今日の注目プレーヤーは、金崎夢生！

　突然の叫び声に、報道陣は一斉に振り返った。埼玉スタジアムのミックスゾーン。試合を終えた選手たちが取材を受けるエリアで、金崎夢生は突然、「あー！」と大声を上げ、悔しさをあらわにした。

　5月23日、アントラーズは浦和とアウェイで対戦し、1-2と逆転負けを喫した。負傷離脱していた金崎は、67分に途中出場。実戦復帰を果たし、その直後に先制点が決まったのだが、待っていたのは屈辱の結果だった。その不甲斐なさを、金崎は隠すことなく発露した。決して褒められた形ではないかもしれない。しかし、それだけ強い思いを懸けていたことが、痛いほど感じられるワンシーンだった。 　あれから4か月。金崎は今、アントラーズの攻撃の軸として欠かせない存在だ。最近出場した5試合で4ゴール。リーグ川崎F戦やヤマザキナビスコカップ準々決勝のホームFC東京戦、そして前節の甲府戦と、刻んだスコアは全て勝利へとつながっている。石井監督も「前線でボールを収めることもできるし、サイドに流れて突破することもできる」と、全幅の信頼を寄せている。

　そんな金崎、ロッカールームでは、誰とでも分け隔てなく、明るく接するムードメーカー。負傷明けの選手がキレのある動きを見せると「サボってたからや！」と容赦なくツッコミを入れたり、後輩の服装をイジったりと、その周囲には笑いが絶えない。それでいて、練習前にはゴムチューブを使った自主トレーニングを欠かさず、練習後にもすぐに食事をとってコンディション管理に努めるなど、真のプロフェッショナルとして鍛錬を重ねている。そのギャップもまた、背番号33の魅力だ。 　相変わらず、取材では多くを語りたがらない。自身が決勝点を挙げた試合後であっても「俺に聞く話なんてないでしょ！」と、笑っている。それでも、前節の甲府戦後は「チームとして、ちょっと“おっかなびっくり”になってしまっていた感じ。G大阪戦の良くない流れのまま、試合に入ってしまったかな」と、反省の弁を口にした。「良い内容とは言えないけど、勝てて良かったよね」と、安堵の表情を見せたが、その直後に「皆さん、俺に聞かなくてもわかってるでしょ？」と付け加えるあたり、実に金崎らしい受け答えだった。

試合前コメント

試合に臨む選手たちの意気込みは「試合前コメント」をご覧ください！