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 レオ シルバは来月12月24日で36歳となる。現在のチームではスンテに次ぐ、2番目の年長者だ。ただ、いくら年齢を重ねても、フットボールへの情熱は変わらない。むしろ、月日を重ねたことで、愛情が増しているようにも思える。

「僕にとって、フットボールはすべて。たまに冗談で、最愛の妻に『僕はフットボールをとても愛しているから、君は2番目かもしれない』と言うこともあるくらい。それくらい大切に思っているし、フットボールを通じてさまざまな経験をすることができた」

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 大好きなフットボールについて、楽しそうに語るレオだが、現役生活の終わりは確実に近づいていると話す。技術向上への意欲は「パス1本からボール奪取の技術まで、何においても進化し続けたい」と衰えを知らないが、「年を重ねたことで選手寿命が残り少なく感じるのは悲しい」と、こぼすようになった。

「残念ながら、僕の選手としての“賞味期限“は確実に近づいてきているので、一日でも長く、そして悔いのない選手生活を送れるように努力を続けている。また、次代を担う選手たちにも、日々の過ごし方がいかに大切であるかを伝えている。プロのアスリートには“賞味期限“が存在するものなので、それまでに自分の持っている力を精いっぱい表現し続けることが、自分が愛するフットボールに対する恩返しではないかと思う」

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 これまでもチームメートへのアドバイスを惜しまなかったレオだが、これまで以上に意識的にコミュニケーションを取り、自分の経験を伝えるようになった。特に同胞のブラジル人選手たちには、来日して9年間で学んできた貴重な経験を伝える。

「彼らには選手として目指す姿には二つの選択肢があると話す。一つは『Jリーグに参加したことのあるブラジル人』、もう一つは『Jリーグに参加して、記憶や記録を残すブラジル人』。どちらを目指すのかは、自分で選ぶように、と。そして、日本で長く生活している分、僕は経験や知識があるから、日本でやるべきことや避けるべきこと、日本という国や日本人、日本のクラブが好むことも伝えるようにしている」

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 Jリーグでは外国籍選手の出場枠が定められているため、本来、同胞のチームメートは出場機会を争う直接のライバルになり得る。だが、それでも、レオは彼らへのサポートを惜しまない。

「僕には後輩のブラジル人選手が持ち味を発揮できるよう手助けする義務がある。同時に『ジーコスピリット』をはじめ、アントラーズの歴史や伝統を彼らに伝え、クラブとブラジル人選手の橋渡しになることも意識している。まだまだ日本語のレベルは高くないけれど、わかる範囲での日本語を用いて、日本人選手たちをサポートしつつ、日本人とブラジル人の橋渡し役を担うことも自分の仕事だと認識しているーー。彼らには、『当然、僕自身も試合に出て活躍したい。でも、もし君たちが日本での生活やチームにすぐ適応し、僕に代わって出場機会を得られるようであれば、それは僕としても嬉しいこと。だから、お互い健全な競争をしていこう』と話をした。僕はピッチ内外で努力をしているつもりだし、競争力を高めるために、毎日の練習後にみんなをジムに誘い、筋トレをしながらコミュニケーションを深めるようにしている」

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 レオがチームに与える影響力は、ブラジル人のサポートだけではない。どんな状況でも、プロフェッショナルとして常にベストを尽くそうとする姿勢は、若手選手にとって、最高の手本となっている。

「将来に向けて、大きな伸びしろがある。それぞれが興味深い個性や特長を持っているので、あとはそれをいかに伸ばしていけるかがポイントになる。指導者や僕ら経験のある選手たちが、的確にサポートすることによって、彼らの成長を促していけたらと思う。将来、彼らがピッチのうえで活躍する姿を見て、『僕も彼らの成長に少しは役立てたかな?』と、今の時代を振り返れたら嬉しい」

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 「残り少ない」と語る現役生活の中で、愛するアントラーズのために、何を残すことができるか。相馬監督の就任後、ゲームキャプテンを務める機会が増えたレオは、ピッチの中でもそれを意識する。

「キャプテンであっても、なくても、僕はずっと自分の振る舞いや言動をチーム全体へ示すことを心掛けてきた。年齢を重ねるごとに、チーム内では年長者のグループに入り、手本や見本として見られる。特に今のアントラーズには若い選手が多く在籍しているので、『レオがあれだけやっているんだから、自分はもっとやらないと』と、彼らの心を刺激できるような雰囲気づくりを意識している。それと同時に、彼らが伸び伸びと自分の持ち味を発揮できるように、さまざまな面でサポートすることを意識してプレーしたい」

 心からフットボールを愛し、アントラーズを愛する偉大なる背番号4。レオ シルバとともに戦える喜びを胸に刻み、勝利を掴み取ろう。

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