柏戦の注目プレーヤーは、昌子源!

「反省している。軽率だった」

 2万人に迫る観衆が集い、ホーム来場通算700万人も達成した上、昨季のチャンピオンである広島に4-1と完勝した先のホームゲームで、昌子源は1人反省していた。38分、相手の得点源であるウタカに対し、自らが最後の1枚だったにもかかわらず前から奪いに行き、あっさりとかわされ、この試合唯一の失点を献上した。4ゴールを挙げた攻撃陣、そしてスタジアムの雰囲気、誰もが手放しで賞賛する中、この背番号3のプレーにだけは「軽すぎる」と批判が飛んだ。
 だが、昌子源という男は、そんなことでめげたりはしない。「あれは本当に軽率だった。もう2度とやらない」。そういったきり、あのシーンについては深く語らない。普段は周りに飽きられるほど饒舌な男だが、自分のミスに対しては決して言い訳しない。受け入れ、そして前を向く。それが昌子源だ。
 「源は、本当に良くなった。周りも見えるようになったし、相手選手との間合いもうまく取れるようになった。そして何より一対一に恐れを抱かず、勇気を持ってプレーしている」。背番号3を背負い、かつて"闘将"と呼ばれた秋田豊は昌子をそう評価する。以前は、「オレはまだお前が3番であることを認めない」と冗談混じりでいっていたレジェンドだが、現在は「植田と源のコンビは、わくわくさせるものがある。荒削りなところもあるが、これからも成長していける2人だ」と高く評価する。ただ、苦言を呈することもある。「源は、調子に乗りすぎることがある。それはセンターバックとして、やってはいけないこと」。前述のウタカに対するプレーはまさしくこの秋田の苦言に合致している。

 しかしその次の試合、アウェイ湘南戦で昌子はまた新たな成長を見せた。広島戦同様、いいところを見せようと空回りするかと思いきや、昌子は冷静に湘南の攻撃陣と対峙するとともに、パートナーである植田をうまくサポートし、3-0の完勝に大きく貢献した。「(熊本地震が発生して)故郷が大変なことになっているナオは本当に苦しい思いをして、ピッチに立った。オレは、相方として支えてやるだけ」。その言葉通り、昌子は苦しい状況の中、ひたむきにプレーする植田を90分間支え続けた。時には体を張り、時にはいつも以上に走り回り、最終ラインでともに戦った。昌子は年下の植田を"相方"と呼び、全幅の信頼を置いている。その姿はただ、ただ美しい。

 「代表で麻也くんや槙野くんにも色々と勉強させてもらった。学んだことをどう、アントラーズで生かすか。代表には呼ばれているけど、まだ試合に出ていないオレにできることはそれぐらい」。ここ最近、コンスタントに代表へ招集される昌子だが、本人の言葉通り、まだ先発で出場するチャンスを得られていない。だが本人は、ここでも「あの場にいる経験をチームへ生かしていきたい」とポジティブだ。

 「先ずはアントラーズで優勝すること。オレはこのみんなとタイトルを獲りたい。そして満男さんのように、『アントラーズといえば、昌子』といわれる存在になりたい。そう成長していけば、いつかは代表でも中心になっていると思う。アントラーズでの勝利のため、努力することが自分の将来を作っていく」。背番号3はまだ少し重いかもしれない。しかし、その重みこそが昌子源を成長させる原動力であることは間違いない。昌子源の挑戦は、まだまだ続く。
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