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 FC東京、柏レイソル、名古屋グランパスと、アウェイで今季初の3連勝を飾った。内容でも相手よりも多くのチャンスをつくり、ほとんどの時間帯で試合の主導権を握った。新たなフットボールスタイルは着実にチームへ浸透している。

 シーズン序盤は思うような結果が出せず、本当に苦しい時期を過ごした。だが、指揮官はプレッシャーに負けることなく、信念を貫いた。また、選手もスタッフもサポーターも、進むべき方向を信じて、ともに歩き続けた。そして、ようやくここにきて、内容と結果を両立させた魅力的なフットボールを展開できるようになってきた。

 名古屋戦の試合後、ザーゴ監督は「勝利は評価すべき部分だが、内容も評価するべきだと思う。今週取り組んできたことを選手たちが表現してくれた。今日は内容と結果が伴った」と話した。結果だけでなく、内容を追い求める。これが指揮官の哲学だ。そして、「今シーズンは、監督、目指すフットボール、選手が多く変わり、それがうまくハマるまでは時間がかかった。今は、選手たちが何をすべきなのか整理ができているし、勝つことによって自信もついている。若手からベテランまで、一人ひとりが成長しようという意識を持って取り組んでいるし、特に最近はトレーニングでやっていることを試合で体現できていると思う」と成長の手応えを語っていた。

 ただ、経験豊富な指揮官は、物事が上手くいかないときよりも、成功しているときの方が、成長を持続することが難しいと知っている。だから、「もっと得点できるチャンスがあった。その部分は改善していかなければいけない」と試合後に気を引き締めることを忘れなかった。状態が上向き、勢いづいているいまだからこそ、真摯にフットボールと向き合う必要がある。

「チームの完成度に関して、『100%に達した』と表現することは一生ない。満足することで、チームの成長は止まってしまうし、プロのアスリートである以上、常に向上心を持ち、さらによくすること、より完璧を目指すことを追求しなければいけない」

 今なまだまだ成長の過程だ。リーグテーブルに目を向けると、アントラーズは暫定9位、首位川崎Fとの勝ち点差は「17」と開いている。現在の立ち位置は不甲斐なきものとしか表現し得ないだろう。連勝に浮かれることなく、ここから前だけを向いて、一段ずつ這い上がっていく必要がある。

 さあ、舞台はカシマスタジアムに戻る。フットボールを愛するアントラーズファミリーが大きな拍手で、選手たちに刺激と勇気を与えてくれるだろう。

「魅力的なフットボールを体現するためには、ファン・サポーターのパッションが必要不可欠になる。情熱的な応援があることで、選手たちの勝ちたいという意欲に繋がり、勝利への活力は増していく」

 アウェイ3連戦で身につけた自信を揺るぎないものにするためにも、求められるのは、勝利だけではない。内容を伴ったうえでの勝利が必要だ。3連勝の勢いを、進化への決意を、新たな勝利への渇望に変えて。アントラーズファミリー全員でともに戦おう。

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