
現代サッカーでは、GKにも足元の技術が求められる。
だが、杉山哲が最優先に置くのは、あくまで“ゴールを守ること”だ。
「決定機を止められるGKにならなきゃいけない」
その言葉の背景には、鹿島アントラーズで長年ゴールを守り続けてきた曽ケ端準の存在があった。
――ユースGKコーチとして最初に選手へ伝えたことは何でしたか。
「まずは、ゴールを守れるようになろうという話をしました。今はGKも足元と言われますよね。もちろん、それも必要です。足元の技術がいらないなんてことは全然ありません。でも、GKは最後にゴールを守れるかどうか。決定機を止められるか。そこで試合を勝たせられるか。僕はそこが大事だと思っています。
――今のチームを見ても、その部分は重要だと感じていますか。
感じていますね。今のチームは攻撃力があって点もとれる。でもサッカーは、90分あれば必ず一つや二つはピンチが来る。そのときに決定機を阻止できるGKなのか。そこが勝敗を分けると思っています。
――足元よりも、まず守ること。
試合で起きたことについてはもちろん話します。でも、今の段階ではそこを細かく求めるより、まずはゴールを守る力を上げること。そこを一番大事にしています。
――その考え方は、トップチームGKコーチ・曽ケ端準さんの影響もありますか。
※曽ケ端と杉山は2004から2011シーズンまでともにアントラーズでプレーした。
すごくあります。ソガさん(曽ケ端GKコーチ)って、本当に基礎を大事にするんですよ。派手な練習じゃなくて、構えとか、ステップとか、キャッチとか。本当に基本です。でも、結局そこがないと上では戦えない。ソガさんを見てきて、改めてそう感じました。
――基礎を積み重ねる。
遠回りに見えるかもしれないですけど、一番の近道だと思っています。実際にソガさんがユースのGKコーチになったときも、『まずは基礎を徹底的にやる』と、アカデミーのGKコーチ陣に話していました。その考え方は今も変わっていません。
――一方で、選手一人ひとりへの接し方は変えているのでしょうか。
全員に意思統一した中で、試合に出ている選手もいれば、そうじゃない選手もいる。だから、その選手に今何が必要なのかを考えて話をすることもあります。
――人としての土台。
責任感だったり、自主性だったりです。続けることって、本当に難しいので。プロで試合に出ることも大変ですけど、出続けることの方がもっと大変なんですよ。プロへ行けば、必ず壁に当たります。試合に出られない。評価されない。ケガをする。そういうときに乗り越えられるかどうか。だから僕はサッカーの能力だけじゃなくて、人としての土台も見ていますね。
――それはご自身も経験してきたことですね。
そうですね。試合に出られない苦しさも知っていますし、試合に出るプレッシャーも知っています。だから今は、その両方を伝えたいと思っています。
――選手をどう見ていますか。
やっぱり日々の取り組みって絶対にどこかで出るんですよ。全体練習が終わってから何をしているか。どういう姿勢で毎日取り組んでいるか。それって、時間が経つと必ず差になります。だから、頑張っている選手にはチャンスを与えたいと思っています。
――最後に、今のユース年代で一番大切にしたいと思っていることは何でしょう。
自主性ですね。ユースはもう、プロへの入り口です。だから『やれ』と言われて動く選手じゃダメなんです。例えば朝練もそうです。『行け』と言われて行くんじゃない。自分で必要だと思って行かなければ意味がない。結局、自分で気づいて、自分で変わろうとする選手じゃないと、上には行けない。そこは、ずっと伝え続けたいと思っています。