2024年アカデミー・スクール新スタッフ紹介 ノルテエリアコーチ
飛奈洸太ジュニアユースコーチ/細根敦也ジュニアユースGKコーチ/村居一輝スクールチーフコーチ/髙安良徳スクールサポートコーチ

日々、アントラーズアカデミーで子どもたちにフットボールの素晴らしさを伝えるコーチたちは、どのようなフットボール人生を歩み、どのような思いを胸にフットボールと向き合っているのか。第6回は、2023年からノルテジュニアユースのコーチングスタッフとなった飛奈コーチと細根GKコーチ、そしてノルテエリアのスクール活動などを支える村居チーフコーチと髙安サポートコーチの4名に話を聞く。
選手の成長する姿を見ることがやりがい
「時代が変わっても、アントラーズ伝統の勝負強さは変わらないのだと肌で感じました」
ノルテJYのコーチになって2年目の飛奈洸太コーチは、選手たちが示したアントラーズのスピリットを目の当たりにした。「関東ユース(U-15)サッカーリーグ 2部B」で開幕5連敗と苦しみ、残留の危機に瀕したものの、最後は3連勝で今季のリーグ戦を終えた。
「今年も苦しい戦いが続きましたが、勝負どころで勝ちを引き寄せてくる選手の姿勢を見て、アントラーズスピリットを持った選手たちが育っているのだと実感しました。自分の中学時代にノルテJYや鹿島JYと戦うことがあり、自分の代はノルテJYが強かった印象もありますが、時代が変わって取り組んでいるスタイルは変わりつつも、アントラーズ伝統の勝負強さは変わりませんね」(飛奈コーチ)
小学生のころ、埼玉県のFC浦和で全国大会準優勝の結果を残し、その後、大宮のアカデミーで中学・高校時代を過ごした。大宮JY時代にアントラーズアカデミーと相まみえ、大宮ユース時代にも「あのときの鹿島ユースはブラジル人のキッカ監督が率いていたので、ずる賢くて、嫌らしくて、やりづらかったイメージがあります(苦笑)」と当時の記憶がよみがえる。仙台大学では選手としてだけでなく指導者としてもフットボールに向き合い、高校サッカーの名門・京都橘高校でもコーチングの学びを得た。
「中学3年生のとき、中村順さん(現甲府アカデミーヘッドオブコーチ)が大宮JYの監督になり、衝撃的なくらい、それまでとはフットボールの概念がガラッと変わりました。それまで何も考えずにプレーしていた僕自身にとって、より効率的にプレーするために考えることはすごく難しく、結果も出ずに苦しかったけれど、今思えば中村さんとの出会いがあって、自分自身のフットボールスタイルや考え方が変わったように思います。また、京都橘高校の米澤一成監督からは、練習法はもちろんのことですが“言葉の力”についても学びました。選手たちを一つの方向に導くためにはしっかりと言葉で伝え、信頼関係を築くことが大事だと教わり、それらが指導者としてのベースにもなっています」(飛奈コーチ)
そして、仙台大学で指導の現場に立っていたとき、当時の監督から「アントラーズがコーチを探しているようだ。どうだ?」と尋ねられた。飛奈コーチは「興味があります」と答え、「当時はまだJクラブで仕事をしたことがなかったので、Jクラブの世界がどんな感じなのか知りたかった」と、アントラーズへの道を切り開いた。
「アントラーズでは“個の育成”を大事にするので、選手たちの個を伸ばしていくための指導法についても今は勉強させていただいています。また、身なりだったり、発言だったり、子どもたちを指導するうえで、大人が見本にならなければいけません。自分自身も見本となる指導者になれるように、(就任1年目の)2023年からアントラーズのスタッフからいろいろと吸収しています。選手の成長する姿を試合で見られることが指導者としてのやりがいなので、今後のノルテJYの選手たちもどのように大人になっていくのか、すごく楽しみです」(飛奈コーチ)

