2023明治安田生命J1リーグ 第28節、カシマスタジアムで横浜F・マリノスと対戦した。
前節、数的不利の状況を乗り越え、C大阪から1-0(ウノゼロ)で勝ち点3をもぎ取ったアントラーズ。全員が全身全霊で戦い、最高の結果を得た。続く相手は、上位にいる横浜FM。ここで叩けば、また上を目指せる-。チームの誰もがモチベーション高く臨むホームゲームとなった。
その熱気はまた、多くのファン・サポーターを奮い立たせ、27,463人もの観衆でカシマスタジアムはアントラーズレッドに染まった。「LIXILスペシャルマッチ ~SDGs 未来の幸せを、みんなで。~」も開催され、カシマスタジアムは試合前から、対戦相手である横浜FMのマスカット監督も「最高だった」と絶賛する雰囲気に包まれた。
スタメンは、GKが早川、フィールドプレーヤーには広瀬、植田、関川、安西、佐野、柴崎、樋口、仲間、垣田、優磨が入った。ベンチには、沖、昌子、須貝、土居、カイキ、名古、エレケが座る。柴崎が復帰後、初の公式戦先発出場となり、その期待は大きく膨らんだ。
「全試合決勝戦」(優磨)ととらえるアントラーズはキックオフと同時に、横浜FMに襲いかかる。相手が得意とするパスワークを分断し、自分たちがボールを保持し、横浜FMゴールに迫った。
そして15分、歓喜の時は早くも訪れた。右CKを奪ったアントラーズのキッカーは、もちろん樋口。その樋口がファーサイドにボールを送ると、相手マークから外れるように後ろへ下がった優磨がヘディングで合わせる。計算し尽くした優磨のボールはふわりとした弧を描き、横浜FMゴールへ吸い込まれた。
その後、攻守が入れ替わる展開が続いたが、アントラーズは34分、セットプレーから同点に追いつかれる。相手の右CKでキッカーのヤン マテウスが近くに来た渡辺に一度、ボールを預け、再びパスを受ける。そのボールをダイレクトでゴール前に入れられると、中央で待ち構えるアンデルソン ロペスに決められ、1-1とゲームは振り出しに戻った。
その後、やや荒れた展開になる。前半のうち、アントラーズに出されたイエローカードは3枚。一方、横浜FMにも1枚と互いの意地と意地がぶつかり合う試合展開となった。
後半に入ると、横浜FMのパスがつながるようになり、特色でもある連続性のある攻撃がアントラーズを追い詰めていく。50分、ショートパスの連続からヤン マテウスが右から強烈な左足シュートを放つ。これは早川がセーブするも、そのこぼれ球をまたしてもアンデルソン ロペスに決められ、1-2と逆転されてしまった。
その後も試合を支配される時間が続いたが、岩政監督も再三の交代策で状況を打開しようとする。70分、柴崎に代わり、ピッチに入った名古が何度か攻撃の起点となったが、事態が劇的に好転することはなかった。
それでもカシマに集結した”12番”に後押しされ、選手たちは最後の最後まであきらめずに戦う。
後半アディショナルタイムには右サイドから土居がファーへ上げたクロスに、足をつりながらも優磨が左足で合わせる。これが決まれば、起死回生となったが、ボールはゴールポストに当たり、ノーゴール。アントラーズは絶対に勝たなければならない、このホームゲームを1-2で落としてしまった。
この厳しい現実の前に、試合後、岩政監督も「本当に悔しい」と語った。しかし、ここで諦めてはすべてが終わる。残りの6試合、もう一度、全身全霊をかたむけて戦うのみ。我々に残された道は、ただ真摯に1試合1試合を全力で戦うことだけだ。
【この試合のトピックス】
・優磨が今季リーグ戦13ゴール目で、自己記録をさらに更新



A.悔しい思いと、優勝云々というよりも横浜FMに負けたという事実、そして90分間を通して相手を上回れなかったことを、早く映像を見て振り返りたいと思っている。ファン・サポーターの皆さんに申し訳ないし、たくさんの方々がカシマスタジアムに駆けつけてくれて、ともに戦ってくれた皆さんを笑顔で帰らせてあげられなかったことを非常に申し訳なく思っている。
Q.横浜FMとの差は?
A.同点に追いつかれるまでの30数分間の時間帯はとても良かったが、試合ではいろいろなことが起こる。当然、セットプレーで同点に追いつかれる可能性もあった。そのあとの時間帯は、そのときの相手の勢いを止めて、自分たちがボールを保持しているときも、保持していないときも含めて、攻守において試合を支配することがうまくできなかった。
まだまだ力不足だと感じた。
Q.優勝を争ううえで大きな敗戦となった。それについてどう感じている?
