FC東京戦の注目プレーヤーは、クォン スンテ!
チョン ジェヨンのバックヘッドがアントラーズを襲う。その軌道を瞬時に見極めた背番号1は、果敢に飛んだ。両手を伸ばし、弾き出したボールは右ポストを直撃。ピッチ内へ転がっていった。極めて重要な意味を持つ、ホームでのACL初戦。クォン スンテのビッグセーブが、アントラーズを救った。33分の出来事だった。
「難しい試合になると思っていたけど、無失点で勝てたことは良かった」。2-0。クリーンシートを成し遂げた試合後のミックスゾーンで、スンテは安堵の表情を見せた。フットボールに仮定を持ち込むべきではないかもしれないが、それでも。もし、あのシュートを決められていたら。ホームで先制を許していたら ——。
この1本だけではない。金崎のゴールで均衡を破った直後、ペナルティーエリア内から打たれたシュートもしっかりと弾き出している。スコアを刻んだ金崎と鈴木にスポットライトが当たるが、ゴールマウスに立ちはだかった背番号1が勝利の立役者だったことは間違いない。「GKの第一の仕事は、無失点に抑えること」と言う守護神が、その任務をしっかりと遂行してみせた。
しかし、スンテは納得していない様子だった。「自分自身のプレーには満足できていない」。完封勝利という結果に安堵感こそ示したものの、「芝の状況をあまり把握できていなかった」と、反省点も口にした。謙遜ではなく、さらなる改善と向上への確固たる自信が、その表情に宿っていた。
1984年9月11日生まれ、現在32歳。代表での出場機会が少なかったため、日本での知名度は高いとは言えなかったが、昨季まで3年連続でKリーグのベストイレブンに選出されている。Kリーグ・クラシック制覇は3回、ACL優勝は2回。まさに韓国屈指の守護神だ。
そんなスンテが、アントラーズへの移籍を決めた。兵役期間を除いて、2006年から全北現代一筋でプレーしていたキャプテンが、自身初となる国外移籍を決めた。その決断は衝撃をもって内外に伝えられたという。チームメイト、サポーターはもちろん、家族や友人も。充実のキャリアを送る中、GKとしてさらに円熟味を増していく、32歳というタイミング。今季以降も全北現代にとどまれば、クラブのレジェンドとして、“ワンクラブマン”として歴史に名を刻むことになっただろう。それでも、スンテはアントラーズでのプレーを選んだ。
「本当に選手個々の能力が高くて、“チームが勝つために何が必要か”を考えてプレーしていると感じた。こんなに素晴らしいクラブは見たことがない」
1月29日。来日の2日後、移籍加入発表の翌日に、スンテはやや緊張した面持ちで新体制発表会見に臨んだ。昨年のクラブワールドカップ、アジア王者の一員だった自身は負傷の影響でピッチに立つことができなかったが、開催国代表として快進撃を見せたアントラーズから受けたインパクトは絶大だった。だからこそ、慣れ親しんだクラブでの日々を捨ててでも、「成長するために」移籍を選んだ。「このクラブの一員として戦えることを、嬉しく思う」。決意に満ちた表情に、柔らかな笑みが浮かんだ。
あれから、まだ1か月も経っていない。その事実が信じがたいほどに、スンテはアントラーズにすっかり溶け込んだ。すでに報じられている通り、日本語の勉強を毎日欠かさず、積極的にコミュニケーションを図っている。宮崎キャンプでは、昼食を終えた後も小笠原や西とテーブルを囲み、談笑する姿があった。練習後、大半の選手が引き揚げた後も、グラウンドで古川GKコーチと入念に確認を続けたこともあった。10分が経っても、20分が経っても、話は終わらない。少しでも早く新天地に順応しようという姿勢、そして明るいキャラクターで、チームの輪に加わっていった。負傷明けだった自らのコンディションについても「開幕までの時間が短いので、少しずつ段階を踏んでいるだけ。順調に進んでいる」と冷静に分析。その言葉は今、プレーでしっかりと証明している。
「難しい試合になると思っていたけど、無失点で勝てたことは良かった」。2-0。クリーンシートを成し遂げた試合後のミックスゾーンで、スンテは安堵の表情を見せた。フットボールに仮定を持ち込むべきではないかもしれないが、それでも。もし、あのシュートを決められていたら。ホームで先制を許していたら ——。
