広州恒大戦のみどころを読む!
中国王者に2点差以上をつけて勝つ。遂行する任務は明確だ。AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16、第2戦。アントラーズファミリーの底力を見せつける時がやってきた。
負傷者続出、不甲斐なき連敗。試練の時を迎えたアントラーズが、高温多湿の広州で険しき道のりに立ち向かった。四方八方から降り注がれる大音量の歓声。山本が「どこよりも強く感じる」と表現したアウェイの雰囲気に身を置き、中国王者に何度、牙を剥かれただろう。それでも、強烈なシュートに襲われるたびに誇り高き背番号1が立ちはだかった。安定感抜群のキャッチングを連発し、アントラーズに落ち着きと自信を与えていくスンテ。まるで磁石のようにボールを手中に吸い寄せ、広州恒大を無力化していった。
しかし、75分。一瞬の隙が失意の瞬間を生んでしまった。ホームチームのCK、最後の一線を死守すべく密集地帯を形成したビクトリーホワイト。しかし、ボールの行方を阻むことはできなかった。抜け目なくフリーになったパウリーニョに押し込まれ、ゴールネットが揺れる。広州の夜が赤く沸騰した。三竿健斗は「駆け引きをしてうまく守れていたと思う」と90分を振り返り、「だからこそ、失点が悔しい」と唇を噛んだ。公式戦で初めてセンターバックを務めた背番号20は、奮戦への手応えと敗戦という現実との狭間で、痛恨の思いと向き合っていた。
0-1。敗戦の瞬間まで走り続けた土居は「いつも以上に責任を感じる。点を取りたかった」と、アタッカーとしての不甲斐なさを己にぶつけた。自陣深くまで全速力で駆け戻り、勇敢なスライディングで「献身」を体現し続けた背番号8。「可能性がある限り、戦う。今から準備をする」。その言葉に不退転の決意が滲む。指揮官は「しっかりと逆転して次のラウンドへ進めるように」と逆襲を誓った。そしてキャプテンは湧き上がる悔しさを噛み殺し、リベンジへの闘志をシンプルな言葉に託して広州の地を後にした。「次、勝てばいいだけだから」――。全員のベクトルが、すでに第2戦へと向いていた。
第1戦の「0-1」から、第2戦で逆転する――。そのシナリオを想起した時、すぐに蘇る光景があるはずだ。思い出さずにはいられない、栄光の記憶があるはずだ。2016年12月3日、埼玉スタジアム。「スタートから出る選手、ベンチからの選手、それ以外の選手、スタッフ、全員で戦うよ。絶対勝つよ。行くぞ!」。キャプテンの言葉に奮い立ち、戦いの場へ足を踏み入れた、あの夜――。思い起こしてみよう、魂の90分を。敵地の夜空に響き渡った歓喜、そして歌い上げた王者の誇り。そして挑んだ世界での戦い、各大陸王者との対峙を繰り返しながら逞しく進化を遂げてきた日々。その全てを思い起こしてみよう。アントラーズファミリー全員で、一歩ずつ進んだ道のりを思い起こしてみよう。勇気が湧き上がってはこないか。揺るぎない決意が胸に宿りはしないか。
広州での“前半90分”を経て、アントラーズに課された任務は明確になった。「2点差以上で勝つこと」だ。例外として、「1-0」で90分を終えた場合は勝利数と得失点差、アウェイゴール数の全てが並ぶため、決着は延長戦へ持ち越される。だが「1-0」以外のスコアで90分を終える時、アントラーズは中国王者よりも2つ以上多くの得点を決めている必要がある。「2-1」ではベスト8に届かない。仮に失点を喫した場合、 2点差以上をつけなければ、アウェイゴール数で及ばずに敗退が決まる。いつにも増して、失点が重い意味を持つ戦いだ。緻密なゲームプランを携え、勇敢に戦わなければならない。繰り返しになるが、アントラーズに課せられたタスクは「2点差以上で勝つこと」だ。