A.それはわからない。このあとの6試合に勝って優勝するかもしれない。星勘定をしたり、想像しても仕方がない仕事なので、次の試合で勝ち点3を取るために頑張るだけ。最後までそれを繰り返して、優勝できるかどうかはそのときに見ればいい話。考えても仕方のないことは考えない。
Q.同点に追いつかれて迎えた後半の立ち上がりについては、どう見ていた?
A.そこは私も今、いろいろと振り返っている。この大一番でどのように選手たちのメンタルコントロールをしていくかというところは、まだまだ自分の力不足も感じたし、自分自身の責任も大きいと思っている。34分に失点したあとの前半の最後の時間帯は、相手が同点に追いついて勢いづき、少しペースを握られながらも1-1のスコアで終わらせたことは個人的には良かったと思っている。ただ、相手のプレスの形が想定と少し違っていたので、そこはハーフタイムに確認をした。
ボール保持の時間帯に、もっと自信を持って敵陣に入る形を作ればチャンスは作れると確認したつもりだったが、メンタル面を含めて向上させられなかった。私はあまり厳しい言葉は伝えなかったが、その選択が良かったのか、悪かったのか。それで結果が変わったのかというところも冷静に分析したいと考えている。
ただ、いずれにしても、それも含めてチーム作りだし、横浜FMがあれほどの強度を出してきたなかでも、自分たちがやろうとしてきたことをしっかりやり切れないといけなかった。こういう大一番で、勝たなければいけないプレッシャーのなかでやり切れなかったところは、結局は力不足というところに行きつくと思っている。今日も含めて、これまでのいろいろなところで力不足だったと感じている。
Q.会見冒頭の「悔しい」という発言は、これまで積み重ねてきたことが出し切れなかった悔しさなのか。
A.そう。1-1の同点になったあと、前半の残りの時間帯はフットボールにおける自然なことだったと思う。そのあと、後半になって少し落ち着いて、相手のプレスのかけ方の確認ができて、それで変わっていくだろうと思ったが、相手の勢いや強度のほうが勝ってしまったことは事実だと思う。そうであれば、自分たちは今日どのように戦っていくかということがそろい切らずに、後半の失点した時間まで戦ってしまったことも今のチーム力になる。いろいろなことが起こり、相手のリズムになり後半の頭も少し我慢したなかで、交代選手たちを入れながら流れを引き寄せるのか、もしくは戦い方を変えるのか。そういったことはまだまだ横浜FMの方が上手だったと言わざるを得ないし、自分自身が足りなかったという印象。
Q.強いチームはピッチ上の選手が判断して戦えているが、アントラーズはそのレベルではないということか?
A.試合によってはできていると思う。今日は横浜FMが上回った。それができているからこれだけの勝ち点を重ねてきていることも事実だが、優勝争いの経験や、この戦い方のなかでのいろいろな経験の幅は横浜FMのほうがあったと思う。横浜FMは0-1のあの勢いの時間帯に我慢しながら、結果的にセットプレーで追いついて、そこで自分たちの流れに持ってきたところで追加点を奪った。勝負強さを発揮されたと感じるし、逆に言えば自分たちが勝負弱かったということ。それは今年、他の大会のときも勝負どころでそういったことが続いているので、経験値ということで片付けるのは難しいところがあるが、あの流れになったところで勝ち切ることに対しての自分たちのマインドセットがうまくできなかった。ハーフタイムを挟んでの展開だったので、皆さんが感じているように私自身も感じている。それは私の責任でもあるし、ピッチ上の選手たちにもできたことがあったと思う。そこも分析をして、意思統一して、さらに成長していきたい。
Q.横浜FMのアンデルソン・ロペス選手があまり下がらなかった印象があるが、どう見ていた?
