FREAKS

「感謝」の思いを胸に

LIFE STYLE ~トップを目指して~

第1回 鹿島アントラーズユース 3年生

LIVE STYLE

鹿島アントラーズユース

2023/4/18

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トップチームの主役となるために、日々、切磋琢磨するアカデミーの選手たち。
そんな彼らは、どのようなフットボールライフを送っているのか。
そして、日々の生活において意識していることとは――。
第1回は鹿島アントラーズユース3年生のLIFE STYLE に迫る。

「プロを目指すにはこれ以上ない環境」

雨にも負けず、風にも負けず――。

鹿島ユースの選手たちが通う鹿島学園高校までは、自転車で片道50分ほど。およそ10キロの通学も、今となっては慣れたものだ。

「すごく強い風のなかでも、雨のなかでも、自転車で登下校しているのは正直つらいときもあります(苦笑)」

交通網の発達した埼玉県さいたま市で中学時代までを過ごしたGK嶋田晄樹は、そう本音を漏らすが、「でも、すべては自分のためです」と言葉に力を込める。さいたま市立南浦和中学校3年のとき、他の強豪Jクラブからも声がかかったが、迷うことなくアントラーズユース加入を決めた。

「自分がより成長できる環境を求めていた。環境やスタッフ陣がすごくて、“アントラーズユースに行くしかない”と思いました」(嶋田)

今では「日頃からこのようなすばらしい環境でサッカーに打ち込めることへの感謝の気持ちを忘れずに、これからも練習に励んでいきたい。鹿嶋は、サッカーに集中できる環境としては一流です」と、その決断が正しかったことを感じる毎日だ。

鹿嶋にやってきて「芝生のグラウンドがすごく多い。地元にはそんなに多くないし、土のグラウンドばかりだった」と驚嘆したのは、福島県いわき市出身のFW馬目隼乃介だ。中学時代はノルテジュニアユースでプレーし、ユースに上がって鹿嶋市での生活をスタートさせた。「いわき市と気候も町の規模も似ていて住みやすい」というように生活環境に馴染んでおり、「プロを目指すにはこれ以上ない環境」と充実したサッカーライフを送っている。

現在、アントラーズユースには10人の高校3年生が在籍している。彼らにとって、アントラーズのトレーニング環境は理想的だ。

特に、「練習が終わってから、ロッカールームに戻る前にトップチームの練習を見たりもできるし、トップチームの選手とすれ違うことも多くてドキドキする」とMF池田健将が話すように、トップチームと近い距離感にあるのは特別なことだろう。センターバックを主戦場とするDF坂本翔汰は「隣のグラウンドに目標とする選手たちがいる。特に昌子源選手と植田直通選手を近くで見られることはすごく勉強になる。周りの選手たちへのポジティブな声がけが印象に残っている」と語り、MF壱岐健斗も「荒木遼太郎選手や土居聖真選手のプレーは映像で見ていても参考になることが多いけれど、実際にその動き方を間近で見ると、より多くのことを学べる」と、映像では伝わりづらいようなプロフットボーラーのすごみも感じている。

また、普段のトレーニングからユースの選手がトップチームの練習に参加する機会も多い。つくばジュニアユース出身のMF小倉幸成は「つくば時代はトップチームの選手が間近にいなかったから、ユースに昇格して鹿嶋に来て、たくさんの驚きがあった」とここまでの2年間を振り返る。小倉や徳田誉(2年)とともにトップチームの宮崎キャンプに参加した馬目は「鈴木優磨選手はユースの選手にも、トップチームの選手と同じように接してくれて、言うところは言ってくれた」と貴重なアドバイスをもらった。

「トップチームの練習場の隣でトレーニングできる喜びを感じる。いい刺激になっている」と話すのは、山形県山形市出身のMF三沢大和だ。視線の先にはいつも同郷の先輩である土居聖真選手の姿があり、「土居選手のようにドリブルなどを駆使してチャンスを作り出したり、見ている人を楽しませるプレーをしたい」と自らの理想像と重ね合わせる。

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アカデミーハウスの中庭にあるテックボールを楽しむ大山。寮生は自由にボールを蹴ることができる


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幼少期からアントラーズが大好きな長山。トップチームの隣で練習できる環境は理想的だ


“憩いの場”ラウンジでサッカー観戦

選手たちが生活をするアカデミーハウスは、クラブハウスからわずか1キロほどの距離にあるため、坂本が「いつでもサッカーができる、充実した環境がある」と話すように、朝の通学前やトレーニング後など、選手たちはいつでも好きな時間にボールを蹴ることができる。そしてアカデミーハウスに戻れば、疲れた体をケアする設備ばかりだ。「お風呂でリラックスする時間が好き。結構、長めに入ってしまう」と小倉が気に入っている大浴場や、「ラウンジでみんな一緒にスマホでゲームをしたりするときが落ち着く」という広々としたラウンジが選手たちの憩いの場となっている。

ラウンジに備えつけられた大画面のテレビでは、アントラーズなどの試合を見たりすることが日課となった。特に「みんなから“DAZN好き”と呼ばれるほど、いつもサッカーを見ている。サッカーの知識は誰にも負けない自信がある」というMF長山翔真の生活は、まさに“サッカー漬け”の毎日だ。「自主練の量を多くすることを意識している」というように自主練に人一倍の時間を費やしつつ、「ヨーロッパの強豪クラブだけでなく、中位クラブの戦術を見ることも好き」だと話すように、トップレベルのプレーや戦術を頭にインプットしている。

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ラウンジの大画面テレビでサッカー観戦する“DAZN好き”の長山と嶋田


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人工芝が敷き詰められた中庭は開放感があり、選手たちの憩いの場ともなっている


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小倉は広々とした浴槽のある風呂場でリラックスする時間が一番好きだという