横浜FM戦の注目プレーヤーは、昌子 源!
「とにかく今は、負けたくないという思いが一番強い。負けて嫌な気持ちになるのは本当に嫌。どれだけ内容が悪くても、どれだけ押されていても、勝てばいい」
小瀬での90分間は、今年も苦しく険しいものだった。だからこそ、勝ち点3という結果を残したことを、昌子源は前向きに捉えていた。努めて、前向きに――。「今は正直、“勝てばOK”かなって。とにかく勝って、流れを作りたかったから」。決して満足はしていない。安堵、という感覚とも少し違う。込み上げる不甲斐なさと向き合いながら、それでも昌子は前に進もうとしていた。
公式戦2連勝の後、2連敗。15日間で5試合を戦う道のりに身を置いたアントラーズは、いきなり苦境に直面した。タイで失意の敗戦を喫し、帰国してから3日目。フル稼働を続ける背番号3は「負けた時は、次の試合が早く来てほしい」と、勝利への渇望を隠そうとはしなかった。ムアントン戦の前、「こういう試合に勝たないと、チームは強くなっていかない」と語ったDFリーダーにとって、あの敗北は心の底から悔しいものだった。だから、甲府には何が何でも勝たなければいけなかった。例え、どれだけ内容が悪くても――。
この日、甲府が放ったシュートはわずかに2本だけ。1本目は35分、ウイルソンが右足を振り抜いた次の瞬間、枠を外れて消えていった。アントラーズに脅威を与えるようなシュートは、90分まで1本もなかった。「点が入らなくてもイライラせずに、前掛かりにならないようにしなければいけない。攻めている時のリスク管理をして、無失点で終わりたい」と決意を語っていた昌子としては、プラン通りに時計の針を進めることができていたはずだ。アントラーズは守備偏重のホームチームに手を焼きながらも、63分にレオのファインゴールで均衡を破っている。あとは、クリーンシートを成し遂げさえすれば、勝ち点3が手中に収まる状況だった。
しかし、92分。アントラーズはまるでエアポケットに入ったかのように、単純な1本のロングボールから、ペナルティーエリアへの進入を許してしまう。昌子はファースト・ディフェンダーとして浮き球の処理を試みたが、目測を誤ってボールを後方へと逸らしてしまった。「相手GKのキック力があることもわかっていたし、後半は向かい風が強かった。その中でパワープレーをされて、ラインが低くなってしまった。ラインを上げようと思ったんやけど、その前に(ロングボールを)蹴られてしまって…」。戦況を冷静に見極め、分析もできていた。だからこそ、自らのクリアミスに悔しさが募る。「目測を誤って、ボールを後ろに流してしまった。自分で弾き出していれば、何でもないプレーだった」。昌子はそう言って唇を噛んだ。スンテのビッグセーブに救われたが、“それで良しとしてはダメだ”と自分に言い聞かせるように、言葉を並べていた。
1-0。決して望んではいない、劇的なシナリオの先に待っていた2017年のリーグ戦初勝利。昌子は「どういう形であれ、勝てたことは非常に良かったと思う」と重ねて強調し、不甲斐なさを噛み殺すようにして、次の戦いを見据えた。「マリノス戦、何時からやったっけ?ああ、ナイトゲームか」。視線はすでに、トリコロールとの激突へと向いていた。
横浜FMは今季、大幅にメンバーを刷新。一時代を築いたベテランたちがクラブを去り、新たなる力を加えて大きく生まれ変わった。開幕2試合で6ゴールを挙げ、連勝スタート。昌子が「外国籍選手が良さそう」と言うように、ダビド バブンスキーやウーゴ ヴィエイラといった新戦力が2試合連続ゴールを記録し、強力な攻撃陣を形成しつつある。トリコロールを封じるためには、背番号3の奮闘が欠かせない。
「誰かがミスをしても、別の選手がカバーをするのがチームだと思う。そうやっていくのが大事。甲府戦では自分がミスをして、その後のカバーもあんまり良くなかったと思うけど、最後はスンテに助けてもらった。いろいろなミスをカバーしていく。そういうふうにできるのがチームだと思う」
アントラーズ加入7年目、3番を背負って3年目。24歳にしてセンターバック陣の最年長選手となり、今季は選手会長を務める。宮崎でのDAZNニューイヤーカップでは、その左腕にキャプテンマークが輝いた。DFリーダーから、チームリーダーへ――。進化の階段を上り続ける昌子は、自らが背負う責任の重さと向き合いながら、チームの理想像を言葉で紡ぎ出した。そして今、胸に秘めた思いがあるだろう。甲府戦で「スンテに助けてもらった」からこそ、今度は自分がアントラーズを救ってみせる――。
