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 加入1年目となった昨季は、周囲の期待を遥かに超える活躍をみせた。高卒1年目にしてプロレベルへ適応し、プレシーズンから頭角を現すと、リーグ開幕戦で早くも出場機会を得る。そしてチーム全体の調子が上向くと、得点に絡むプレーも増え、試合を重ねるごとに逞しさが増していった。

 本人も成長の実感があったようだ。「試合を重ねていくなかでどんどん自信がついた」と語り、「少しずつ余裕を持てるようになり、周囲が見えているようになったし、周りの選手を使うプレーを増やせるようになってきた。精神的な余裕を持てたことで、プレーの選択肢が増え、選手としての幅が少しずつ広がった」と、見る見るうちに自信をつけていった。

 1年目の結果は、リーグ戦26試合出場で2ゴール。数字には残らない得点に関与したプレーも多く、及第点以上のパフォーマンスをみせたデビューシーズンとなった。

 迎えた2年目の今シーズン、背番号を「26」から「13」へ変更した。13番といえば、柳沢敦、興梠慎三、中村充孝、といった得点能力の高いアタッカーがつけてきた背番号だ。荒木も「13番は偉大な先輩たちがつけてきた番号。今年は昨年以上の成績を残して、もっと自分らしさを出していきたい」と気持ちを新たに2021シーズンへ臨んだ。

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 そしてリーグ開幕戦、荒木はいきなり結果を残した。開幕スタメンはならなかったが、後半途中から出場を果たすと、75分にコーナーキックのこぼれ球に反応し、左足でのダイレクトボレーでゴールネットへ突き刺した。得点場面を振り返って、荒木はこう語る。

「自分の前でエヴェラウド選手がヘディングをして、(バーに当たって)自分の前にボールが転がってきたので振り抜くだけだった。相手GKがバーに当たったときに倒れた位置は分かっていたので、いない位置に向けて振り抜いた。13番は偉大なる先輩たちがつけてきた番号。自分らしくやろうと思っていたなかで、得点できたことは良かった」

 しかし、そのあとチームは立て続けに3失点し、敗戦を喫した。攻撃面で結果を残した一方、守備面は課題を露呈する結果となった。荒木も「ホーム開幕ということで絶対に負けられないなか、3失点で負けたのはチームとして課題が残る試合になった」と悔しそうな表情をみせていた。

 それでも、荒木は中3日の鳥栖戦に向けて、すぐに気持ちを切り替えていた。悔しさを抑えながら「すでに終わってしまったこと」と話し、「切り替えて、次に向けて改善していきたい」と貪欲に次の勝利を欲した。

「今年はチームとしてタイトルを獲得したい。個人としてもタイトル獲得に貢献することを目標にしたい。今年はとにかくタイトルを獲りたい。そのためには、自分たちだけでなくサポーターの皆さんの力も必要になる。一緒に戦ってほしい」

 タイトル奪還のためには、彼の進化が必要不可欠だ。新世代の背番号13、荒木遼太郎がさらなる飛躍を遂げたとき、アントラーズは新たなステージに到達する。

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