ACADEMY FREAKS Vol.3

みんなの気持ちを一つにして

SPECIAL INTERVIEW

プリンスリーグ関東優勝&プレミアリーグ昇格!
鹿島アントラーズユース 柳沢敦監督

プリンスリーグ関東を制覇し、プレミアリーグ昇格を決めた鹿島アントラーズユース。
チームを率いる柳沢敦監督が、目標に向けてまい進するチームの成長ぶりを振り返る。

精神的、肉体的なタフさや強さが備わった

―プリンスリーグ関東優勝、プレミアリーグ昇格おめでとうございます。まず、今年1年間の取り組みについて振り返ってください。

「今年は、経験のある里内さんにフィジカルアドバイザーとしてチームに入っていただき、“鍛える”というテーマでチーム全体のミーティングをしたところから始まりました。選手たちは当初、これまで以上にトレーニングの厳しさを感じながら取り組んでいたところもあったかと思いますが、トレーニングを重ねていくうちに体の変化を実感し、それによりトレーニングの重要性を感じながら取り組むようになってきたことでしょう。シーズン終盤戦になってもすごくハードに、タフに戦うことができたのは、この1年間の積み重ねによる成果だと考えています」

―特にどんなところにチームの成長を感じていますか?

「昨年までは昇格プレーオフに進出するようなチームになかなか勝てておらず、今年もリーグ前半戦ではレッズ、ヴェルディに負けてしまったこともあり、やはりそういった相手に勝っていかないと、なかなか上には行けないだろうと感じていました。そこで、自分たちがしっかり相手よりも走って、戦える選手たちになっていくように“鍛える”というテーマとなったところもあるのですが、リーグ前半戦ではまだ結果を残すことができなかったのが実際のところです。それでも、小笠原テクニカルアドバイザーを中心に取り組んだ、前からボールを奪いにいくような守備の共通認識が定着できてきたことで、そこからいい攻撃につなげていく自分たちのスタイルが確立されてきた手応えはありました。3年生を中心にそれを継続してきたことが、今季の得点力にもつながったという印象を持っています」

―プリンスリーグ関東で印象的な試合を挙げるとすると?

「リーグ後半戦の浦和レッズユース戦(第11節・△2-2)、東京ヴェルディユース戦(第15節・△2-2)ですね。先ほども話したように、ここまでは、この2チームのような上位を争う相手に勝てていなかったので、シーズンを折り返すときに“やはり上位相手に勝っていかないと上には行けない”という話を選手たちにしました。この2試合では先制点をあっさりと取られたり、自分たちのミスから失点したりと反省点はあったものの、それでも最後の最後に同点に追いつき、引き分けに持ち込むことができました。勝つまでには至っていませんが、ヴェルディ戦は0-2の状況からでもあきらめない姿勢を最後まで貫いて、同点に追いつくところまで行けた。その姿勢に選手たちのメンタル的な成長を感じました。“鍛える”というテーマのもとで取り組むなか、精神的にタフになり、そして肉体的なタフさや強さが備わったからこそ、劣勢の状況でも勝ち点1を取り切ることができた2試合だったかなと思います。そこで勝ち点を落としてしまっていたら、首位にはいられなかったことでしょう。その2試合に象徴されるように、最後まであきらめない戦いができたこともプリンスリーグ関東で優勝できた大きな要因だと考えています」

最後の最後ですばらしい試合を見せてくれた

―プリンスリーグ関東のチャンピオンとして迎えたプレーオフはいかがでしたか?

「プレーオフの前に経験者の話を聞かせてもらい、準備するうえでの参考になりました。例えば宿泊のことだったり、食事の面だったり、そういった部分の準備も非常に大切な要素だと。また、同じ場所での短期決戦の難しさといいますか、中1日の連戦で連勝しなければならないレギュレーションでもあるため、選手のコンディションもチームの結束力も含めて、いかにいい状態でその2試合に臨めるかが重要です。そうでないと、なかなか勝つことは難しかったことでしょう。とにかく初めて経験するプレーオフだったので、プリンスリーグ関東の最終戦が終わってから1週間もない期間のなかでしっかりと準備して臨むことを心がけました」

―1回戦の瀬戸内高校戦(○5-1)を振り返ると?

「やはり初めて経験する難しさがありつつも、自分たちが緊張やプレッシャーに打ち勝って“やってやろう”という強い気持ちを持って試合に入ることを意識しました。こんなチャンスは滅多にないし、戦う気持ちと、楽しむ気持ちを忘れないで、この2試合に挑もうと。瀬戸内高校戦は、まずはこの試合に勝たなければ昇格決定戦には進めないので、自分たちのやるべきことをしっかりとやりながら、試合に勝つことを目指しました。相手に先制される展開になりましたが、そこから耐えて連続失点しなかったことがよかったです。得点を重ねることができたところも、自分たちのいい面が出ました。先制されても落ち着いてゲームを進められたことが勝因だったと思っています」

―瀬戸内高校戦では松本遥翔選手(2年生)、大川佑梧選手(1年生)、徳田誉選手(2年生)という下級生がゴールを決めました。

「下級生が活躍してこその“競争”だと思うし、それは今年にもっと強調したかったところでもあります。この3人だけでなく、もちろん3年生が中心となって戦ったのは間違いないことですし、ゴールを取るべき選手が取ってくれるとチームとして勢いづきます。徳田選手の得点のように、FWがゴールを決めることが理想的な展開でもあります」

―プレミアリーグ昇格が懸かったベガルタ仙台ユース戦(○7-0)はFW馬目隼之介選手のハットトリックなど、理想的な展開だったのではないでしょうか?

「そうですね、選手たちは本当に最後の最後ですばらしい試合を見せてくれました。守備も攻撃も、勝ちたい気持ちも、ボールを奪いにいく姿勢も、相手よりも走る姿勢も、すべてにおいてよかったです。みんなの気持ちを一つにして、結束して、まさにこういうチームを作りたいと思い描いていたことをすべて表現してくれた試合になりました」

―チームの中心となってプレミアリーグ昇格を勝ち取った3年生はどんな集団でしたか?

「これまでの学年と比べると人数が10人と少なかったのですが、いい意味でまとまっている代だったと思っています。それが下級生にもいい影響を与えているような印象を受けていました。自分たちのことだけではなくて、チームのために何をするべきなのかを表現してくれたグループだと思います。中にはあまり試合に出られない選手がいたことも事実ですが、彼らも出たときには役割を完璧にこなし、我慢しながらも文句の一言もいわずにしっかりと戦ってくれました」

―最後に、2024年のプレミアリーグでの戦いに向けての意気込みを教えてください。

「3年生が残してくれたすばらしいステージに向けて、まずは感謝の思いを持ちながら戦っていきたいと思います。プレミアリーグで戦ううえでは、よりたくましく、より強くなっていかないと難しいでしょう。そのため、我々はやはり選手たちを鍛えていく必要性があります。チームとして1年間を通して成長し続けるような形でないと、すぐにまた降格してしまうような厳しいリーグだと認識していますので、とにかくみんなで一丸となって戦える環境を整えていきたいと考えています」