天皇杯2回戦のみどころを読む!

 「個人的にはすごく力の入る試合だった」。聖地での初采配を終え、指揮官は正直な心境を明かした。「ホームで思うような結果を出せずにいた中、勝てたことが何より」と、百戦錬磨の守護神は勝ち点3の意味を語った。札幌戦、3-0。カシマスタジアムに響き渡る、久しぶりの歓喜――。来たるべき連戦へ、アントラーズが力強く一歩を踏み出した。

 新体制での初陣から2週間のインターバルを経て迎えた90分は、必ずしも納得のいくものとは言えなかった。30分で3つのスコアを刻んだ後、60分間の沈黙。「それほどいい後半ではなかった」と反省の弁を語った大岩監督はしかし、前向きのベクトルを放っている。「クリーンシートで終わることができた。自分自身にとっても、少し自信をもらえる試合になった」。やるべきことはまだまだ多い。だが同時に、2試合で6ポイントを獲得した事実は動かない。課題も反省も、勝利という結果の下で行うべきものだ。一足飛びとはいかなくとも、チームは一歩ずつ着実に前進している。
 札幌戦の翌日から、チームは次なる戦いを見据えてトレーニングに打ち込んだ。ディフェンディング・チャンピオンとして臨む天皇杯、その初戦となる2回戦。カシマスタジアムに迎え撃つ相手は、JFLのFCマルヤス岡崎だ。中3日で迎える一戦へ、選手たちは出場機会を掴むために必死にボールを追った。「どの選手のことも信頼している」とミーティングで告げたという大岩監督は「嬉しい悩み。選手は意識を高く持ってトレーニングや試合に臨もうとしてくれている」と競争意識の激化を歓迎。試合前日の紅白戦を終え、「先発で出る選手には責任と自分の気持ち、感情をピッチの中で出してほしい」と、期待を語っている。

「それがサポーターのためでもあり、自分のためでもあり、チームのためでもあり、クラブのためでもある」
 鹿のエンブレムを纏う重みを噛み締めるように、大岩監督は言葉を並べていた。不甲斐なき日々からの反撃を期す者、苦しみを経て戦いの場へ帰還した者、フットボーラーとしてのキャリアを刻み始めたばかりの若武者――。それぞれが決意を胸に秘め、そしていついかなる時も変わらない、勝利という唯一絶対の目標を追い求め、戦いの場へと足を踏み入れる。チームにとっても、個人にとっても、大きな意味を持つ90分だ。期待と信頼を背負ったメンバーが聖地で輝きを放った先に、未来が切り拓かれていくはずだ。
 新たな年をスタジアムで迎えた喜び、そしてクラブの歴史に新たな星を刻んだ誇り――。あの激闘から半年以上が経った。指揮官の交代にも直面した。幾多の思いとともに、もがき苦しみながら、しかし着実に前進するアントラーズ。その歩みを、さらに加速させるために――。元日決勝へ、そして連覇への道のりが、いよいよ始まる。
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