今日の注目プレーヤーは、青木剛!

「自分に出番があるとすれば、後ろの選手のアクシデントだと思っていましたから。だから、慌てることはなかったですね」

 青木剛は、事もなげに言った。9月2日、味の素スタジアムの夜。昌子を襲ったアクシデントが、その始まりだった。ヤマザキナビスコカップ 準々決勝 第1戦のFC東京戦、前半20分。背番号3がセンターサークル内で倒れ込み、ピッチを後にした。
 代わって送り出されたのが、背番号5。前回の試合出場は、7月25日のJ1 2nd 第4節のFC東京戦までさかのぼる。この時のプレータイムは、わずか1分。まとまった時間の出場からは、1か月半もの間、遠ざかっていた。

「常に自分が戦える状態にいることが重要。常にそういう準備をするということを、自分は大事にしています」

 急遽、ピッチに立った青木は、70分間の出場で堅実なプレーを披露。終盤に追いつかれて引き分けに終わったとはいえ、安定したパフォーマンスでチームを落ち着かせた。以降、6日の準々決勝 第2戦、そして9日のFC琉球戦と2試合連続のフル出場。連勝に貢献している。
「久しぶりに先発出場するということになった時に、自分のコンディションに対する不安感は少なからずありました。でも、いざ試合に出てみると、90分間戦える状態にあると実感できたんです」

 青木は、そう振り返る。アントラーズ一筋15年目、今月28日に33歳を迎えるベテランにとっても、1か月半ぶりの先発出場から、いきなり中2日での試合が続く状況は容易なものではない。それでもしっかりと勝利に貢献できるのは、「常に準備をしている」真のプロフェッショナルだからこそ。「石井さんや剛さんが考えたメニューを、普段しっかりとやっていれば、それが試合に反映されて、コンディションの良い中でプレーできるということ」と、コーチングスタッフへの信頼を語っていたが、チームにとって、これ以上頼もしい存在はいない。
 さて、今夜の大一番は、5連戦のラストゲームだ。青木にとっては、味スタの夜から11日間で4試合目。ヤマザキナビスコカップと天皇杯を順調に勝ち進み、ここまでは理想的な展開となっている。「チームが良い流れだったので、そこにうまく乗せてもらったというか、誰が出ても良い結果につながっていったと思いますよ」と、いつものように謙虚なコメントを残した青木だが、的確なカバーリングと力強いエアバトルを繰り返す背番号5の奮闘なくして、この結果はあり得なかった。

「力を出し切って、連戦を終えたい。目的意識ははっきりとしているので、しっかりと戦いたい」

 試合前日、そう力強く言って、青木はクラブハウスを後にした。派手さはなくとも、堅実に任務を遂行する守備職人。いぶし銀の輝きで、今夜もアントラーズを支えてくれる。そしてその先に、強敵相手の勝利が待っている。

試合前コメント

試合に臨む選手たちの意気込みは「試合前コメント」をご覧ください!
友達に教える