今日の注目プレーヤーは、豊川雄太！

「正直、悩んでいる部分はある。今はいろいろと難しい時期かなと思う。この壁を越えることができれば、また一歩成長できるだろうから、今は地道にやっていくしかない」

　いつも笑顔を絶やさないムードメーカーが、言葉を選びながら胸の内を明かした。加入3年目の今季、豊川雄太はもがき苦しみ続けている。リーグ戦ではここまで、3試合・65分のみの出場。セレーゾ前監督のラストゲームとなった7月19日の松本戦で途中出場してから、その姿はピッチから消えた。石井監督の就任後はベンチにも入れず、「試合に出られない今だからこそ、できることもあると思う」と、トレーニングに打ち込んだ。

　2ndステージ開幕を控えた7月、豊川は心機一転の奮起を誓っていた。不甲斐なき1stステージを経て、「リセットというわけじゃないけど、個人的にはここから。とにかくガムシャラにプレーする」と、吹っ切れた表情で語っていた。中田C.R.Oの助言も得て、自身の特長であるフリーランを全面に押し出し、ピッチを駆け回ることに注力する――。そう、決めていた。

　しかし、2ndステージ開幕後3試合で、監督交代という大きな出来事が起きた。求められるタスクに変化が生じると、再びトンネルに迷い込むこととなった。「『うまくいかないな』と思いながら、いろいろな人からアドバイスをもらいながらプレーしている。自分がレベルアップしないといけない」。アントラーズきってのムードメーカーは、己の不甲斐なさと向き合っていた。石井監督の就任後、試合前日の恒例となったレクリエーションゲームでは、人一倍大きな声でチームを盛り立てている。だが、底なしの明るさの裏側には、苦悩があった。

　FC琉球を迎え撃つ今夜を前に、石井監督はメンバー変更を明言している。豊川にも、チャンスが到来しそうだ。偶然にも今日、9月9日は21回目のバースデー。「誕生日の試合は初めてですね。結果を出せればいい。結果を出すことが、自分にとって一番嬉しいこと」と、豊川は静かに語った。「チャンスがあると思うから、何かしらの結果を…ゴールやアシストという結果を残したい」。そう言って、前を向いた。

「ここで結果を出せば、これから変わってくると思う。頑張ります。力みすぎずにね」

　クラブハウスを後にする前、自分に言い聞かせるようにつぶやいた背番号19。「結果」という言葉を繰り返したのは、今夜の一戦に懸ける思いの強さ、その証左に他ならない。

　豊川雄太、21歳。鬱積した思いを、プレーへの飢えを、思う存分、解き放て。

試合前コメント

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