2008年、J1第16節。霧中のゴールショー。

 霧が立ち込めたカシマスタジアムで、圧巻のゴールショーが繰り広げられた。2008年7月13日、J1第16節。リーグ連覇へ向け、15試合を終えた時点で2位につけていたアントラーズが、ナイトゲームでFC東京を迎え撃った。

 キックオフ前のピッチでは、新加入のマルシーニョがお披露目され、サポーターに挨拶。そしてバーゼルから帰ってきた中田が、復帰後初めてベンチ入りした。新戦力への期待感に満ちあふれる中、試合が始まった。
 拮抗した展開、スコアレスに終わった45分を経て、迎えた後半。アントラーズは58分、カボレにゴールを決められ、先制を許してしまう。ここで、オズワルド オリヴェイラ監督が動いた。失点の3分後、興梠とダニーロを同時投入。攻撃陣を活性化すると、痛快な逆転劇が始まった。
 まずは62分、ピッチに立って間もない2人が、いきなり仕事をしてみせる。ダニーロがドリブルで切り込み、ペナルティーエリア内へ縦パスを送ると、興梠が相手を背負いながらポストプレー。次の刹那、足裏で自分の背後へとボールを転がす。走り込んでいたのはマルキーニョスだった。地を這う右足シュートがゴールネットを揺らし、アントラーズが同点に追いついた。
 上空には霧が立ち込め、中継画面からはピッチ上の様子を識別しにくくなるほど、色濃いものになっていた。カシマスタジアムならではの、独特な雰囲気に包まれる中、試合はラスト15分へ突入した。

 待望の逆転ゴールは77分、背番号10が記録した。マルキーニョスがペナルティーエリア右角へとドリブルで突き進むと、対角線上のラストパス。ファーサイドの本山がスライディングシュートを決め、ついにスコアは2-1に。そしてその直後には、殊勲の本山に代わって、背番号6がピッチへ。中田が約3年半ぶりに、カシマスタジアムのピッチを踏んだ。
 頼もしきボランチの帰還で、スタジアムのボルテージは最高潮に。アントラーズレッドで染まったスタンドの熱気が、霧中のFC東京を飲み込んでいく。86分に興梠が豪快な右足シュートで3点目を決めると、89分にはダニーロがヘディングシュートを突き刺し、4-1。この勝利でアントラーズは首位に返り咲き、ホームでの無敗記録を24に伸ばした。

 あれから7年。置かれた状況は違えど、求めるものは変わらない。カシマスタジアムで、勝利を。あの夜のように、力強く。

スタッフダイアリー

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