新潟戦の注目プレーヤーは、土居聖真!

「決めきれる選手にならないと」

 前々節のホーム柏戦、前半終了間際に柏エリア内で倒され、"幻のPK"を得た土居は試合後、言葉を振り絞るようにそういった。誰もがPKだと思い、選手たちもレフェリーに詰め寄ったが、もちろん判定は覆らない。そしてその動揺を抱えたまま、その直後に失点。結局、リズムに乗れないまま、チームは0-2の完敗を喫した。「自分が点を取って、チームを勝利に導く」。その思いが誰よりも強い、土居にとって直接的なミスでないにしても自分のプレーが間接的な原因となって生まれた失点、そして敗北は誰よりも悔しさを募らせるものだった。
 昨シーズン、怪我で長期離脱し、復活を期した2016年。誰よりも熱心に自主トレを行っていた土居だが、宮崎キャンプで再度負傷し、思い描いていたようなリスタートは切れなかった。「全治不明」。キャンプ中、自虐的にそういいながら、「太っちゃったから、減量しないとね」と食事も満足に摂らない土居の姿に言い表しようのない悲壮感を見た。「アイツは、もっと強くならないといけない。才能はピカイチなのに、自分に自信を持っていない。がむしゃらになれ」。キャプテンの小笠原は繊細な土居にそう叱咤激励する。強くならねばならない。本人もそう思っているが、優しい心の持ち主だけになかなか脱皮できない。
 だが、その優しさも間違いなく土居の魅力だ。練習後、出待ちしているファン・サポーター1人1人に丁寧に接する姿、そしてどんなに落ち込んでいても、スタッフのリクエストには必ず応えてくれる。またチームメートも、そんな土居を温かく包み込む。「ジュニアユースからお世話になっているけど、僕はアントラーズに来て本当に良かった」。小学校を卒業し故郷山形を離れ、すでに10年を超える。「もう身も心も茨城県民です」と笑う土居は、誰よりもこのホームタウン、そしてアントラーズというクラブを愛している。

 だからこそ、土居にはゴールを決め続けて欲しい。チームを勝利に導き続けて欲しい。広島戦、湘南戦と2試合連続ゴールを決め、復活の狼煙を上げたかに見えた背番号8。ここ2試合は停滞してしまったが、また爆発してくれるはずだ。

 「8番を背負う意味。このクラブで育った人間だからこそ、分かっているつもり。オレがこのクラブを背負うつもりでやってやる」。王座復権のために、この男の活躍は欠かせない。
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