アディショナルタイムのシーソーゲーム~2013年J1第31節~
たった一瞬で、明暗がわかれる。たった1つのプレーで、両者の立場は天と地ほどに変わる。それがサッカーの恐ろしさであり、面白さだ。
2013年11月10日、J1第31節。残り4試合で、首位の横浜FMと勝ち点差6の4位につけていたアントラーズは、逆転優勝の望みを繋ぐべく、平塚に乗り込んだ。対するは、16位に沈んでいた湘南ベルマーレ。J1残留圏内との勝ち点差は6で、追う立場にあることはアントラーズと同じだった。
90分のスコアボードには「0-1」と表示されていた。アントラーズは前半途中で数的優位に立ち、小笠原の直接FKで先制に成功。後半は1人少ない湘南に押し込まれて不甲斐ない内容に終始したが、それでもリードを保ったまま、後半終了間際まで時計の針を進めていた。
しかし、90+1分。左サイドから湘南がスローインを入れ、ゴール前へとボールが転々とする。次の瞬間、湘南の遠藤航のボレーシュートが、アントラーズのゴールネットを揺らした。
「1-1」となった平塚。黄緑の歓喜がスタジアムを包み、アントラーズは絶望の淵に立たされた。横浜FMと浦和、広島を追いかける中、ここで引き分けることは優勝争いからの脱落を意味する。春から目指し続けてきたものへの扉が、ここで閉ざされる――。
それから40秒足らず、アントラーズは再び光を見出した。キックオフ直後、中継のカメラも間に合わないほどの速攻を仕掛けると、背番号9がゴールを射止める。90+2分、大迫勇也。起死回生の決勝弾。崖っぷちの状況にはふさわしくないほどの冷静さで振り抜かれた右足によって、アントラーズはスコアを「1-2」とした。勝ち点3を積み上げて逆転優勝への望みを繋いだ。まさに、絶望からの生還だった。


90分のスコアボードには「0-1」と表示されていた。アントラーズは前半途中で数的優位に立ち、小笠原の直接FKで先制に成功。後半は1人少ない湘南に押し込まれて不甲斐ない内容に終始したが、それでもリードを保ったまま、後半終了間際まで時計の針を進めていた。


「1-1」となった平塚。黄緑の歓喜がスタジアムを包み、アントラーズは絶望の淵に立たされた。横浜FMと浦和、広島を追いかける中、ここで引き分けることは優勝争いからの脱落を意味する。春から目指し続けてきたものへの扉が、ここで閉ざされる――。




今のアントラーズもまた、難しい状況に置かれている。チャンスを紙一重のところで逃し続け、結果が伴っていない。しかし、1つのプレーが、一瞬の煌めきが、この閉塞感と停滞感の全てを吹き飛ばしてくれるかもしれない。あの日のように、チームを救う選手がきっと出てくるはずだ。その瞬間を、楽しみに待ちたい。
スタッフダイアリー
過去の記憶や勝利への意欲、様々な思いを持って日々練習に励む選手の様子は、毎日更新の「スタッフダイアリー」をご覧ください!友達に教える