インフォグラフィックスで読み取る、広州恒大戦

ホーム&アウェイで対戦するトーナメント形式の対戦は、これまでに38回経験している。その29回に勝利して、うち5回は優勝。勝ち上がり率は実に76.3%を記録している。ホーム&アウェイ形式なら、必ず一度はホーム・カシマスタジアムで試合を戦うことができる。相手チームが嫌がるカシマでの対戦が、大きな力となることはいうまでもないだろう。
さらに、勝ちパターンを検証すると、興味深い結果が浮かび上がる。相手を圧倒する≪〇→〇パターン≫は勝ち上がりの29回中10回。約2/3は引き分けや敗戦を組み合わせながらも、したたかに戦って勝利を手にしてきた。
では、今回のように初戦黒星という苦しい状況から、勝ち上がりをつかんだことはあるのだろうか? 過去、初戦で敗れたことは11回。そのうち6回で勝利を挙げ、勝ち上がりをつかんでいる。勝ち上がり率54.5%。サポーターとともにどんなときも諦めることなく、戦い抜くことで積み重ねた勝利だ。
そんな逆転劇から、記憶に残る試合をピックアップしてみよう。
≪記憶に残る逆転劇≫
2016年明治安田生命チャンピオンシップ決勝 浦和戦
1stステージ優勝、年間勝ち点3位で臨んだ15年ぶりとなるチャンピオンシップ。準決勝で川崎Fをくだし、ホーム&アウェイ形式の決勝では浦和と対戦した。第1戦、ホーム・カシマには平日開催にもかかわらず23,000人が集い、声を枯らした。しかし、結果は0-1。優勝するためには2点以上が必要となったが、諦めるものは誰もいなかった。第2戦、開始早々に先制を許すが、動じない。金崎のゴールで1点を返して前半を折り返すと、79分、鈴木が得たPKを金崎が決めて、トータル2-2、アウェイゴールで上回った。チャンピオンシップにおいて、第1戦敗戦からの逆転劇は初。アントラーズが7年ぶり8度目の年間優勝をつかみとった。
1999年 ヤマザキナビスコカップ(現ルヴァンカップ)準々決勝 浦和戦
1stステージ4連敗で、9位に沈み、チーム史上初のステージ負け越し。準々決勝まで駒を進めたナビスコカップでも、浦和を相手に、第1戦アウェイは0-2で敗れ、第2戦の結果次第ではゼ・マリオ監督の去就も取りざたされるなかでの試合となった。そんななか、大きな力となったのが、カシマスタジアムの存在だ。1998年のチャンピオンシップ終了後、改修工事に入っていたが、この時期、屋根が取り外され一時使用可能に。久々の戦い慣れた「我が家」で、選手たちが躍動した。監督だけでなく、選手たちも「背水の陣」でこの試合に臨んだ。頭を坊主にして闘志をむき出しにしてピッチに立った秋田豊は、何度もゴール前に立ち塞がり、相手の攻撃を弾き返した。前半から、露骨に自陣に引きこもり逃げ切りを図る浦和だったが、70分、名良橋が反撃のゴールを挙げた。さらに相馬が決めて同点に追いつくと、勢いは完全にアントラーズへ。延長に突入したが、95分、柳沢がVゴールを決めて激闘に終止符を打った。
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