2015年7月25日。カシマが燃えた、熱い夏の夜。
まだ「The Classic」といえるほど時が経ったわけではない。だが、現在のアントラーズにとって大きなターニングポイントになったホームFC東京戦がある。それは昨シーズンの2ndステージ第4節、7月25日のゲームだ。
この試合の4日前、不振を極めたチーム成績の責任を取る形でトニーニョ セレーゾ監督がアントラーズを去った。第1次政権ではJリーグ史上初の国内3冠(リーグ、天皇杯、ヤマザキナビスコカップ)を達成したレジェンドがこのような形でクラブを去る。柴崎、土居、昌子ら若手を鍛え上げた名将にとっても忸怩たる思いがあったことだろう。
「セレーゾの積み重ねてきたことは決して無駄にはしない」。ヘッドコーチから昇格し、後任となった石井は就任後、そう固く誓っていた。クラブ初となる日本人OBとしての監督就任。石井にとってもこの急な展開は大きなプレッシャーとなったことだろう。
そして選手たちにとってもセレーゾ監督の解任は大きなショックとなった。キャプテンの小笠原は、「(成績低迷は)監督だけの責任じゃない。ここでやらなければ、男じゃない」と一層の奮起を誓った。2015年7月25日の夜。カシマスタジアムは異様な熱気に包まれていた。
夏の厳しい暑さもあったが、その熱気はゴール裏を埋め尽くしたサポーターによって作られたものだった。レジェンドを解任するというクラブの覚悟を受け、サポーターは石井新監督、そして選手たちを力強く後押ししてくれた。「石井を漢にさせようぜ」、「石井アントラーズ 全力で支える」、「石井監督は覚悟を決めた あとは俺達だけだ」、そして「恐れず戦え」。試合前のウォーミングアップで掲げられた多くの横断幕が石井、そして選手たちに大きな力を与えてくれた。
この力を受け、選手たちは立ち上がりから積極的な動きを見せる。陣形をコンパクトに保ち、出足の早いプレスでセカンドボールを確保。攻守の切り替えも素早く、球際での競り合いでも激しいボディコンタクトを厭わずに戦った。
そして30分、最初の歓喜がカシマに訪れる。柴崎の縦パスから中村が迎えたシュートチャンスは相手のブロックに遭ったものの、左サイドからバイタルエリアの柴崎に再びパスが通る。次の瞬間、背番号20が右足を振り抜くと、相手DFに当たってコースが変わったボールが、ゴールへと吸い込まれていった。
後半に入り、70分、ロングボールの競り合いから一瞬の隙を突かれ、ネイサン バーンズに同点弾を決められる。さらにFC東京に攻め込まれるが、ここを11人全員で耐え忍び、追加点を与えず次第にペースを取り戻した。そして81分、右CKからキッカーの柴崎が蹴り込んだボールに昌子が反応し、打点の高いヘディングシュートをゴール左隅へ決める。熱い背番号3が値千金の決勝ゴールを決め、チームに勝ち点3をもたらした。
残りは10分ちょっと。「常勝」の頃を思い出させるような粘り強い守備、そして冷静に時間を使う試合巧者ぶりを発揮し、アントラーズは2-1と石井の初陣を白星で飾った。
この試合の4日前、不振を極めたチーム成績の責任を取る形でトニーニョ セレーゾ監督がアントラーズを去った。第1次政権ではJリーグ史上初の国内3冠(リーグ、天皇杯、ヤマザキナビスコカップ)を達成したレジェンドがこのような形でクラブを去る。柴崎、土居、昌子ら若手を鍛え上げた名将にとっても忸怩たる思いがあったことだろう。


そして選手たちにとってもセレーゾ監督の解任は大きなショックとなった。キャプテンの小笠原は、「(成績低迷は)監督だけの責任じゃない。ここでやらなければ、男じゃない」と一層の奮起を誓った。2015年7月25日の夜。カシマスタジアムは異様な熱気に包まれていた。


この力を受け、選手たちは立ち上がりから積極的な動きを見せる。陣形をコンパクトに保ち、出足の早いプレスでセカンドボールを確保。攻守の切り替えも素早く、球際での競り合いでも激しいボディコンタクトを厭わずに戦った。


後半に入り、70分、ロングボールの競り合いから一瞬の隙を突かれ、ネイサン バーンズに同点弾を決められる。さらにFC東京に攻め込まれるが、ここを11人全員で耐え忍び、追加点を与えず次第にペースを取り戻した。そして81分、右CKからキッカーの柴崎が蹴り込んだボールに昌子が反応し、打点の高いヘディングシュートをゴール左隅へ決める。熱い背番号3が値千金の決勝ゴールを決め、チームに勝ち点3をもたらした。
残りは10分ちょっと。「常勝」の頃を思い出させるような粘り強い守備、そして冷静に時間を使う試合巧者ぶりを発揮し、アントラーズは2-1と石井の初陣を白星で飾った。


「これで終わりじゃない。継続しないと意味がない」。試合後、選手たちは口をそろえて語った。そしてあの夏の夜から新生アントラーズの挑戦は続いている。この夜のような熱い戦いを見せることもあれば、力を出せずに悔しい思いをしたこともある。前節のアウェイ仙台戦はそんな悔しい思いを積み重ねたゲームだった。このホームで、再び歩み出す。大きな大きな夢へ向かって。
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