高校と大学での指導経験を持つ飛奈コーチにとって、中学生年代での指導は新たな挑戦だ
ヨーロッパでも活躍できる選手を育てたい
飛奈コーチと同様に、細根敦也GKコーチも2023年度からノルテJYの選手たちを指導する。11月30日に28歳になり、「もう、そんなに若い年齢でもないけれど……」と笑うも、「多感な時期を過ごす中学生にとってのお兄ちゃん的な存在になれれば。選手から監督に直接、言いにくいこともあるだろうし、選手と監督、ときに選手と選手の間に立って、フランクに会話できるように」と、チームに関わる人たちの関係性を取り持つための役割を買って出る。
細根GKコーチがフットボールと出会ったのは、小学校高学年のとき。「フットボールと関わりのある家庭で育ったわけでなく、特別に好きな競技でもなかった」と、それまでフットボールとは縁がなかったが、「一緒にやらない?」という友人の一言にフットボールの世界へといざなわれた。
「その友達が通っていたチームは、自分の出身地である東京都江戸川区でも1位、2位を争う強豪でした。ただ、どうやらGKを希望する選手がいなかったようで、後々聞いたら“細根くんは学校の休み時間のドッジボールが強いから、GKをやってほしかった”と。それからずっとGKのポジション一筋でプレーしてきました」(細根GKコーチ)
当時、細根少年をGKとしてスカウトした友人の目に狂いはなかった。それから江戸川区のトレセンメンバーにも選ばれ、中学生になると東京都でも強豪の街クラブに加入した。東海大学付属浦安高校3年時にはキャプテンを務めるなど、フットボールを始めてから10年にも満たない間にチームの中心選手となっていった。そして指導者の道へ進んだのも、いくつかの偶然が重なったからだった。
「当初は大学生のとき、教員を目指していました。でも、教員採用試験に合格できず、大学を卒業してからは私立校の非常勤講師や塾講師とともに、獨協大学でサッカー部を指導するアルバイトを行っていたんです。そうしたら、実家の近くで活動していたバルサアカデミー葛飾校がコーチを募集しており、教員の道をあきらめずに進むべきか迷いながらも、本格的にフットボールの指導者になるために、バルサアカデミー葛飾校にお世話になることになりました」(細根GKコーチ)
バルサアカデミー葛飾校では、経験豊富なコーチから新たな指導理論を学んだ。細根GKコーチにとって、目から鱗が落ちるほどの内容だった。
「言葉で表すと、論理的に、選手がうまくなるために、選手に問いかけるようなコーチングです。選手に声をかけるタイミングの的確さと、トレーニングを構築するうえでのストーリー性が重要となります。最後はゲームで締めるのですが、そこでその日のトレーニングの成果を出せるようなメニューを考える。練習内容も興味深くて、選手の成長も早かったので、そのコーチを参考にしている部分は大きいです」(細根GKコーチ)
バルサアカデミー葛飾校で指導にあたっていると、また新たな挑戦への扉が開いた。指導者ライセンスの講習会の場でつくばJYの大橋基史GKコーチと知り合い、「ノルテJYのGKコーチに興味はありませんか?」と尋ねられると、「より高いレベルの選手たちがそろうチームで仕事がしたい」と決意を固めた。
「バルサアカデミー葛飾校のときからずっと思っていますが、ヨーロッパでも活躍できる選手を育てていきたいです。そのために、中学生の段階で技術レベルとフィジカルレベルの両方を高めていけるように、今、チームにいる選手たちを上達させることを第一に心掛けています。そして、自分自身もまだまだチャレンジしなければいけません。選手のように、指導者としても海外を目指して。先日、アントラーズアカデミーの事業の一環として、来日した台湾の選手たちを指導しました。アントラーズでは、とてもいい経験を積ませていただいています」(細根GKコーチ)
細根GKコーチのアントラーズでの戦いも、まだ始まったばかり。飛奈コーチとともに、ノルテJYのさらなる強化と、念願の全国大会出場に向けて、それぞれの道を歩んできた2人の指導者がこれからもノルテJYを支えていく。

バルサアカデミー葛飾校などで培ってきた経験をノルテJYに還元する細根GKコーチ
アントラーズスピリットを伝えることが使命
飛奈コーチ、細根GKコーチが指導にあたるノルテJYやノルテジュニアで活躍する選手を輩出するために、ノルテエリアのスクール活動も盛んだ。
「ノルテジュニアとノルテJYに所属する選手たちの大半はスクール出身です。今後もそこにつなげるためにも、より多くの子どもたちにスクールに入ってもらい、彼らがフットボールを上達させて、選手として強くなっていくためにサポートしていきたいです」(村居チーフコーチ)
2024年からノルテエリアスクールのチーフコーチを務める村居一輝コーチは、そのように語気を強める。鹿島エリアからノルテエリアに移って3年目。「特別に何かをするよりも」と、まずは各スクールの活動内容に注視した。
「例えば、練習メニューのコーンの置き方、ミニゲームのコートのサイズ、子どもたちへの声のかけ方など、いろいろな要素を見直し、より改善させていくことに努めました。子どもたちがフットボールに喜びを感じ、アントラーズスクールとしての魅力を見いだしてくれているのか。コーチ陣も一生懸命に取り組み、それに対して子どもたちが熱中しているのか。年々、子どもの数が減ってきているなかで、今年からノルテエリアスクールのチーフコーチになり、今まで通りに活動していては難しいと思いました」(村居チーフコーチ)
アントラーズのホームタウンである鹿島エリアや、茨城県内でも東京都心に程近く生活における利便性が高いつくばエリアには、それぞれクラブハウスやつくばアカデミーセンターといったクラブの保有するグラウンドがあるが、ノルテエリアには無く、常に間借りして活動している状況だ。それでも、スクール活動やイベントに注力し、クラブとして実施する施策にも反響を呼んでいる。
「イベントでは、何度も参加してくださる“リピーター”が増えている実感もあります。その証として、クラブが鹿島エリアとつくばエリアでも実施しているイベントポイントカード(イベント1回参加につき1ポイントが付与され、10ポイント貯めると好きな選手のサイン色紙がもらえる施策)があり、ノルテエリアでは10ポイント集めて、好きな選手のサインをゲットする子が多くいます。そういった試みも含め、ノルテエリアの各スクール会場のグラウンドを有効的に使い、普段はスクールに入っていない子たちにもイベントを通して来てもらえるように努めています」(村居チーフコーチ)
そして、ノルテエリアで特に力を入れているのが、地域の小学校や幼稚園・保育園への巡回教室だ。村居チーフコーチも「巡回教室の実施数は鹿島エリアやつくばエリアに比べると多い」と自負する。小学校では「体育の授業の一環」としてスクールコーチがフットボールを通し、子どもたちに体を動かすことの魅力を伝える機会だ。アントラーズのエンブレムを胸に子どもたちと触れ合うがゆえに、「自分たち指導陣にとっては、その1回1回が勝負の場。子どもたちに体を動かす喜びと、一生懸命に取り組むというアントラーズスピリットをうまく伝えることが使命」だと言葉に力を込める。
「“アントラーズノルテ”として、鹿島エリアやつくばエリアには無いような独自の色を確立していきたいです。ただし、自分たちは“ノルテ”だけれど、アントラーズなので、一生懸命に取り組むところなどのアントラーズスピリットを前面に押し出して、これからも子どもたちの指導にあたっていきたい。そこに魅力を感じてくれる子たちに、スクールやイベントに来てほしいと思います」(村居チーフコーチ)

