2008年3月30日。誰もが愛した男のリーグ初ゴール。

 Jリーグの「オリジナル10」として、横浜FMとはいつも名勝負が生まれる。互いにトップクラブの誇りと意地を賭けた対決といえるのだが、今から8年前となるこのホームゲームも熱い戦いとなった。
 互いにリーグ戦開幕2連勝で迎えたこの試合。試合前、キャプテンの小笠原は「勝った方にとっては勝ち点4の意味を持つゲーム」と称した。鹿島は大島、ロニー、ロペス、山瀬を中心とした横浜FM攻撃陣のテンポの良いパスワークに苦しめられる。なかなかボールをキープできず、何度かペナルティーエリア付近までボールを運ばれる鹿島だが、それでも横浜FMに決定的なチャンスは作らせない。
 そして、次第に小笠原を中心にゲームをコントロールし始めた鹿島はラッキーな形で先制点を得る。33分、相手のパスミスから田代が小笠原につなぐ。これを小笠原が絶妙のヒールパスで後ろへ流し、最後はマルキーニョスが豪快なミドルシュートで今季公式戦5試合連続となるゴール。リーグ得点王レースでも単独首位を走るマルキーニョスの活躍で鹿島は1点リードして、前半を終えた。
 後半、リードしながらも鹿島は横浜FMの攻撃にさらされる。「1点取っても、簡単に取り返されることもある。それがサッカーのリズム」と小笠原が試合後振り返ったように、67分、小宮山のミドルシュートであっさりと同点ゴールを決められる。なおも74分、山瀬(功)にミドルシュートを放たれるが、これはクロスバーに直撃。鹿島は事なきを得た。

   逆にマルキーニョスへのファウルでPKを得るもキッカーの小笠原が足をすべらせ、ドローという結果が脳裏を一瞬よぎる。だが、鹿島にはこの男がいた。元サンパウロFCの10番。独特のリズムと高い技術を持ち、その飄々とした風貌で来日2年目ながらファン・サポーターに「おじさん」と呼ばれ、愛されたダニーロだ。そのダニーロがチームを救った。85分、マルキーニョスからのボールを受けた新井場が鋭いグラウンダークロスをゴール前に送る。これは相手DFにクリアされるもそのこぼれ球をダニーロが素早く蹴りこみ、待望の決勝ゴール。そしてこれがダニーロにとっては2年目にしてJ初ゴールとなった。
 鹿島はその後も落ち着いてボールをキープし、しぶとく食い下がる横浜FMを振り切った。苦しい展開ながら、鹿島はリーグでの連勝記録を歴代3位となる12、カシマスタジアムでの公式戦連勝記録を13とし、単独首位。そして何よりも、"ダニーロおじさん"の満面の笑みにカシマはほほえみに包まれた。懐かしい8年前のワンシーンだ。
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