要求されるスコアを見れば、“あの時”よりも困難なタスクが待ち受けていることは間違いないだろう。だが、中国王者を相手にミッションを遂行する舞台は、俺たちの聖地・カシマスタジアムだ。今回はホームで戦えるんだ。奮い立たずにはいられない。アントラーズの歴史、その全てを紡いできた聖地なら、どんな困難も乗り越えられる。俺たちなら、必ずやれる。
どんな困難も――。そう言った時、アジア制覇への挑戦を聖地で阻まれた屈辱の歴史が脳裏によぎる者もいるだろう。今季のJ1、聖地で不甲斐なき敗戦を重ねてきた日々を思わずにはいられない者もいるだろう。それらは決して目を背けてはならない、紛れもない事実だ。しかし今はそれよりも、任務遂行への揺るぎなき決意と信念を持って、2点差以上での勝利だけを見据えて、全員で戦いたい。今季のACL、聖地での勝率は100%。国際大会を勝ち抜く上での絶対条件・ホームでの勝利を、アントラーズは力強く体現している。ならば、今夜も――。
「“今までに突破できなかったかどうか”という考えよりも、自分たちの目標はこのクラブが持っていないタイトルを獲りに行くということであり、その気持ちや信念を持つことが大事。信念を持って取り組んでいくべきだ」
無念の離脱を強いられる数日前、レオは決意を語っていた。その思いとともに戦う選手たちは皆、勝利だけを見据えている。「ホームでは絶対に勝つ。落ち込んでいる選手は誰もいなかった」と健斗が言えば、金森は「試合後、下を向いている選手はいなかった。次はホーム。全員で戦いたい」とリベンジを誓っていた。
――下を向く背番号12は一人もいなかった。心を奮い立たせる情熱を背に受けた選手たちは、勇気をもらったはずだ。湧き上がるリベンジへの闘志に火をつけたはずだ――。
魂の90分を演じる4日前、カシマスタジアムには逆転優勝への決意と信念が満ちていた。そして今、広州での激闘を終えた選手たちの言葉を記し、思う。あの時と同じだ。あの夜の背番号12と同じだ。誰一人として下を向く者などいない。
――こみ上げる悔しさを胸に引き揚げる選手たちへ、アントラーズレッドのスタンドは熱い歌声を送り続けた。ホイッスルの後、すぐに掲げられたタオルマフラー。それは、限られた数の仲間しか参戦できない第2戦のビジタースタンドへ、アントラーズファミリー全員で出港するという誓いだったに違いない――。
半年前、敗戦直後の光景を今一度記し、思う。心を揺さぶられたあの光景を思い出して強く思う。今回はカシマで戦える。それがどれほど心強いか。勇気と活力をもたらしてくれるか。
さあ、逆転突破を懸けた大一番が始まる。聖地で、2点差以上での勝利を。今夜もともに戦おう。アントラーズファミリーの底力を見せつけてやろう。
負傷者続出、不甲斐なき連敗。試練の時を迎えたアントラーズが、高温多湿の広州で険しき道のりに立ち向かった。四方八方から降り注がれる大音量の歓声。山本が「どこよりも強く感じる」と表現したアウェイの雰囲気に身を置き、中国王者に何度、牙を剥かれただろう。それでも、強烈なシュートに襲われるたびに誇り高き背番号1が立ちはだかった。安定感抜群のキャッチングを連発し、アントラーズに落ち着きと自信を与えていくスンテ。まるで磁石のようにボールを手中に吸い寄せ、広州恒大を無力化していった。


0-1。敗戦の瞬間まで走り続けた土居は「いつも以上に責任を感じる。点を取りたかった」と、アタッカーとしての不甲斐なさを己にぶつけた。自陣深くまで全速力で駆け戻り、勇敢なスライディングで「献身」を体現し続けた背番号8。「可能性がある限り、戦う。今から準備をする」。その言葉に不退転の決意が滲む。指揮官は「しっかりと逆転して次のラウンドへ進めるように」と逆襲を誓った。そしてキャプテンは湧き上がる悔しさを噛み殺し、リベンジへの闘志をシンプルな言葉に託して広州の地を後にした。「次、勝てばいいだけだから」――。全員のベクトルが、すでに第2戦へと向いていた。
