PICK UP PLAYER

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 ザーゴ監督が就任したことで、ボランチはより多くの役割を担うようになり、より高次元のプレーを求められることになった。プロフットボーラーとしてのキャリアが長いレオ シルバにとっても、あまり経験のない役割だ。

「基本的にボランチの選手にはボールラインよりも後方でプレーすることが求められ、それを意識しながら、攻撃陣にいい形でボールを預けること、攻撃から守備への切り替えの瞬間や、カウンターを受ける場面で適切なポジショニングを取ることが大きな役割になってくる」

 自身の役割の変化について、レオは丁寧かつ明快に教えてくれた。34歳にして、新たな挑戦は簡単なことではない。

 だが、彼は誰もが認めるプロフェッショナルだ。「僕自身も新しいスタイルにトライすることによって、選手としてより成長できるという手応えを感じているよ。監督が求めるプレーを体現することで、チームに貢献しながら自分の可能性を広げることにもつながっていくはず」と、自ら進んで変化を歓迎し、衰えることのない強い向上心を覗かせた。レオがピッチ内外で尊敬を集める理由が伺える。

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 かくして、シーズンの経過とともに、背番号4の存在感は増していった。パフォーマンスの向上は、ケガから復帰し、コンディションが上がったことも大きな要因の一つだろうが、何よりも、彼のプロフェッショナルな姿勢がチーム戦術への適応を加速させた。

  研究熱心なレオは「試合の翌日から次の試合を考えているし、次の対戦相手を応援するくらいの気持ちで試合を細かくみている」と準備に余念がない。そして、徹底した自己管理とコンディショニングは、若手選手にとって最高の手本となっている。

「試合前日の夕食を終えたら、できるだけ一人の時間を作っている。対戦相手の情報を確認したり、『こうしよう、ああしよう』と攻守のイメージを膨らませたり、試合以外の情報をシャットアウトして、試合に向けて集中する。家族や親戚、友人と話していると、普段と何も変わらない。だから、あえて(試合前日は)一人になる。自分にとって、そういう時間がすごく大切」

 ピッチ内外で尊敬を集めるレオには、チームを正しい方向へ導く力がある。

「現役生活も最後のほうに来ているのは確か。『明日の試合で引退する』となったとき、前日までいい加減に過ごしていたら、自分自身が一番納得できない。プロのサッカー選手として『最後までやり切った』と思えるように。そのために必要な時間の過ごし方をしなければ、と。それが自分との約束」

 レオ シルバ、34歳。円熟のプロフェッショナルはフットボールを熟知している。彼とともに戦える喜びを胸に刻み、勝利を掴み取ろう。

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