(佐藤)
「高円宮杯プレミアリーグは誰もがプレーできる舞台ではないので、すごく特別な思いがあります。先輩方が上げてくれたおかげで僕たちは戦えるけれど、先輩たちはその舞台で戦えない。先輩たちの思いも背負って、やはりいい結果を残さなければいけません」(芝)
それぞれの選手たちが、2019年を最後に遠ざかっていたその舞台への思いを馳せてきた。玉木亜門は、2019年当時ユース3年生だった兄・麗音が活躍する姿を見て、高円宮杯プレミアリーグへの憧れを強くした。
「お兄ちゃんの代のときに、結構試合を見に行っていました。ホームでの試合に加え、大宮とのアウェイゲームも見に行った記憶があります。とにかく観客が多くて“すごいな”という印象がありました。お兄ちゃんのときに高円宮杯プレミアリーグから降格してしまったので、自分たちの代ではいい成績を残したいです」(玉木)

アントラーズユースではケガがちだった玉木は兄が戦った舞台を目指す
中学時代は街クラブでプレーしていた三簾夢真と島田ビクトルゆうぞにとっても、高円宮杯プレミアリーグはずっと目指してきた場所だ。三簾が中学時代に所属していたアトレチコ君津からは、まだ誰も高校年代最高峰のリーグ戦を経験した選手は出ていない。それだけに、自身を成長させてくれた地元クラブへの思いも胸に、高円宮杯プレミアリーグの戦いを見据える。
「中学生のときから、高円宮杯プレミアリーグでプレーしたいとずっと思っていました。自分の中学生のときに、本気でフットボールに向き合う環境をつくってくれたコーチたちに感謝しています。僕自身が成長した姿を見せられたらうれしいし、また、アトレチコ君津の後輩たちには、頑張れば高円宮杯プレミアリーグでプレーできることを示す1年にしたいです」(三簾)

三簾はアトレチコ君津出身選手としても高円宮杯プレミアリーグ出場を狙う
かつてのチームメートとの再会
島田は高円宮杯プレミアリーグの印象を「強いチームが集まり、高校年代で有名な選手がたくさんプレーする大会」と話す。2023年度の全国高校サッカー選手権大会でベスト4進出を果たした名門校で活躍する友人たちとの再会も待ちわびている。
「市立船橋高校(千葉県)のギマラエス・ニコラスとギマラエス・ガブリエルの双子の兄弟とは、以前から仲良くしています。ニコラスとは選抜チームで一緒にプレーして仲良くなったし、ガブリエルとは中学時代に練習試合でよく対戦していました。彼らはどちらも守備の選手なので、対戦するときは絶対に点を取って勝ちたいと思っています」(島田)

市立船橋高校の守備陣との対戦を心待ちにする島田
島田の他にも、アントラーズユースのほとんどのメンバーが、市立船橋高校との一戦を心待ちにしている。特に徳田誉ら中学時代につくばジュニアユースでプレーした選手たちは、かつてのチームメートとの一戦に闘志を燃やす。
「つくばジュニアユースでチームメートだった伊丹俊元と加藤悠人が、市立船橋高校へ進み活躍しているので、彼らとの対戦が楽しみです。加藤悠人とは実家も近いので、いつも一緒にフットボールをしたりして、仲良くしていました。実際に今、アカデミーハウスの中でも彼らのようなジュニアユース時代のチームメートが活躍したりすると話題になるので、僕らもすごく意識している存在です」(徳田)

徳田はつくばジュニアユース時代のチームメートの動向を気にしてきた
鹿島ジュニアユース出身の佐藤海宏にとっても、かつてのチームメートは意識する存在だ。市立船橋高校とともに、尚志高校と青森山田高校の名前を挙げ、「ジュニアユース時代に一緒に戦っていた選手との対戦は楽しみ」と胸を高鳴らせる。
「尚志高校には荒川竜之介、青森山田高校には佃孝太という鹿島ジュニアユース出身選手がいます。試合でひさしぶりに会えれば、彼らは相手だけど、どういうプレーをするのか楽しみです。彼らも僕らに負けたくない気持ちは強いと思うけれど、僕らはそれを超えて勝利をつかまないといけません。自分たちもこのアントラーズユースで成長した姿を彼らに見せられるような試合にしたいです」(佐藤)

鹿島ジュニアユースからユースに昇格した佐藤は成長した姿を示したいと意気込む
佐藤が名前を挙げた青森山田高校は、言わずと知れた高校年代トップレベルのチームだ。2023年度は高円宮杯プレミアリーグチャンピオンシップを制し、冬の全国高校サッカー選手権大会でも頂点に立った。アントラーズユースの3年生全員が口々に「対戦して勝ちたい」というほどの“王者”でもある。
「青森山田高校といえば、高校年代の代表格であり、最高峰のチーム。もちろん彼らへのリスペクトの思いはありますが、自分自身は“アントラーズが日本一”であるべきだと考えているので、本来は青森山田高校の王座に鹿島アントラーズがいなければいけないと思っています。今年、そこにチャレンジする機会があるので、絶対に勝って日本一を目指します」(芝)
芝碧斗は青森山田高校戦への思いを力強い言葉で表現する。

