PREVIEW

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 直近の徳島戦は相馬監督の就任からわずか3日後だった。この短い準備期間で出来ることは限られている。相馬監督はこう語る。

「守備時の整理が必要だと感じていた。どこでボールを奪いに行くかの統一ができておらず、迷いがあった。その部分がこの短い期間で最初に手を付けていかなければいけない部分だった。今回の試合では守備に重点を置いて修正してきた」

 守備の修正は吉と出た。前線から無理にプレスをかけず、一度帰陣してから徳島のビルドアップに合わせ、能動的にボールを奪いに行く形に変更した。準備期間が限られていため、連動性に綻びが生じ、プレスを剝がされてボールの前進を許す場面も少なくなかったが、選手全員の高いカバーリングの意識で見事に穴を塞いでみせた。そして、効果的な守備を行えたことで、ボールを奪ってから前向きに攻撃できる場面が増えていった。

 結果は1-0。好調徳島の組織的なプレーに苦しみながらも、セットプレーから町田が決めたゴールを守り切り、アウェイで価値ある勝ち点3を掴み取った。

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 試合後、相馬監督は「ボールを握られる時間も長かったし、うまくいかない場面もあった」と厳しい現実を受け止めた。ただ、「逃げずにプレスをかけ続けたり、ミスした選手のカバーを別の選手がしたりと、助け合いながらプレーをしてくれた。攻撃面でも人数をかけて攻撃ができていた。それがセットプレーからの得点につながった」と、良い守備からの攻撃に手応えを感じている様子だった。そして、「短い準備期間で好調の徳島相手に期待以上のプレーをしてくれた。選手たちに感謝したい。試合開始から終了までエネルギッシュに集中して素晴らしい戦いをしてくれた」と、限られた準備期間で最善の準備を尽くしてくれた選手たちを讃えていた。

 しかし、指揮官の表情に笑みはない。初陣の勝利にも、「まだまだこの先、試合数が多く残っている。決して何かを起こせないわけではない。ここからのスタート」と語り、チームを引き締めた。そして、「現実を見て、目の前のゲームを1試合ずつ勝っていけるように全力を出し切っていく。何もせずに終わってしまうということだけはないようにしていきたい」と決意に満ちた表情で語っていた。

 徳島戦を皮切りに連戦が続く。週2試合のペースで5月末まで12連戦だ。出来ることをやり続けるしかない。目の前の試合だけに集中し、試合から試合へ、1勝ずつ積み重ねていくことが求められる。相馬監督も「ほっとしている場合ではない。次に向けて、100%、120%で戦えるように、ファイティングポーズをとって戦えるように、しっかり準備していきたい」とすぐに次の札幌戦へと意識を切り替え、「まだ連戦の中で、たくさんのことはできない。ただ、まずは戦う部分をベースとする。今日は勝利という形で一つ歯車を回すことができたので、あとはここからどう肉づけしていくか。軸の部分だけはブラさずにやっていく」と言葉に力を込めていた。

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 さあ、次はYBCルヴァンカップの札幌戦だ。ここまでアントラーズと札幌はともに2連勝で勝ち点6を獲得し、グループA首位で並んでいる。勝てばグループステージ突破に大きく近づく一戦だ。

 求められるのは勝利のみ。平日のナイトゲームではあるが、アントラーズファミリー全員でともに戦い、必ず勝ち点3を掴み取ろう。

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