さあ、横浜FMとの対峙が幕を開ける。首位チームとして乗り込んでくるトリコロールの波を、アントラーズが誇る背番号3が鉄壁の守備で封じ込めた先に、必ず歓喜の時が待っているはずだ。聖地でのリーグ開幕戦は、悔しい完封負けに終わった。今度こそ、カシマで勝利を――。「サポーターの皆さんが悲しむ姿を見たくないし、悲しませたくない。僕らが喜んでいる姿を見せたい」。背番号12とともに笑い、ともに喜ぶ昌子の姿が、そこにはあるはずだ。
小瀬での90分間は、今年も苦しく険しいものだった。だからこそ、勝ち点3という結果を残したことを、昌子源は前向きに捉えていた。努めて、前向きに――。「今は正直、“勝てばOK”かなって。とにかく勝って、流れを作りたかったから」。決して満足はしていない。安堵、という感覚とも少し違う。込み上げる不甲斐なさと向き合いながら、それでも昌子は前に進もうとしていた。
公式戦2連勝の後、2連敗。15日間で5試合を戦う道のりに身を置いたアントラーズは、いきなり苦境に直面した。タイで失意の敗戦を喫し、帰国してから3日目。フル稼働を続ける背番号3は「負けた時は、次の試合が早く来てほしい」と、勝利への渇望を隠そうとはしなかった。ムアントン戦の前、「こういう試合に勝たないと、チームは強くなっていかない」と語ったDFリーダーにとって、あの敗北は心の底から悔しいものだった。だから、甲府には何が何でも勝たなければいけなかった。例え、どれだけ内容が悪くても――。

しかし、92分。アントラーズはまるでエアポケットに入ったかのように、単純な1本のロングボールから、ペナルティーエリアへの進入を許してしまう。昌子はファースト・ディフェンダーとして浮き球の処理を試みたが、目測を誤ってボールを後方へと逸らしてしまった。「相手GKのキック力があることもわかっていたし、後半は向かい風が強かった。その中でパワープレーをされて、ラインが低くなってしまった。ラインを上げようと思ったんやけど、その前に(ロングボールを)蹴られてしまって…」。戦況を冷静に見極め、分析もできていた。だからこそ、自らのクリアミスに悔しさが募る。「目測を誤って、ボールを後ろに流してしまった。自分で弾き出していれば、何でもないプレーだった」。昌子はそう言って唇を噛んだ。スンテのビッグセーブに救われたが、“それで良しとしてはダメだ”と自分に言い聞かせるように、言葉を並べていた。
1-0。決して望んではいない、劇的なシナリオの先に待っていた2017年のリーグ戦初勝利。昌子は「どういう形であれ、勝てたことは非常に良かったと思う」と重ねて強調し、不甲斐なさを噛み殺すようにして、次の戦いを見据えた。「マリノス戦、何時からやったっけ?ああ、ナイトゲームか」。視線はすでに、トリコロールとの激突へと向いていた。
横浜FMは今季、大幅にメンバーを刷新。一時代を築いたベテランたちがクラブを去り、新たなる力を加えて大きく生まれ変わった。開幕2試合で6ゴールを挙げ、連勝スタート。昌子が「外国籍選手が良さそう」と言うように、ダビド バブンスキーやウーゴ ヴィエイラといった新戦力が2試合連続ゴールを記録し、強力な攻撃陣を形成しつつある。トリコロールを封じるためには、背番号3の奮闘が欠かせない。
「誰かがミスをしても、別の選手がカバーをするのがチームだと思う。そうやっていくのが大事。甲府戦では自分がミスをして、その後のカバーもあんまり良くなかったと思うけど、最後はスンテに助けてもらった。いろいろなミスをカバーしていく。そういうふうにできるのがチームだと思う」

さあ、横浜FMとの対峙が幕を開ける。首位チームとして乗り込んでくるトリコロールの波を、アントラーズが誇る背番号3が鉄壁の守備で封じ込めた先に、必ず歓喜の時が待っているはずだ。聖地でのリーグ開幕戦は、悔しい完封負けに終わった。今度こそ、カシマで勝利を――。「サポーターの皆さんが悲しむ姿を見たくないし、悲しませたくない。僕らが喜んでいる姿を見せたい」。背番号12とともに笑い、ともに喜ぶ昌子の姿が、そこにはあるはずだ。
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