A.攻守ともに、昨季から今季前半戦の最初の頃までのやり方に戻したところがあったと思う。それによって変わるものもあったが、守備において我々はマンツーマンではないので、そのやり方は機能していなかったように感じたし、それほど気にしていなかった。
守備面でも少しセンターバックを浮かせる形から、3枚の形に変わっていた。中盤のズレをもっと生み出せると思ったが、そこは想定と違ったところで、うまくボールを運べなかった。それも含めて、先ほど言った経験の幅。そのときに今までの試合であれば、ポジションを変えて流動的に動きながらマークを外していくことができていたが、今日は選手が代わったところもあったし、相手の強度のためにそれを探せなかったところもあると思うし、あるいはプレッシャーのなかで選手たちがうまく自信を持ってボールを受けられなかったところもあると思う。そこも含めて力不足ということ。
前半はなかなか相手のボールに対してプレッシャーをかけにくい状況となり、ボールを失うところもあって難しい立ち上がりになった。それでも焦れずに自分たちが今日までやってきたことを信じ続けて戦う姿勢がしっかり出たと思う。チャンスもしっかり作ることができて、選手たちがいいパフォーマンスをピッチ上で示してくれた。非常にいい結果で終われて良かった。
全試合決勝戦のつもりで戦っている。自分たちは、もう負けるわけにはいかない。最高の形でファン・サポーターの皆さんが後押ししてくれる。横浜FMが強いのはわかっている。ただ、今自分たちが積み上げているものをぶつけることができれば、いい結果が得られると思っている。自信をもって挑んでいきたい。
小さいころからカシマスタジアムで歴史が動く瞬間をいくつも見てきた。早くその瞬間のなかに自分も入れるように貢献していきたいという思いがある。カシマスタジアムには、どんな状況でもその場を打開できるようなパワーをくれるファン・サポーターの皆さんがいる。不可能はないと思っている。横浜FM戦もたくさんのファン・サポーターの皆さんが後押しをしてくれると思う。必ず勝ちたい。
【早川 友基】
どの試合も全て大事だが、この試合は上位との対戦となる。自分たちがトレーニングでやってきていることを試合で出していきたい。大樹さんも話していたが、今は「自分たちが試されている状況」だと思う。その状況を恐れるのではなく、楽しんでいく。この状況の中戦えることに感謝をしながら自分たちが持っているものを全力で出して勝ち点3を取れるように頑張りたい。
今はどうしたら崩していけるとかどうやったら守れるとか、自分たちのフットボールが定まっている。基盤ができてきているので、それをぶつけていくことができれば、勝てる相手だと思う。ビビって試合に入る必要もない。チャレンジャー精神を持って貪欲に戦っていく。
【関川 郁万】
選手、ファン・サポーターの皆さん、アントラーズファミリーのみんなが一体感を持って戦うことができれば、アントラーズは負けることはない。
横浜FMには強力な前線の選手がいるが、臨機応変に対峙する選手に負けないようにやっていく。そこで負けなければ、失点をすることはない。強気に、自分から勝負を仕掛けていきたい。
横浜FM戦が楽しみ。勝つことが一番だと思っている。そのために、自分たちが全力を尽くしていかなければいけないし、ファン・サポーターの皆さんに笑顔で帰っていただくために全身全霊をかけて戦っていきたい。
(柴崎選手とのボランチコンビは)手応えもあったが、課題も残ったので、もっと岳君のプレーを見て吸収していきたい。
今日の敗戦により、1試合ずつ勝利を重ねていくしかないが、試合に向かうモチベーションが変わることはない。次の試合へ向けて、気持ちを切り替えて準備していきたい。
【垣田 裕暉】
自分たちは立ち上がりに相手を圧倒して先制点も奪えたが、それでも相手は慌てずに反撃してきた。両チームの差はほとんどなかったと思うが、勝負を分けたこの1点の差を埋めていかなければならない。1位以外はどの順位も同じなので、今後も変わらずにトップに立つために勝ち続けることを目指していきたい。
【樋口 雄太】
セットプレーのときに相手はニアサイドを警戒していると感じたので、なるべくファーサイドへボールを送ることを心がけた。(先制点の場面は)いいボールを蹴れたと思う。セットプレーが勝敗のカギになるだろうと思っていたので、アシストできたことは良かった。ただ試合を通して振り返れば、まだまだ力が足りなかったと感じている。
【柴崎 岳】
上位対決で(復帰後)初先発がめぐってきたことに縁を感じるし、このような試合に勝ってこそ、自分が出場する意味があると感じていたので、勝ちたい試合だった。
前半はセットプレーから失点したことをもったいなく感じているし、後半は自分たちにもチャンスがありつつも決め切れなかったことは、結果論だが残念に思う。
【エレケ】
この試合は、多くのファン・サポーターが駆けつけてくれた。このカシマスタジアムの素晴らしい雰囲気のなかで試合に出場できたことはうれしく思う。自分自身のプレーの感触も良かったが、試合に負けたことは非常に残念だった。またこのスタジアムのピッチに立ち、次はチームの勝利に貢献できるようなプレーを見せたい。