2024JリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド 2回戦、プライフーズスタジアムでヴァンラーレ八戸と対戦した。
今年より大会フォーマットが変わり、J3、J2勢も参加するYBCルヴァンカップ。これが初戦となるアントラーズは、J3の八戸と対峙した。
現在、J3で20位と苦戦している八戸だが、アントラーズを迎えてのこの一戦には強い気持ちを持って臨んできた。チケットは早々に完売と八戸のファン・サポーターだけではなく、アントラーズファミリーも多くかけつけ、高い関心を持たれるゲームとなった。
J1で戦い続けるアントラーズにとっては、「必勝」を命じられたこの一戦。ポポヴィッチ監督は先週土曜日のホーム京都戦から6人変更した先発11名をピッチへ送り出した。安西、知念、藤井、樋口、チャヴリッチ、優磨から、須貝、土居、ミロサヴリェヴィッチ、松村、パレジ、師岡とフレッシュな選手を並べたが、注目はこの試合、トップ下でプレーすることになったミロサヴリェヴィッチ。土居を佐野とボランチに組ませ、ポポヴィッチ監督は前線での新たな組み合わせを模索した。
だが、この新布陣はダイナミズムに欠けてしまった。ワンタッチ、ツータッチでボールを動かそうとするも、パスが微妙にずれ、高い位置から激しくプレスにくる八戸にボールを取られてしまう。前半は松村、佐野らの惜しいシュートがあったものの、ほぼ八戸に主導権を握られた。
失点のシーンは、25分。パスミスからゴール前に迫られると一度は早川がシュートブロックを見せたが、そのこぼれ球を柴田に押し込まれ、八戸に先制を許してしまった。その後も前半はいいところがなく、まさかのビハインドで45分を戦い終えた。
この不甲斐ない展開に、ポポヴィッチ監督は後半の頭からパレジに代え、優磨、土居に代え、知念、ミロサヴリェヴィッチに代え、樋口を送り出し、ほぼリーグ戦と同様の戦い方に戦術変更を施す。しかしこれでも、八戸の粘り強い守備を崩すことはできず、64分には松村に代え、垣田、79分には須貝に代え、安西と次から次へと選手交代を繰り返した。
するとアントラーズは徐々に前線への長いボールも増やし、八戸ゴールに迫る。そして82分、前線での競り合いから樋口のラストパスを安西が中央へ切れ込みながらダイレクトで決め、同点に追いつく。安西のビューティフルゴールで、試合は延長戦へともつれ込んだ。
師岡に代わり、仲間がピッチインし交代枠もフルに使った延長前半、新たな試練がアントラーズに襲いかかる。104分、相手選手と激しく接触した濃野にまさかのイエローカードが提示される。これが濃野にとって、今日2枚目のイエローということで、退場。アントラーズは残りの時間を10人で戦うことになった。
しかし、いかに劣勢となっても負けるわけにはいかない。その執念が濃野の退場劇の4分後、アントラーズに逆転ゴールをもたらした。
108分、後方からの速いボールを仲間、そして優磨が頭で競り合い、そこに知念が飛び込んでの左足ボレーシュートを決める。安西のゴールに続く、知念の見事なゴールでアントラーズはついに2-1と逆転に成功した。
そしてこのまま、リードを守り切り、120分間の激闘を終える。アントラーズは何とか3回戦へとその駒を進めた。
試合後、勝利の立役者となった安西と知念は口をそろえて、「不甲斐ない試合をしてしまい、ここまで駆けつけてくれたファン・サポーターに本当に申し訳ないことをした」と言った。そしてその気持ちは選手全員が感じていることだろう。次はリーグ戦に戻り、2日後にアウェイで鳥栖と対戦する。改めて、アントラーズの意地と誇りを見せなければいけない。
【この試合のトピックス】
・ミロサヴリェヴィッチが、アントラーズ初先発。
・安西と知念が、今季公式戦初ゴール。



八戸が死に物狂いで来るということは分かっていた。ピッチで八戸が見せたプレーは、非常に強度もあった。すべてを出して向かってきているなという感覚だった。
我々はそこに対して隙を見せたわけではない。残念ながらミスをつかれて、失点してしまい、追いかける展開となった。ボールを動かしてチャンスを作っていたが、なかなかゴールが決まらない時間帯があった。だが、焦れずにプレーができた。相手のチャンスもほぼなかった。うまく抑えたと思う。
後半に素晴らしいゴールが生まれ、1人少なくなった延長戦でもゴールを決めることができた。ただ、非常に体力を消耗した試合となってしまった。
八戸までこれだけのサポーターに足を運んでくださり、感謝しかない。皆さんの後押しに選手が応えて、しっかりと結果を残してくれたと思っている。
Q.苦しい120分だったと思う。選手たちはこの状況を跳ね返した。そこへの評価は?