この1本だけではない。金崎のゴールで均衡を破った直後、ペナルティーエリア内から打たれたシュートもしっかりと弾き出している。スコアを刻んだ金崎と鈴木にスポットライトが当たるが、ゴールマウスに立ちはだかった背番号1が勝利の立役者だったことは間違いない。「GKの第一の仕事は、無失点に抑えること」と言う守護神が、その任務をしっかりと遂行してみせた。

1984年9月11日生まれ、現在32歳。代表での出場機会が少なかったため、日本での知名度は高いとは言えなかったが、昨季まで3年連続でKリーグのベストイレブンに選出されている。Kリーグ・クラシック制覇は3回、ACL優勝は2回。まさに韓国屈指の守護神だ。
そんなスンテが、アントラーズへの移籍を決めた。兵役期間を除いて、2006年から全北現代一筋でプレーしていたキャプテンが、自身初となる国外移籍を決めた。その決断は衝撃をもって内外に伝えられたという。チームメイト、サポーターはもちろん、家族や友人も。充実のキャリアを送る中、GKとしてさらに円熟味を増していく、32歳というタイミング。今季以降も全北現代にとどまれば、クラブのレジェンドとして、“ワンクラブマン”として歴史に名を刻むことになっただろう。それでも、スンテはアントラーズでのプレーを選んだ。
「本当に選手個々の能力が高くて、“チームが勝つために何が必要か”を考えてプレーしていると感じた。こんなに素晴らしいクラブは見たことがない」
1月29日。来日の2日後、移籍加入発表の翌日に、スンテはやや緊張した面持ちで新体制発表会見に臨んだ。昨年のクラブワールドカップ、アジア王者の一員だった自身は負傷の影響でピッチに立つことができなかったが、開催国代表として快進撃を見せたアントラーズから受けたインパクトは絶大だった。だからこそ、慣れ親しんだクラブでの日々を捨ててでも、「成長するために」移籍を選んだ。「このクラブの一員として戦えることを、嬉しく思う」。決意に満ちた表情に、柔らかな笑みが浮かんだ。
あれから、まだ1か月も経っていない。その事実が信じがたいほどに、スンテはアントラーズにすっかり溶け込んだ。すでに報じられている通り、日本語の勉強を毎日欠かさず、積極的にコミュニケーションを図っている。宮崎キャンプでは、昼食を終えた後も小笠原や西とテーブルを囲み、談笑する姿があった。練習後、大半の選手が引き揚げた後も、グラウンドで古川GKコーチと入念に確認を続けたこともあった。10分が経っても、20分が経っても、話は終わらない。少しでも早く新天地に順応しようという姿勢、そして明るいキャラクターで、チームの輪に加わっていった。負傷明けだった自らのコンディションについても「開幕までの時間が短いので、少しずつ段階を踏んでいるだけ。順調に進んでいる」と冷静に分析。その言葉は今、プレーでしっかりと証明している。

真のプロフェッショナルとして、周囲からの信頼は日々厚くなっている。ともに守備陣を形成する植田は「すごく積極的にプレーしてくれるし、やりたいことを言いに来てくれる。『あれは大丈夫だったか?』と確認もしてくれる。すごく前向きで、良い選手だと思う」と語っていた。スンテ自身が「まだまだ良くなる」と言う通り、連係面に向上の余地は残されているだろう。だからこそ、堅守構築への期待は高まる。
加入発表から28日目、ついにJ1開幕を迎えることとなったスンテ。FC東京を迎え撃つオープニングマッチに向けて「ホームでは必ず、勝ちたい」と力を込めた。新たなる“家”となったカシマスタジアムで、アントラーズの一員として初めてプレーした夜から4日。「皆さんに期待されていると思う。頑張ります」と笑顔を見せた背番号1が、アントラーズレッドの情熱を背に受け、ゴールマウスに立ちはだかる。慣れ親しんだクラブを離れ、並々ならぬ決意と覚悟を胸に宿した守護神。栄光のキャリア、その新たなる章が、ここから始まる。
加入発表から28日目、ついにJ1開幕を迎えることとなったスンテ。FC東京を迎え撃つオープニングマッチに向けて「ホームでは必ず、勝ちたい」と力を込めた。新たなる“家”となったカシマスタジアムで、アントラーズの一員として初めてプレーした夜から4日。「皆さんに期待されていると思う。頑張ります」と笑顔を見せた背番号1が、アントラーズレッドの情熱を背に受け、ゴールマウスに立ちはだかる。慣れ親しんだクラブを離れ、並々ならぬ決意と覚悟を胸に宿した守護神。栄光のキャリア、その新たなる章が、ここから始まる。
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