村居スクールチーフコーチは今日もノルテエリアの子どもたちに囲まれながら、フットボールの魅力とアントラーズスピリットを伝えている
勝った喜びと、負けた悔しさを次に
髙安サポートコーチも「一番の使命はアントラーズの魅力を伝えること」と強い思いを胸に、2024年にノルテエリアへと移ってきた。
2023年までは鹿島エリアのスクールコーチを務め、心機一転、ノルテエリアへ。スクール活動では特定のクラスを担当するのではなく、いろいろなクラスをサポートする役割となった。それに加え、ノルテエリアの事務関係の仕事も兼任。「これまで、事務の業務は担当していなかったので、自分にできるのか不安もあったけれど、今は慣れてきて、スクール活動も含めて自分の仕事にやりがいを感じる」と充実した表情をのぞかせる。
また、2023年から引き続き、ユースのホームゲームが行われる際には県立カシマサッカースタジアムやアントラーズクラブハウスでの試合運営業務にも従事する。業務にあたりながら、「ユースを率いる柳沢敦監督や小笠原満男テクニカルアドバイザー、曽ケ端準GKコーチといったアントラーズのレジェンドが醸し出す試合の雰囲気を肌で感じられる」と貴重な体験を積み、“勝負の世界”の空気感をスクールにも還元しようとする。
「以前に里内猛ヘッドオブコーチングが“じゃんけんで負けて悔しがる選手が少ない”と話していました。そういったところでも子どもたちが勝ちにこだわるように、一つひとつのトレーニングメニューから勝負への思いを植え付けたい。ただし、それを厳しく押し付けると子どもたちが引いてしまうと思うので、その匙加減には気を付けています。勝った喜びと、負けた悔しさ。その両方の思いを次につなげてもらえるように、これからも働きかけていきたいと思います」(髙安サポートコーチ)
そのように髙安サポートコーチが考えるのも、特にノルテエリアの子どもたちは「鹿島エリアの子たちと比べると控えめな子が多い印象がある」からだ。さらに、アントラーズのお膝元とは異なり、「どうしても、街の中にあるアントラーズ色はそんなに濃くはない」と、鹿島エリアとの違いも感じている。だからこそ、「アントラーズを身近に感じることが難しいエリアなので、逆に一番子どもたちに近い存在である自分たちがしっかりとアントラーズの魅力を伝えていかないと」と、自らを奮い立たせる。
「子どもたちのなかには、スクールで初めてフットボールに触れ合う子もいるので、まずはその魅力を伝えて、最終的にアントラーズを好きになってもらえればいいです。もちろん子どもたちだけではなく、保護者の方々にも。このノルテエリアで、もっとアントラーズを好きになってくれる人が増えていけば、自分自身にとってもうれしいです」(髙安サポートコーチ)
スクールでは村居チーフコーチや、新たにノルテエリアに加わった髙安サポートコーチ、そしてノルテJYの飛奈コーチや細根GKコーチといった経験豊富な指導陣が、今日もこの地域の子どもたちに向き合っている。フットボールへの愛と、胸に刻まれたアントラーズのエンブレムに対する誇りを抱きながら。

ユースの試合運営や事務作業とともに、ノルテエリアスクールでのコーチングにも情熱を注ぐ髙安サポートコーチ