FC東京戦の注目プレーヤーは、柴崎岳!

「変わらないよ。何も。オレはオレ」

 本山雅志という偉大な存在がアントラーズを去り、新たな背番号10を背負うことになった。「このクラブでの10番は特別なものであるから、自然と身が引き締まる」と深い敬意を表しながらも、柴崎岳は「ただ、自分は変わらずに追い求めるものがある」という。
 昨シーズンオフ、柴崎は連日のようにクラブハウスで自主トレを行った。周囲では、噂された海外移籍への準備ととらえるものも多かったが、本人は「2ステージ制になって早くシーズンが終わってしまったし、年明けの始動も早いから体を動かしたかった」という。「自分だけで物事を決められないのが、この世界。常に求められているところで、自分の力を出すことが義務」。柴崎岳は、自分を取り巻く世界を客観的に語る。
 年齢に似合わない冷静な態度、そつのないプレー。まだまだがむしゃらでいい歳ではあるが、柴崎のイメージは加入した頃から全く変わらない。「本人としては結構熱くなっているつもりだけど、周りからはなかなかそう見られない(笑)。仕方ないよね、こういう顔なんだから」と笑う。中盤でコンビを組む小笠原は、「岳にはもっとわがままになれっていいたいね」と常々いう。

 「満男さんはそういうけど、オレは結構そうやっているつもりだよ。ただ、『攻撃したい』という欲求だけで動くんじゃなく、『勝つ』ということを見据えてプレーしたい。チームを勝たせる選手になる。それがいつも追い求めている姿」

そんな柴崎だが、自主トレの効果もあってか、宮崎キャンプでは順調すぎるほどの調整ぶりを見せた。「いい感じで、気持ちいいね。寒いけど(笑)」と思わぬ寒さにさらされたキャンプ中も、絶え間ない笑顔を見せた。「ご飯もおいしいし、ホテルもリラックスできるし、サッカーに集中できる最高の環境だよ」と語る柴崎を見ながら、周囲は"新10番"の活躍への期待を高めていった。
 だが、好事魔多し。キャンプから戻ってきて体調不良を訴えた柴崎に下された診断は、急性虫垂炎だった。開幕まで1ヵ月を切る中、柴崎は手術という選択肢を選んだ。術後は驚異的な回復を見せ、リーグ開幕戦となるアウェイG大阪戦の先発にも名を連ねた。チームの大黒柱としてここまで3試合連続フル出場を果たしている。1ヵ月前に病院のベットにいたとは思えない回復ぶりだ。

 ただ、開幕直前のブランクはやはり影響が大きかった。ここまで柴崎が本当に輝いた試合は、ない。来週、埼スタで行われるW杯予選を戦う日本代表のメンバーからも外れてしまった。「呼ばれる、呼ばれないはこっちで決められることじゃない」と常日頃からいう柴崎だが、胸の奥のは悔しさがあることだろう。決して、人には見せないが、その端正な顔立ちの奥に隠れた情熱を私たちは知っている。新しい10番が光り輝く時。カシマは大きな歓喜に包まれることだろう。
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