決勝第1戦の注目プレーヤーは、金崎夢生!
山本が上げたクロスに飛び込んだ時のことを、全く覚えていないという。「いいボールが上がってきたから。何も考えていなかった」。23日、チャンピオンシップ準決勝。50分に決めた無我夢中のダイビングヘッドが、アントラーズを決勝へ導いた。金崎夢生、実に2か月ぶりのゴール。PKを除けば、7月9日の広島戦以来、なんと出場18試合ぶりの一撃だった。等々力陸上競技場が揺れた。沈黙する水色と黒は、沸騰するアントラーズレッドの歓喜をただ見届けるしかなかった。
1stステージは15試合出場で8ゴールを挙げた金崎。エースとして君臨し、アントラーズは頂点に立った。しかし2ndステージ、出場数は同じながら、得点は2にとどまってしまう。低空飛行を続けるチームにあって、もがき苦しむ日々。指揮官に対して感情を発露してしまう一幕もあった。「勝ちたい」「点を取りたい」という渇望と、それを結実できない己の不甲斐なさ。背番号33は、長く険しい迷路の出口を探し続けていた。
12日の天皇杯4回戦。アントラーズは神戸を2-1で破り、公式戦5試合ぶりの勝利を挙げた。ようやく暗闇を脱したが、しかし金崎にとっては手放しで喜べるものではなかった。22分、ペナルティーエリア内でパスを受け、GKをかわした場面。無人のゴールに流し込むだけだったが、DFにブロックされてしまう。51分にもGKとの1対1を阻まれた。度重なる決定機逸、募る苛立ちともどかしさ。試合後、金崎は「いや〜溜めてるね〜」と苦笑いしながら、足早にスタジアムを後にした。
苦しい日々が続いていたからこそ、この一発勝負でゴールネットを揺らした意味は大きい。いつもは笑顔でゴールを祝う背番号33が鬼気迫る表情で雄叫びを上げ、ガッツポーズを繰り返した。鬱憤を「溜めて」いたことが痛いほどに伝わってきた。その苦しみを知るチームメートは、すぐに歓喜の輪を作った。
西は「力が入りすぎてたんだよ、アイツ」と報道陣の笑いを誘いつつ、エースの復活を喜んだ。そして金崎は「勝てて嬉しい」と安堵の表情を浮かべ、来るべきファイナルへ向けて気を引き締めている。
「ホームで勝って、アウェイでも勝てるようにしたい。準備の時間が何日かあるから、石井さんを中心にしっかりと対策をしていきたい。自分たちのスタイルでやるだけだし、それで勝てたら最高だと思う」
キャプテンの小笠原が重ねて強調したように、アントラーズは「まだ何も手にしていない」。決勝に進んで満足している選手など一人もいない。もちろん、金崎も同じだ。ただ、その表情からは今までの鬱積から解放されたような、“憑き物”が落ちたような雰囲気を感じ取ることができた。
「1つ決まれば、きっかけさえ掴めれば——」。スタッフもチームメートもサポーターも、金崎の復活を待っていた。それが、この上ないタイミングで訪れたのだ。勢いに乗った金崎を止められる者などいない。ファイナルを前に、こんなにも頼もしい材料はないだろう。
1stステージは15試合出場で8ゴールを挙げた金崎。エースとして君臨し、アントラーズは頂点に立った。しかし2ndステージ、出場数は同じながら、得点は2にとどまってしまう。低空飛行を続けるチームにあって、もがき苦しむ日々。指揮官に対して感情を発露してしまう一幕もあった。「勝ちたい」「点を取りたい」という渇望と、それを結実できない己の不甲斐なさ。背番号33は、長く険しい迷路の出口を探し続けていた。
12日の天皇杯4回戦。アントラーズは神戸を2-1で破り、公式戦5試合ぶりの勝利を挙げた。ようやく暗闇を脱したが、しかし金崎にとっては手放しで喜べるものではなかった。22分、ペナルティーエリア内でパスを受け、GKをかわした場面。無人のゴールに流し込むだけだったが、DFにブロックされてしまう。51分にもGKとの1対1を阻まれた。度重なる決定機逸、募る苛立ちともどかしさ。試合後、金崎は「いや〜溜めてるね〜」と苦笑いしながら、足早にスタジアムを後にした。
苦しい日々が続いていたからこそ、この一発勝負でゴールネットを揺らした意味は大きい。いつもは笑顔でゴールを祝う背番号33が鬼気迫る表情で雄叫びを上げ、ガッツポーズを繰り返した。鬱憤を「溜めて」いたことが痛いほどに伝わってきた。その苦しみを知るチームメートは、すぐに歓喜の輪を作った。


「ホームで勝って、アウェイでも勝てるようにしたい。準備の時間が何日かあるから、石井さんを中心にしっかりと対策をしていきたい。自分たちのスタイルでやるだけだし、それで勝てたら最高だと思う」


「1つ決まれば、きっかけさえ掴めれば——」。スタッフもチームメートもサポーターも、金崎の復活を待っていた。それが、この上ないタイミングで訪れたのだ。勢いに乗った金崎を止められる者などいない。ファイナルを前に、こんなにも頼もしい材料はないだろう。


「ホームで戦えることが何よりも大きい」と金崎は言う。さあ、次はカシマで。6月11日、埼玉スタジアムのゴールネットを揺らした、あの時のような弾ける笑顔を。背番号12の後押しを背に、夢を生むゴールを。必ず決めてくれるはずだ。そして、アントラーズレッドの歌声がスタジアムに響き渡るはずだ。
友達に教える