芝は対戦したい相手に「青森山田高校」を挙げ、必勝を誓う
中学年代はJFAアカデミーU-15WESTに在籍した松本遥翔は青森山田高校との接点も多いことから、高円宮杯プレミアリーグEASTのリーグ戦のなかでも特にその対戦を意識している。
「自分は小学生のときに青森FCというチームとよく対戦していました。そのチームから青森山田高校に上がった選手が多くいると聞いています。それに地元の埼玉県熊谷市からも何人か青森山田高校に入学していて、そのなかにも知り合いがいます。自分自身も中学時代に練習参加した高校なので、知り合いの選手との再会を楽しみにしながらも、ホームでもアウェイでも彼らに勝ちたいと思っています」

中学時代に青森山田高校の練習参加も経験した松本遥翔
成長した姿を示す舞台
一方で、高円宮杯プレミアリーグの対戦相手を見ながら、土橋竜之介はつくばジュニアユース時代の一戦を思い出す。記憶としてよみがえってきたのは、中学3年時の高円宮杯 JFA 第33回全日本U-15サッカー選手権大会準決勝、FCラヴィーダ戦だ。
「中学3年のときの高円宮杯準決勝で、FCラヴィーダに1-4のスコアでボコボコにされたんです。センターバックとして出場した僕は、対峙した1つ年下の山口豪太選手にかわされて、すごいシュートを決められました。悔しかったし、本当にうまかったです。当時のFCラヴィーダの選手はほとんどが昌平高校でプレーしているので、僕も含めてつくばジュニアユース出身の選手たちは昌平高校にも勝ちたい思いが強いです」(土橋)

中学時代に味わった悔しさを胸に、昌平高校戦を見据える土橋
小笠原聖真や松本泰生のようなノルテジュニアユース出身選手にとっても、中学時代に味わった悔しさを晴らすためのリベンジのチャンスが訪れる。年代別日本代表選手を数多く輩出する国内屈指のJクラブが常に壁となってきた。
「川崎フロンターレには、ノルテジュニアユースでプレーしていたころから結構負けているので、そこには勝ちたいです。中学時代から柴田翔太郎とはマッチアップしていて、日本代表に入った選手でもあるので負けたくないです」(小笠原)

年代別日本代表選手とのマッチアップで存在感を放ちたい小笠原
そして、岸野瑛太は地元千葉県柏市で高円宮杯プレミアリーグの開幕戦を迎える。慣れ親しんだ土地での新たなスタートとともに、小学生のころにチームメートだった友人との対戦にも心を弾ませる。
「地元が柏なので、柏レイソルU-18との開幕戦に燃えています。中学1年のときに、アントラーズユースと柏レイソルU-18の高円宮杯プレミアリーグの試合を日立台のスタジアムに見に行って、自分の目指すべき場所はここだと思った。レイソルの小林剣生とはジュニア時代にチームメートだったので、対戦が楽しみ。ピッチ上でそれぞれが成長した姿を見せられればいいなと思っています」(岸野)

地元・千葉県柏市での開幕戦に特別な思いを抱く岸野
アントラーズアカデミーでの集大成の1年
それぞれの思いを胸に新たなシーズンに挑む舞台は、アントラーズユースの3年生にとってはアカデミーでの“集大成”を示す場でもある。ともに戦ってきた仲間との最後の1年間だ。
「先輩たちのおかげで今があると感じます。5年ぶりの高円宮杯プレミアリーグなので、1年で再びプリンスリーグに落とすことはできない。まず、高円宮杯プレミアリーグ残留は絶対にしなければいけないという気持ちが大きいです」(小笠原)
「自分は1年生、2年生のときはずっとケガをしていて、試合に出られなくて焦りもありました。やっとケガが完治したので、がむしゃらに、全力でプレーする姿を家族にも見てほしいし、ジュニア時代からお世話になった鹿島アントラーズに何か残せたらと思っています」(玉木)
「アントラーズに入れたのは、つくばのスタッフのおかげ。つくばでお世話になった人たちにも成長したところを見せたいです」(土橋)
中学3年のときからアントラーズユースに帯同していた松本泰は4年目のシーズンとなる。同じGKのポジションを争う岸野らと切磋琢磨し、迎えた高校生活最後の年。高円宮杯プレミアリーグの舞台でゴールを守ることが、目下の目標だ。
「これまではAチームの試合に絡むことがあまりできていなかったので、今年こそは岸野を超えて試合に出たい気持ちが強いです。ほとんどのユースのメンバーがジュニア、ジュニアユース、ユースと上がってきた仲間。同じチームでフットボールに向き合うのも今年が最後の年になるので寂しさもあります。日常生活も含めて、この1年間は悔いがないように過ごしたいです」

松本泰(中央)はクラブユース選手権も含めたAチームでの試合出場を目指す
すでにトップチームに2種登録され、高円宮杯プレミアリーグの戦いが終わってから迎える2025シーズンのトップチーム昇格が内定している2人も、アントラーズユースでの最後のシーズンにかける思いは強い。
「一つでも多く勝って、優勝を狙いたいです。ただ、それ以上に来年も、再来年もずっと高円宮杯プレミアリーグで戦い続けるための土台を築くことが大事です。上位を狙いつつ、この舞台で戦い続けるための姿勢を後輩たちに背中で見せていけるように、自分たちが頑張っていこうと思っています」(松本)
「初めての挑戦なので、正直、うまくいくのか不安な気持ちもあります。一方で強い相手とたくさん対戦して、さらに成長するチャンスがあると思っています。そういった環境を楽しみながら、上を目指して一つでも多くの試合に勝って、最後に笑って終われるように、1年間頑張っていきたいです」(徳田)
再び帰ってきた“アントラーズユースのいるべき場所”での戦いに向けて、3年生がさまざまな思いを胸に新たなシーズンに挑む。