2007年、J1最終節。悲願の10冠達成。
怒涛の8連勝で、逆転優勝を視界に捉えたアントラーズ。浦和との天王山を制した後、オズワルド オリヴェイラ監督は「埼玉では3000人の背番号12が力をくれた カシマでは30000人の背番号12が待っている」と、呼びかけた。その言葉通り、2007年12月1日のカシマスタジアムには、3万人を超える観衆が詰めかけた。試合前から「奇跡を起こせ」という歌声が響き渡る聖地。舞台は、整った。
清水エスパルスを迎え撃つ、リーグ最終戦。選手とスタッフ、そしてサポーターも、目の前の試合に集中した。勝ち点差1に肉薄していた首位の浦和は、同時刻キックオフで横浜FCと戦っている。その経過を耳に入れず、ただひたすらに、勝利を目指して邁進した。
独特の雰囲気だった立ち上がりは、清水の勢いに押される時間もあった。それでもしっかりと持ちこたえたアントラーズは、20分に小笠原がPKを決め、先制。待望のゴールで重圧から解き放たれた選手たちは、エンドが替わった後半、力強く勝利を手繰り寄せてみせる。
開始早々の48分、追加点を決めたのは、本山だった。CKのこぼれ球に反応し、ペナルティーエリアの外から右足を振り抜く。強烈なシュートは、密集する相手DFの間隙を縫うかのように変化し、ゴール左隅へと突き刺さった。このシーズン、リーグ戦全試合に先発出場した本山。日々の献身を見ていたフットボールの神が、最後の最後に背番号10へスポットライトを当てることを望んだかのような、そんな絶妙な軌道を描く一撃だった。さらに58分には、カウンターからマルキーニョスがゴールネットを揺らした。3-0。アントラーズが、9連勝を確実なものとした。
試合終了を告げるホイッスルが鳴った直後、スタジアムは異様な雰囲気に包まれた。両手を広げてピッチへと飛び出すオリヴェイラ監督。何が起きたのか。願っていた結末が、本当に訪れたのか。次の瞬間、大型ビジョンに映し出された「横浜FC 1-0浦和」との表示。一瞬、頭の中が真っ白になった。そして状況を理解すると、悲鳴にも似た歓声と、喜びの涙があふれた。内田篤人が、岩政が、人目もはばからずに泣いていた。歓喜が爆発し、カシマスタジアムが祝祭空間と化した。誰もが待ち望んだ10個目のタイトルだ。




開始早々の48分、追加点を決めたのは、本山だった。CKのこぼれ球に反応し、ペナルティーエリアの外から右足を振り抜く。強烈なシュートは、密集する相手DFの間隙を縫うかのように変化し、ゴール左隅へと突き刺さった。このシーズン、リーグ戦全試合に先発出場した本山。日々の献身を見ていたフットボールの神が、最後の最後に背番号10へスポットライトを当てることを望んだかのような、そんな絶妙な軌道を描く一撃だった。さらに58分には、カウンターからマルキーニョスがゴールネットを揺らした。3-0。アントラーズが、9連勝を確実なものとした。




あれから7年半が経った今、ユニフォームに刻まれた星は16。ここ2シーズン、アントラーズはタイトルから遠ざかっている。歓喜の記憶を次なるタイトルへの渇望へと変え、今日もまた、戦いに臨む。
スタッフダイアリー
過去の記憶や勝利への意欲、様々な思いを持って日々練習に励む選手の様子は、毎日更新の「スタッフダイアリー」をご覧ください!友達に教える