今日の注目プレーヤーは、小笠原満男!

 「アントラーズとして、獲っていないタイトル。是が非でも、獲らなければいけな い」

 小笠原満男は、タイトルへの渇望を隠さない。J1優勝6回、ヤマザキナビスコカップ4回、天皇杯3回。FIFAワールドカップ2回出場。アントラーズの全てを知る男、栄光に彩られたそのキャリアに、未だなお並べられていないのが、ACLのトロフィーだ。
 3月18日、広州の夜。右膝を痛めた小笠原は、顔をしかめてピッチを後にした。“復帰まで、約4週間”。開幕から未勝利の日々が続いたアントラーズにあって、大黒柱の離脱は大きな打撃だった。「すぐ治すから、ケガの発表なんてしなくていいのに」と、不満そうな顔で漏らしていた背番号40は、4月21日、嵐のシドニーで、戦いの場へと帰還。膠着状態にあった試合、アントラーズに落ち着きとリズムをもたらしたのは、紛れもなくこの男だった。そしてチームは終了間際、金崎の逆転弾で、勝ち点3へとたどり着いた。

 アントラーズは今大会、最悪のスタートを切りながら、神がかり的な展開で、グループステージ突破に王手をかけた。小笠原は「開幕3連敗したのに、自力突破の可能性があるなんて…。普通ならあり得ないよね」と、吐き捨てている。自分たちの不甲斐なさを胸に刻むとともに、このチャンスを絶対に逃さないという強い決意が、その言葉から滲み出ていた。苦しみの末に舞い戻った、決勝トーナメントへの道。もう、足を踏み外すわけにはいかない。
 今夜の相手はFCソウル。6年前のラウンド16で、小笠原は2枚目のイエローカードとともに、試合半ばにしてピッチから去った。アントラーズはリードを守れず、PK戦で敗北。倒れ込むチームメートの姿をピッチの外から見届けた小笠原は、4日後のリーグ大分戦で鬼神の如き気迫を見せ、強烈なボレーシュートを突き刺した。笑顔なき同点弾が、懸けていたアジアへの思いを、痛いほど強く示していた。

 6年経った今、その時の記憶を語ろうとはしない。前日練習を終えた小笠原は、静かにスタジアムを後にした。「飯の時間だから帰るよ」と、いつも通り、穏やかに笑って。

 胸に秘めた闘志と決意は、ピッチ上で示してくれる。小笠原が誰よりも熱く、激しく闘うことは、アントラーズファミリー全員が知っている。背番号40とともに、アントラーズは今夜、次のステージへと足を踏み入れる。

試合前コメント

試合に臨む選手たちの意気込みは「試合前コメント」をご覧ください!
友達に教える
  • TOP
  • Today's Preview
  • Today's Infographics
  • Today's Player
  • The Classic
  • North Stand
  • Players Profile