A.相手に一方的にやられた試合ではなかった。ワンチャンスでやられてしまった。隙を見せたわけではない。
この試合は、初めて試合で組むメンバーだったので、うまく行かないことがあるという想定はしていた。長年やっていたかのような、あうんの呼吸で戦えれば、それに越したことはない。私はそこまで悪い出来ではなかったと思っている。ゴールシーン以外にもチャンスはつくれていた。あとは決めるだけだった。
次の試合は土曜日なので、いかにリカバリーをして臨んでいくのか。集中して取り組んでいきたい。
これがカップ戦の醍醐味でもあり、面白さだと感じている。
Q.後半に3選手を投入した理由は?
A.できれば、使いたくはなかった。そういう選手もいる。このような試合は、非常に難しい。
後半開始から投入した3選手はリーグ戦で出ている選手なので、攻撃がスムーズになることは当たり前のこと。ただ、本来、求めていたことは90分で終わらせることだった。
彼らは力を出し切って戦ってくれた。
先制点を取ることができたが、追加点が取れなかった。逆にアントラーズに素晴らしいシュートを決められ、延長戦で負けてしまった。
J1のチームと対戦していい経験になったのではないかと思う。勉強になったところが多くあった。ただ、勉強だけで終わるのではなく、それを吸収して成長していかなければいけない。
コンディションが日々良くなってきていると感じている。
トップ下でもプレーしたことがある。ボランチが主戦場だが、監督から求められれば、どんなポジションでもプレーする。
今まで、トレーニングでやってきたことをピッチで出すだけだと思っている。そこにフォーカスして、チームでやっていかなければいけない。この試合へ向けて、非常にいいトレーニングをしてきたし、みんながやるべきことを理解している。積み上げてきたことを全員で見せていく。
チームとしての能力、選手の能力は我々の方が上だと思っている。ただ、試合の入り方などで隙を見せてしまうと、苦しむのは自分たち自身。自分たちも100%で試合に入っていかなければいけない。全力でプレーする姿を見せていくことが重要になってくる。
【須貝 英大】
なかなか試合に絡めていなかったが、その中でもコンディションを落とさないようにやってきた。自分の特長を前面に出していき、チームの結果につなげたいと思っている。相手は、必ず勝つという強い気持ちをもって向かってくる。そこで受け身になるのではなく、どんどんチャレンジをしていきたい。
J1チームとの対戦ということで、死に物狂いで挑んでくるのは間違いない。カテゴリという部分はこの戦いでは関係ないと思っている。J1だから必ず勝てるというわけではない。全員でいい準備をして、普段と同じ熱量で、集中して、受け身にならずにチャレンジしていくことが大事だと思っている。
この試合は自分にとってチャンスだと思っている。このチャンスをつかむか、つかまないかはこの先にも関わってくる。いい準備をして、良さを出していきながら、チームの勝利のために戦っていきたい。
【師岡 柊生】
チャンスをもらえたので、点を取って活躍したい。僕がゴールに一番近いポジションにいるので、点を決めてチームを勝利へ導くというイメージを常に持ってプレーしていく。
ポポヴィッチ監督が「メンバーが変わっても、同じプレーができるように」と言っていた。そこを一人ひとりがしっかりと意識してプレーして、結果につなげていかなければいけない。
普段から優磨君のプレーなどを見て勉強をしてきた。そこも自分のプレーに活かしていきたい。
残り時間があまりない中での投入ということで、監督から「どんどんシュートを打っていけ」と言われていた。いい感じに力が抜けていいシュートを打つことができた。
この結果は不甲斐ない。ただ、勝つことができたのは良かったと思う。誰が出てもしっかりと勝てるようにしていかなければいけない。
中2日で鳥栖との試合がある。そこへ向けてまた全員で戦っていく。
【知念 慶】
ビハインドの状況で試合に入ったので、点を取りに行くしかなかった。前に出てカウンターを喰らう場面もあり、紙一重だったなと思う。
(ゴールの場面は)優磨が競り合った時に、こぼれてくる感じがした。相手よりも早く反応することができたことが良かったと思う。