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「今日は何とか勝ち点を拾った形になりました。そういうのもプラスにとらえていかないと、同じことの繰り返しになってしまいます。最低限の勝ち点1だったし、追いかけていた時間帯を考えれば、この勝ち点1をプラスにとらえることができると思います」

 1-1のドローに終わった松本戦の後、土居聖真は悔しさを滲ませながらも、努めて前向きに語っていた。

 松本戦から中4日で迎えた天皇杯準決勝。土居の決勝点で辛くもHonda FCに1-0と勝利したが、試合内容は決して満足できないものだった。試合後のミックスゾーンは、少し重い空気に包まれた。だが、土居はここでもポジティブに、「この時期は結果がすべて。天皇杯で言えば、次にステージに進むこと。リーグ戦で言えば、勝ち点を取ること。それが最大の目標だと思います。僕は内容より勝利に執着していければいいと思っているし、勝つことができれば問題ない。その勝利に向けて、これからも、もっと突き詰めてやっていきたいです」と、次の試合を見据えてコメントした。

 今年でトップチーム昇格から9年目、背番号8を継承して5年目を迎えた土居は、これまで数多くの優勝争いを経験している。歓喜の瞬間を分かち合ったこともあれば、やり場のない悔しさもたくさん味わった。様々な経験をしたからこそ、「プラスにとらえること」の重要性に気付いた。

 試合が終われば、すぐに気持ちを切り替え、次の戦いに向かっていくことが重要だ。終わった試合の結果は覆らない。現在の行動だけが、未来を好転させる。不本意な結果だった時こそ、内容が伴わなかった試合の後こそ、一致団結して、次の試合に向かって、意識を切り替えないといけない。もう、悔しい思いをしないためにも、これまでの経験を活かして、前に進まないといけない。

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「ここ数年、試合数が増えて、自分自身も出場時間が長くなっています。僕個人としては、すごく嬉しいことですし、その中でもっとやらなければいけないという気持ちが芽生えています」

 選手の入れ替わりが激しくなった現在のチームで、優勝争いの経験を伝えられる選手は、そう多くない。土居の言葉にも現れているが、本人もチームを牽引する立場になったことは自覚している。だから、悔しいときこそ、一つになって闘うことが大切だと、自らの姿勢で周囲に伝えた。

 性格は温厚で少し人見知り、感情を表に出すことも少ない。だが、愛するチームのために闘う気持ちは人一倍強い。「自分のプレーを見てくれている方に、チームメイトに勇気を与えられるようなプレーをこれからもしていきたいです」。自らの成長だけでなく、仲間のため、サポーターのためにプレーしたいと語る。

「(サポーターの)数は多くなれば多くなるほど、色んな意見があると思いますけど、いろんな意見を含めて、勝ってほしいという気持ちの表れだと思っています。その気持ちにしっかり応えられるように頑張りたい。選手とサポーターという立場はありますけれど、一緒に戦ってもらってますし、鹿島アントラーズという一つのチームで、一心同体というところがあると思います」

 アントラーズを愛する全員が、勝利を、優勝を願っている。意見がすれ違うときはあっても、同じ目標を掲げる仲間だ。ともに苦しみ、ともにもがき、ともに優勝したときの喜びを知っているからこそ、ともに戦い続けることが出来る。

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「カシマはやっぱり僕らの家なんです。その空気を作ってくれるのが、サポーターの皆さん。スタンドのアントラーズレッドを感じたら、もうやめられない」

 スタンドから背番号8へ声援を送ろう。必ずピッチで答えてくれるはずだ。土居聖真は今夜も仲間のために、全身全霊をかけて、勝利を目指す。

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