第1戦の「0-1」から、第2戦で逆転する――。そのシナリオを想起した時、すぐに蘇る光景があるはずだ。思い出さずにはいられない、栄光の記憶があるはずだ。2016年12月3日、埼玉スタジアム。「スタートから出る選手、ベンチからの選手、それ以外の選手、スタッフ、全員で戦うよ。絶対勝つよ。行くぞ!」。キャプテンの言葉に奮い立ち、戦いの場へ足を踏み入れた、あの夜――。思い起こしてみよう、魂の90分を。敵地の夜空に響き渡った歓喜、そして歌い上げた王者の誇り。そして挑んだ世界での戦い、各大陸王者との対峙を繰り返しながら逞しく進化を遂げてきた日々。その全てを思い起こしてみよう。アントラーズファミリー全員で、一歩ずつ進んだ道のりを思い起こしてみよう。勇気が湧き上がってはこないか。揺るぎない決意が胸に宿りはしないか。
広州での“前半90分”を経て、アントラーズに課された任務は明確になった。「2点差以上で勝つこと」だ。例外として、「1-0」で90分を終えた場合は勝利数と得失点差、アウェイゴール数の全てが並ぶため、決着は延長戦へ持ち越される。だが「1-0」以外のスコアで90分を終える時、アントラーズは中国王者よりも2つ以上多くの得点を決めている必要がある。「2-1」ではベスト8に届かない。仮に失点を喫した場合、 2点差以上をつけなければ、アウェイゴール数で及ばずに敗退が決まる。いつにも増して、失点が重い意味を持つ戦いだ。緻密なゲームプランを携え、勇敢に戦わなければならない。繰り返しになるが、アントラーズに課せられたタスクは「2点差以上で勝つこと」だ。
要求されるスコアを見れば、“あの時”よりも困難なタスクが待ち受けていることは間違いないだろう。だが、中国王者を相手にミッションを遂行する舞台は、俺たちの聖地・カシマスタジアムだ。今回はホームで戦えるんだ。奮い立たずにはいられない。アントラーズの歴史、その全てを紡いできた聖地なら、どんな困難も乗り越えられる。俺たちなら、必ずやれる。


「“今までに突破できなかったかどうか”という考えよりも、自分たちの目標はこのクラブが持っていないタイトルを獲りに行くということであり、その気持ちや信念を持つことが大事。信念を持って取り組んでいくべきだ」
無念の離脱を強いられる数日前、レオは決意を語っていた。その思いとともに戦う選手たちは皆、勝利だけを見据えている。「ホームでは絶対に勝つ。落ち込んでいる選手は誰もいなかった」と健斗が言えば、金森は「試合後、下を向いている選手はいなかった。次はホーム。全員で戦いたい」とリベンジを誓っていた。
――下を向く背番号12は一人もいなかった。心を奮い立たせる情熱を背に受けた選手たちは、勇気をもらったはずだ。湧き上がるリベンジへの闘志に火をつけたはずだ――。


――こみ上げる悔しさを胸に引き揚げる選手たちへ、アントラーズレッドのスタンドは熱い歌声を送り続けた。ホイッスルの後、すぐに掲げられたタオルマフラー。それは、限られた数の仲間しか参戦できない第2戦のビジタースタンドへ、アントラーズファミリー全員で出港するという誓いだったに違いない――。
半年前、敗戦直後の光景を今一度記し、思う。心を揺さぶられたあの光景を思い出して強く思う。今回はカシマで戦える。それがどれほど心強いか。勇気と活力をもたらしてくれるか。
さあ、逆転突破を懸けた大一番が始まる。聖地で、2点差以上での勝利を。今夜もともに戦おう。アントラーズファミリーの底力を見せつけてやろう。
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