いよいよ決勝第1戦ですが、その対戦相手は年間勝ち点1位の浦和です。浦和は今シーズン、総合力がとても高く本当に安定しています。元々いいチームではあったんですが、今年はルヴァン杯というタイトルも獲って、本当にいいチームになりました。自信もあるし、安定感も抜群。隙がないチームといえます。

　ですがその反面、公式戦では3週間弱、試合間隔が空いています。アントラーズが準決勝を戦い、1週間という理想的な間隔で第1戦に臨めるのに対し、浦和にとって試合勘の調整は難しいと思います。そこにアントラーズとしてはつけいる隙が出てくるのではないでしょうか。 　またこの決勝からはホーム・アウェイの2試合で勝負が決まります。準決勝では一発勝負で引き分けだとアントラーズが敗退という条件がありましたが、決勝は2試合で戦える。それに準決勝を経験している分、アントラーズがチャンピオンシップというものはどう戦えばいいのかを知っています。そういった意味ではアントラーズにアドバンテージがあると思います。

　ただもつれた時には得失点差、アウェイゴール数という勝利条件がある中、全て同数の場合、年間1位の浦和が優勝となります。だからこそ、この第1戦では失点しないことがとても大事ですし、ゴールを奪うこと。これに尽きます。 　浦和で注意したいプレーヤーは、先ず柏木選手でしょう。前線が充実している浦和を操っているのは、間違いなく柏木選手。そこを抑えることでボールの出所を封じ込めたいところです。だからこの試合もボランチ対決ですね。浦和には柏木選手とともに阿部選手もいる。アントラーズは準決勝で見せたようにどこまで前へガッといけるか。浦和は前に重心があるので、そこでボールを取れればカウンターがかけやすくなります。そこは注目したいですね。

　前線には怖い選手がそろっています。私たちが良く知っている興梠選手は動き出しの鋭さやボールの収め方など円熟味が増してきている。能力は疑いもなく高いものがあります。興梠選手に加えて、武藤選手のようなスピードを持っている選手もいれば、李選手のようにゴール前へ飛び出してきて仕事をする選手、自分で局面を打開できる高木選手に高さのあるズラタン選手までいる。この前線を抑えるためにも中盤でボールの出所を抑え、サイドでの攻防でも関根選手、宇賀神選手、駒井選手ら個で突破してくる選手を抑えないといけない。守備面では相当な注意と集中が必要です。

　アントラーズの攻撃のポイントは、浦和が前に重心がある分、後ろのスペースをどう生かすかということでしょう。相手にも西川選手、槙野選手ら堅守の選手がいますが、後ろにあれだけスペースがあると個々の力だけでは厳しい部分があります。そこを使いたいところですね。ただ今年の浦和はボールを取られてからの守備がものすごく早い。下がるんじゃなくて、そこからプレスをかけてきてボールを奪おうとする。奪われた選手の切り替えも早く、すぐに奪い返しに来て相手の陣形になる前、自分たちの陣形を崩さずにやってきます。

　だから変にボールを回そうとせず、ボールを取ったら裏を狙って攻めることも必要でしょう。アントラーズには夢生、聖真、秀平とスピードのある選手がいるわけだから、そこにぶつけて押し上げていく。こういった戦い方ができるかどうか。今年の浦和の良さをどう攻略し、逆に利用するか。徹底してやることで勝機が見えてきます。 　

　それにこの第1戦はホームのカシマでの戦い。等々力では圧倒的に数の差があったのに、サポーターの皆さんが素晴らしい応援で選手たちを支えてくれました。あの一体感があったからこそ、夢生もゴール後、サポーターの皆さんへ向かって自然と走っていったのだと思います。選手たちだけではなく、サポーターの皆さんと勝ち取った準決勝の勝利。それを今度はホームのカシマで再現できればと思います。いや、再現できると信じています。